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  1. 世田谷区議会 2009-10-13
    平成21年  9月 決算特別委員会−10月13日-07号


    取得元: 世田谷区議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-04
    平成21年  9月 決算特別委員会−10月13日-07号平成21年 9月 決算特別委員会 平成二十一年決算特別委員会 決算特別委員会会議録第七号 日 時  平成二十一年十月十三日(火曜日) 場 所  大会議室  出席委員(四十六名)    委員長       大場やすのぶ    副委員長      岡本のぶ子    副委員長      中里光夫              石川征男              上島よしもり              小畑敏雄              宍戸のりお              下山芳男              菅沼つとむ              鈴木昌二              畠山晋一              山口ひろひさ              飯塚和道              市川康憲
                 杉田光信              高久則男              高橋昭彦              平塚敬二              諸星養一              稲垣まさよし              上杉裕之              風間ゆたか              重政はるゆき              すがややすこ              中塚さちよ              中村公太朗              西村じゅんや              藤井まな              岸 武志              桜井 稔              里吉ゆみ              村田義則              桜井純子              竹村津絵              山木きょう子              吉田恵子              大庭正明              小泉たま子              田中優子              唐沢としみ              羽田圭二              木下泰之              あべ力也              上川あや              ひうち優子              青空こうじ  出席事務局職員          議事担当係長  林 勝久     ────────────────────  出席説明員   副区長            平谷憲明   教育委員会委員長       佐俣典子   教育長            若井田正文   教育委員会事務局           教育次長   若林謙一郎           教育総務課長 霜越 收           学務課長   阿竹 恵           学校健康推進課長                  大澤 修   教育環境推進担当部           部長     古閑 学           学校適正配置担当課長                  水野 聡           施設課長   伊東友忠   教育政策部   部長     萩原賢一           学校職員課長 寺林敏彦           教育指導課長 直田益明           教育相談・特別支援教育課長                  伊佐茂利           生涯学習・地域・学校連携課長                  松下洋章           中央図書館長 千葉正人           副参事    平川惣一     ──────────────────── 本日の会議に付した事件  認定第一号 平成二十年度世田谷区一般会計歳入歳出決算認定  認定第二号 平成二十年度世田谷区国民健康保険事業会計歳入歳出決算認定  認定第三号 平成二十年度世田谷区後期高齢者医療会計歳入歳出決算認定  認定第四号 平成二十年度世田谷区老人保健医療会計歳入歳出決算認定  認定第五号 平成二十年度世田谷区介護保険事業会計歳入歳出決算認定  認定第六号 平成二十年度世田谷区中学校給食費会計歳入歳出決算認定文教委員会所管分に対する質疑)     ────────────────────     午前十時開議 ○大場やすのぶ 委員長 ただいまから決算特別委員会を開会いたします。     ──────────────────── ○大場やすのぶ 委員長 本日は、文教育委員会所管分の決算審査を行います。  それでは、質疑に入ります。  せたがや政策会議、どうぞ。 ◆田中優子 委員 おはようございます。文教トップバッターのせたがや政策会議の質問を始めさせていただきます。  まず、区役所職員の海外研修について伺います。  私どもの会派では、職員の海外研修は積極的にやるべきであると考えています。特に「世界にはばたく子どもたち」とうたっている教育分野、教育委員会におきましては、海外の先進的事例を子どもたちの教育に反映させてほしいという思いがありますし、その意味からも大変重要なことと考えております。  そこで、今月二十五日から図書館職員がフィンランドに視察研修に行くということについて幾つかお尋ねしたいと思います。まず、この日程、人数、費用、研修内容等について教えてください。 ◎千葉 中央図書館長 海外視察を今度拝命することになりました。日程でございます。当初は十月二十五日からというふうな話でございましたけれども、向こう様の都合で十月十八日から二十三日で、フィンランドの市立図書館、私立図書館五カ所と小学校を視察する予定でございます。人数は五人でございます。 ◆田中優子 委員 費用の点もお答えください。 ◎千葉 中央図書館長 費用は全部込みで、概算でございますけれども、一人五十何万円程度となっております。 ◆田中優子 委員 日程は六日間で、私立図書館、市立図書館五カ所と小学校を見に行くということですが、小学校はどのような内容を視察されるんですか。 ◎千葉 中央図書館長 そもそもこのフィンランドを選らんだ理由にもなるわけですけれども、このフィンランドといいますのは、OECD調査によって学力判定が世界の最先端にございます。こうした成果をもたらした政策がルクスオミ運動母国語教育運動と図書館の充実というふうにされているわけです。そうした部分で、こうした国策で充実された図書館がどのような運営をされているか、市民に親しまれているのか、それと、それをどのように学校教育の現場で生かしているのか、その辺を体験して、いろいろお話を聞いてまいりたいというふうな趣旨でございます。 ◆田中優子 委員 内容について、また後ほど伺おうと思うんですが、今回いらっしゃる五名の職員の方々、年齢はどのようになっていますか。 ◎千葉 中央図書館長 五十歳から五十五歳で構成されております。 ◆田中優子 委員 世田谷区職員海外派遣研修実施要綱というものがあると思います。それに基づいての派遣かと思うんですけれども、その中では、原則としておおむね四十五歳までの係長級、または主任主事の職にある職員となっていますよね。これは海外派遣という中に、若手のリーダーを育てたいという思いからの一つの大きな目的がそこにあるんだろう、そこから来ているんだろうと思うんですけれども、今回、なぜフィンランドにいらっしゃる全員が五十歳以上のメンバーなのかというところが疑問なんです。これは要綱の本来の趣旨とはちょっと違うのかなという気がするんですが、それはいかがですか。 ◎千葉 中央図書館長 私どもは、その要綱のもう一つのほうの第二項が適用されたと承っております。それと、これは申請した趣旨にもなるわけでございますけれども、私も含めて今回行く五人のメンバーは、いずれも地域館の館長クラスでございます。現役で館長をやっている職員もございます。そうした職員でございますので、現地で経験したこととか、いろいろ話を聞いたことでいいと思ったことは、現実の図書館運営に直接に反映できる立場にございます。そういったことで、現地でいろいろ成果があろうかと思いますけれども、私どもは、そういったものをでき得る限り早く図書館運営に反映していきたい、そういった趣旨で今回のメンバーになったというふうに思っております。 ◆田中優子 委員 大変な意気込みで、それはとてもいいと思うんですが、答弁の中で、要綱の第二項を適用したとあったけれども、それがちょっとわかりづらいと思うんですね、具体的にどういうことなのか。 ◎千葉 中央図書館長 区長の特命を受けた者ということがございまして、それだというふうに承っております。 ◆田中優子 委員 私は、今回、職員の方々の海外研修がフィンランドであるということを聞きまして、まず正直、申しわけないんだけれども、何で図書館なのというのが素朴な疑問でありました。もちろん先ほどご説明の中にありましたように、世界一の学力を誇るフィンランド、それを支えているのが図書館なんだというその一面はもちろんあると思うんです。今、私、実は本を一冊読んでいるんですけれども、教育行政に関する本なんですが、フィンランドが世界一の教育、学力を保っているその裏には、教育制度そのものが全く日本とは違うということが一つ指摘されているわけです。  そういう意味からは、小学校もいらっしゃるということだったんですが、母国語の強化、それももちろん意味がないとは言いません、あると思います。でも、教育の制度そのものについての視察というのが非常に重要なのではないかということを一つ思ったわけです。  それからもう一面、フィンランドといえば、私はかねてより自殺対策、自殺予防についてのいろんな提案なり、提言なりをさせていただいているんですけれども、自殺の多い国としては、世界の中で日本とともに大変有名な国なわけですね。ですけれども、国を挙げての対策をとることで一五%も自殺率を下げたという実績もあります。中でも注目したいのは学校教育なんです。学校教育の中で自殺予防教育というものが具体的に行われている、こうしたこともぜひとも見てきていただきたいなと思ったんですね。今回、それはちょっと目的外になってしまうことが非常に残念だなという思いが一つにあります。それで今回この質問をさせていただこうと思ったんです。  それから、先ほどから言っております教育行政というか制度ですね。制度については何が違うかというと、フィンランドでは、まずテストを行わない、競争原理がない、受験勉強もない、それから教員の免許更新なんていうものもないとか、本当に日本と全然違うわけです。それから、後ほど述べようと思いますけれども、人事権の問題、ここは非常に大きく違います。それらは今回詳しく見られないんだけれども、仕方がないですね。  図書館のほうで、先ほど中央図書館長にるる述べていただきましたけれども、館長及び館長クラスが行くことによって図書館が変えられる、だから、年齢層が高くてもいいというか、そのことによって即戦力となって変えられるんだというお話でした。であれば、私は前にも質問で取り上げましたが、フィンランドはほとんどの図書館が夜八時まで開館しているということですし、そういった現場の夜間の時間延長とか、月曜日の休館はやめて、月曜日だって開館してほしい、区民ニーズからしてそうじゃないですかということも取り上げています。そうしたことも、これは視察からお戻りになったら即、いつまでということではなく、検討段階ではなく、違いが発揮されるんだろうなと期待するものですが、そこはいかがですか。 ◎千葉 中央図書館長 ご質問の中にあった趣旨を踏まえて視察は行ってまいりたいと思っております。その成果を、例えば月曜日の開館というふうな趣旨でございますけれども、非常にあれですが、月曜日の開館日の拡大につきましては、これまでもいろいろ検討してまいりまして、図書館ビジョンの素案を策定する中でも検討してまいりました。その結果、ビジョン素案の中で、図書館の立地特性や利用者特性に応じて開館時間や開館日の拡大等、多様な運営形態の導入を検討実施していくものというふうにしております。  中央図書館を除く地域図書館の月曜開館につきましては、周辺地区や利用者特性、そういったものを調査した上で検討を行っていくというふうに思っております。いずれにしても、拡大に向けて条件を早急に整備して、区民の利便性の向上を目指してまいりたいというふうに考えております。 ◆田中優子 委員 急に先ほどの勢いと違った答弁の論調になってしまっているような気がするんですけれども、何年検討しているんですかとか、何でまだ調査もしていないんだという声も会場から聞こえてきましたが、私もそう思います。今回の視察を契機に、これまで何年もかかってしまった部分を一気に、即変えられる人たちが行くんだということですから、それはぜひとも期待したいと思います。職員の海外研修というのは発表会をすることが目的ではなく、施策に、成果に、ちゃんと目に見えるように生かしていただくことが重要だと思いますから、ぜひそこはしっかりやっていただきたいとお願いしておきます。よろしくお願いします。  次に、教職員のメンタルヘルスケアについて伺います。  世田谷区立の小中学校の全教職員の数、そして休職中の人数を教えていただきたいと思います。そして、その中にメンタル系が原因だという教職員の方は何人いるかをお答えください。
    ◎直田 教育指導課長 平成二十一年度の区立小中学校の教員数は約二千百名でございます。その中で、現在、病気休職者の数が二十名ということになっております。さらに、その病気休職者二十名のうち精神疾患による休職者数が八名ということでございます。 ◆田中優子 委員 病気で休んでいる方が二十名というのが多いのか少ないのかがちょっとわからないんですけれども、ただ、学校現場にとりましては、先生が一人でも休むというのは非常に大変なことですから、やっぱり二十名というのは非常に重いのかなという気がします。そして、その中で八名ということなので、割合的には半分近いといいますか、四〇%ぐらいですか。やっぱりメンタル系の方というのは多い、日本全国的に見ても、それは非常に問題視されているわけです。  では、それらのメンタル系で休んでいる先生方に対してどういう対策がとられているのかということですが、予防面、そして復帰に向けて、復帰後、それぞれ対策についてお答えください。 ◎直田 教育指導課長 まず予防対策でございますが、まず学校の管理職が教職員の様子を日ごろより十分に把握して、必要に応じて相談に乗ったり、助言を行い、また、ほかの教職員に協力を求めるなどして、一人一人の教職員が心の健康を損なうことのないように対応しているということでございます。また、東京都教職員総合健康センターにおきまして各種相談システムあるいはサポートシステムが用意されており、精神疾患による病気休職者のケア対策として活用されております。さらに、区の教育委員会でも、長時間労働者に対する面接指導をするなどして、メンタルヘルス対策の一助というふうにしております。  また、休職者のおります学校におきましては、管理職が定期的に主治医と面談をし、病状の把握や復帰に向けての指導を仰いでいるということでございます。さらに、復帰訓練へのサポート体制につきましては、主治医の指示のもと休職期間中に復帰訓練を行い、円滑な職場復帰を図っているところでございます。特に長期にわたる休職者につきましては、まず専門病院における復帰訓練を行う、次に、学校現場における段階的な復帰訓練を経て、臨床心理士や専門医の助言を受けながら復帰のサポートを行っているところでございます。  復帰後のケア対策といたしましては、管理職がその教職員の日常をよく観察いたしまして、必要に応じて主治医に相談し助言を仰いだり、また、教職員総合健康センター各種サポートシステムを活用するなどして、きめ細かな対応を心がけて再発防止に努めているということでございます。 ◆田中優子 委員 いろいろな取り組みをされているのはよくわかるんですけれども、それにしても、お一人でも休んでしまうということがあると、管理職初めほかの教員の人たちの負担が本当に重いんだなと、今のことを伺って、教育以外のことでも負担しなければいけなくなるんだなということは大変なことだと思います。ですから、できるだけメンタルなことで落ち込まないようにということがまず大事なんだと思いますが、とはいえ、例えばうつ病一つとりましても、だれでもがなり得る可能性もあるというものですから、それを責めるわけにはいかないと思うんですね。だけれども、例えば本当に長く患っていたりとか、何度も、結局復帰してもすぐにまただめになってしまう方もいらっしゃるということは伺っているんです。  そういうことも含めまして、それから、このメンタルの病気とは限らずなんですけれども、もう教員を続けるのは無理であろうと思われる人、適性がないんじゃないかという教員はいるわけですよね。そういう教員に対しては、私は別の道を行っていただきたい。教職という現場にいてもらっては、みんなが、その方ご本人もだし、その教育を受ける子どもたち、保護者にとってもそれはいいことではないので、やめてもらったほうがいいのではないかと私は考えますけれども、区教育委員会としてはどのように対処しているんでしょうか。 ◎直田 教育指導課長 今、委員のほうから、メンタルに限らず適性についてはというお話がございましたけれども、指導力に課題のある教員につきましては、管理職が授業観察を繰り返し行いまして、その授業における具体的な問題点を指摘するなどして、授業力や学級経営能力向上が図れるように指導をしているところです。また、必要に応じて指導主事が学校に赴きまして授業観察を行って、管理職に指導上の助言をすることもございます。  そうした指導を重ねても改善が見られない教員につきましては、東京都教育委員会に対して指導力不足教員として申請を行いまして、都教委の審査を経て該当と認定された場合には、教職員研修センターが実施する指導力ステップアップ研修を受講させることもございます。指導力ステップアップ研修などを受講しても、なお指導を適切に行うことができないと認定された教員は、東京都人事委員会の選考等を経て、行政職などの他の職に対する能力の立証ができた場合には、東京都の職員として転任する制度もございます。しかし、制度の適用は現実的にはかなり厳しい状況にあるというふうに聞いております。  いずれにいたしましても、教員としての適性に疑問がある教員につきましては、任命権者である東京都教育委員会とも十分に連絡をとり合いながら対応しておりまして、みずから退職した例とか、あるいは地方公務員法第二十八条の規定により分限免職となった例もございます。 ◆田中優子 委員 今のお答えの中で、みずから退職の例もあるし、地方公務員法第二十八条の規定により分限免職処分もできる例もあるということなんですけれども、お話を伺っている限りでは非常に高いハードルですよね。もちろん公務員である教職員、教員を簡単に首にすることがいいとは思いませんが、保護者からも適性がないんじゃないかという苦情がすごくあったり、いろいろ問題を起こしている教員でもなかなかやめさせることができないという現状が現場ではあると伺っています。公務員だけが余りにも手厚く守られ過ぎているのではないかという声が届いているわけでもありますけれども、それは一般区民の理解が得られるものではないですよね。ですから、特に子どもたちへの影響というものが教育現場というのはダイレクトに響くわけですから、その辺は適性のない教員に対する厳しい態度といいますか、教育委員会ではその態度をしっかりと持っていただきたいということを再度申し述べておきます。  話は変わりまして、さきに述べました世界一の学力を誇るフィンランドの話ですが、図書館を見に行くということでまた戻りますけれども、フィンランド自殺予防教育というのをすごく一生懸命やっているということはご紹介させていただきました。  図書館において、私は前回の決算特別委員会のときに、図書館の自殺予防対策の取り組みをぜひやってほしいということを提案させていただきました。それは具体的にどういうことかというと、自殺予防関連の本というのは図書館でたくさん持っていると思うんですけれども、それらを集めて展示する、普及啓発を図ろうというものなんですが、それについては実施されたかどうか、いかがですか。 ◎千葉 中央図書館長 自殺予防に関連しまして、ご指摘の部分のテーマの本につきましては、中央図書館で本年三月下旬から五月二十日まで、玉川台図書館で七月から八月まで、経堂図書館で九月初旬から十月初旬まで、関連図書を展示しております。ちなみに、評判がよくてといいますか、関心がありまして、貸し出し実績が、経堂図書館では展示した本のうち約半数程度、玉川台図書館では六十冊程度展示したんですけれども、二回りぐらい借りられたという実績を残しております。 ◆田中優子 委員 今のお話を伺って、やっぱり集めて展示することによる効果かなと思うんですね。ばらばらとあってもなかなか手にできない人たちが、もしかしたら、集約されているコーナーに行って簡単に手にとれるというか、たくさん選びやすいというんですか、そういう効果はあったみたいで、実際にやっていただいてとてもうれしく思います。  世田谷は広いんですから、図書館もたくさんありますから、さらにほかの図書館にもぜひそれは広げていただきたいと思うんですが、その可能性についてはいかがですか。 ◎千葉 中央図書館長 各図書館では、それぞれ地域の特性を生かした展示とかテーマを設けて展示するということを現にやっているところもありますし、これからやろうとしているところもあると思いますので、その一つの選択肢として、今後考慮していきたいなというふうに思っております。 ◆田中優子 委員 もちろんそれぞれの図書館の自主性というものは大事だと思うんですけれども、こういう評判とか、それから関心が高かったとか、貸し出しの成果などもぜひ多くの図書館に報告していただいて、取り組みを広げていただきたいということを要望しておきます。  それから次に、入学前プログラム、これは昨年の予算委員会で私が提案させていただいたものなんですけれども、これについてもその後の進捗を伺いたいと思います。  簡単に説明しますと、小学校入学前に新入生の保護者や子どもたちが、お互いに入学前に知り合いになっておくことで声かけができるとか、後々、行く行くはモンスターペアレンツ化を防ぐであるとか、子どもの小一プロブレムを防ぐ一助になるという意味で、新宿区が全小学校に導入している入学前プログラムであります。これをぜひとも世田谷区でもやってみてはいかがでしょうかというふうに提案させていただきました。そのときは検討しますという答弁だったわけなんですけれども、その後、実施に向けての姿勢がおありかどうかということも含め、どうしているかをお答えください。 ◎松下 生涯学習・地域・学校連携課長 入学前プログラムにつきましては、保護者同士が知り合って、学び合うという機会を設けることは、家庭教育への支援という観点からも意義のあることと考えております。ご提案のございました新宿区の事例につきましては、状況を把握いたしまして、それを踏まえまして、区内の小学校長からの意見もお聞きしたところでございます。  区立小学校の全校に学校協議会、また、青少年委員など設置をされておりますけれども、こういった多くの地域人材のお力もいただきますと同時に、学校ごとに新一年生の保護者説明会などを行っております。こういった機会をとらえまして学校の様子をご説明し、お子さんが入学するまでに準備すること、また心構えなどにつきまして学校から説明をしていく中で、ご提案の趣旨を含めまして、教育委員会内の関係所管と連携して工夫をしてまいりたい、このように考えております。  さらに一連の流れの中で、入学後の家庭教育学級、PTA研修会なども含めまして、そういった交流できる場の有効性というものを、学校、PTAに情報提供するなどの働きかけを行ってまいりたいと考えております。 ◆田中優子 委員 今、前向きに、積極的にやっていただくおつもりというか、それを確認できたと思うんですけれども、実際その入学前プログラムというのは、専門的なワークショップとか、来ている人がお互いに強制的に知り合ってしまうような、そういうプログラムなんですね。それがないと、集まる機会があっても、学校側やPTA側や地域の方が説明する機会があっても、お互いに知り合うことは難しいんですよ。ですから、専門的なプログラムをぜひとも研修していただかなければなかなか難しいかなと思うんですが、それはいかがでしょうか。 ◎松下 生涯学習・地域・学校連携課長 現場を見ることの大切さは認識しておりますので、先方のご了解をいただき、ご確認をいただいた上で検討させていただきたい。 ○大場やすのぶ 委員長 以上でせたがや政策会議の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○大場やすのぶ 委員長 引き続きまして、社会民主党、どうぞ。 ◆唐沢としみ 委員 社民党の質問に入ります。  まず、学校協議会の活性化について伺います。  区の教育委員会は、教育ビジョンの第一番目の柱に地域とともに子どもを育てる教育を掲げております。私はまちづくりに市民の力を最大限に引き出していくことをこれまでずっと主張してまいりましたが、この教育ビジョンの考え方は、私の主張を教育の領域で具体化するものとして評価するとともに、注目し期待をしております。  そこで、区民の力を生かした教育について何点か具体的に質問をしてまいります。  まず、学校協議会ですが、区は、平成九年度に全国に先駆けて、すべての区立小中学校に学校協議会を設置したわけですが、まず学校協議会の目的を再確認の意味で簡潔にご答弁願います。 ◎直田 教育指導課長 世田谷区では、地域の宝である子どもたちを地域とともに育てる教育を推進しており、学校と家庭、地域並びに関係諸機関の連携と協力を一層強化することを目指して、平成九年度に全国に先駆け、すべての区立学校に学校協議会を設置いたしました。委員お尋ねの学校協議会のねらいでございますが、一つ目は児童生徒の健全育成、二つ目は地域防災・地域防犯、三つ目は学校の教育活動の充実ということで、以上三点がねらいというふうになっております。 ◆唐沢としみ 委員 世田谷区のこうした先進的な取り組みは、他の自治体ばかりでなく国も注目しているところとなって、名前は少々違いますけれども、今では国が全国の学校に学校支援地域本部の設置を求めるようになりました。世田谷区の教育というと、何といっても教科「日本語」ばかりが注目されるような気がしますが、学校協議会をベースとして、区民の力を生かした学校づくりで全国を先導してきたという実績と自信を大切にして発展させてほしいと思うわけです。  一方で、教員の人事権の移譲については、残念ながらいまだ実現のめどが立っておりません。したがって、世田谷ならではの地域とともに子どもを育てる教育を実践されてきた先生が、やがて他の区や市へ人事異動で出ていってしまうことになります。そして、逆に世田谷の教育をご存じない先生が転入してくるわけです。転入してきた先生は、世田谷に来て、初めて世田谷区の学校協議会を知ることになります。初めての学校協議会では戸惑いもあるでしょうし、また、地域力を引っ張り出すという、そういう仕掛けができるまでには相当な時間がかかるようにも思います。転入してきた先生が一刻も早く世田谷区の学校協議会について理解を深め、学校教育やよりよい地域づくりに生かしていく、そのための努力が必要です。  そこで伺いたいのは、教育委員会では、転入してきた教師が世田谷の学校協議会について理解を深め、地域力を生かした学校運営を行うようになるためにどのような取り組みを行っているのか、その辺について伺います。 ◎直田 教育指導課長 区教育委員会では、毎年四月に他地区から移動し、新たに世田谷区立学校の教員となったすべての先生方を対象とした転入教員研修を実施しております。この研修の中で、教育ビジョンの第一の柱に地域とともに子どもを育てる教育を位置づけ、学校協議会を設置しているという意義やねらいについてなどを説明しております。また、他区市から異動されたり、新たに区内で昇任された管理職の先生方には、世田谷区の特色ある教育施策についての理解を深めるよう管理職研修を実施いたしまして、学校協議会のリーフレットを配付するとともに、その取り組み等も紹介をしているところでございます。  さらに、地域や保護者、学校の関係者が一堂に会し、各学校の学校協議会の実践を報告し、相互に情報を交換する学校協議会フォーラムを毎年開催し、学校協議会への理解を深めてきているところでございます。 ◆唐沢としみ 委員 教員の人事権の移譲の実現を急ぐことがより重要な課題でありますけれども、当面は世田谷区ならではの先生が一人でもふえるということの努力が大事であると思います。学校協議会は、学校教育の充実、青少年の健全育成とともに、地域防災を三本柱として活動しているわけでありますが、地域防災というのは直接には教育活動とは言えませんから、ちょっと異質な気もいたします。実際、国の学校支援地域本部には地域防災を扱う機能はありません。  そこで伺いたいのは、なぜ地域防災が学校協議会活動の柱となっているのか、その理由についてお答えください。 ◎直田 教育指導課長 平成七年一月に起きました阪神・淡路大震災の被災地では、学校が被災者の避難所となったり、地元の中学生が地域の方々と一緒になって救助活動や避難所運営に携わっていたりするなど、学校が地域の核となって大きな機能を果たしました。このようなことを背景に、平成九年、区教育委員会では、学校と地域が連携した地域防災を学校協議会活動の柱の一つとして、すべての区立小中学校に学校協議会を設置したということでございます。  子どもたちが災害に見舞われたときに、自分たちで考え、危険を回避し、対応する力などを身につけることは大変重要なことであります。各学校での防災教育の一環として、避難訓練や安全指導に加え、学校協議会では避難所である学校に宿泊するサバイバルキャンプやD型ポンプ講習会、普通救命講習会などを実施して、多くの子どもたちが参加できるように地域防災に取り組んでおります。  区教育委員会といたしましては、災害の発生時には学校は地域の避難所となることから、子どもたちの安全確保はもとより、区民の方々の被害を最小限に防ぐためにも、地域と学校が連携して防災活動に取り組むなど、避難所としての機能を強化していくことが大変重要であるというふうに考えております。 ◆唐沢としみ 委員 区民のだれもがかかわる防災活動が活動の柱になっているということは、確かに世田谷の学校協議会の大きな特徴でもあります。この特徴が学校協議会にかかわる人脈を広げ、PTAに参加する若い世代が高齢者の多い町会、自治会の人たちと知り合い、ネットワークを築く貴重な機会になっていることをもっと大切にすべきだと考えます。区民生活領域でもこの点については、地区防災訓練、避難所運営訓練などの計画づくりについても私は質問しましたが、実行委員会や学校協議会で議論をしながら決めているとの答弁がありました。まさにこうした訓練は、地域コミュニティーの核である学校を中心としながら、地域住民と行政とが一体となって、いつ起こるかもしれない災害に備えていかなければならないと思います。  いざ災害が起きたときは、学校は命を守る避難所となります。教育委員会は、危機管理室、総合支所など関係する所管としっかりと連携し、責任を持って取り組みを進めてほしいと思います。防災というだれもが関心を持つ課題について、身近な学校に町の人々が集まって議論を交わしたり情報交換を行う。そのことが地域のネットワークづくりに広がりを持たせ、防災だけでなく、学校ボランティアの育成にもつながり、PTA活動の活性化を促進するものと思います。  そこで伺いますが、せっかくここまで築き上げてきた学校協議会ですから、この仕組みがますます充実するような取り組みを今後どう進めるべきとお考えでしょうか、ご見解をお願いいたします。 ◎直田 教育指導課長 学校協議会の活動を通して、構成メンバーの人々のつながりが広がったり、自治会や町会、PTAなどそれぞれの活動が充実してきていることは、学校協議会の大きな成果の一つであるというふうに認識をしております。各学校では、小中学校ごとの学校協議会を開催するとともに、平成十八年度からは小中合同学校協議会を実施し、学校間の授業交流や合同行事を実施し連携を深めるなど、学校協議会の充実を図ってきているところです。また、ことし八月には、先ほどの学校協議会フォーラムを第四回世田谷区教育フォーラムの中に位置づけ、学校協議会の取り組みを世田谷区内外に発信するなど、区教育委員会といたしましては、学校協議会の一層の充実を図りながら、地域とともに未来を担う子どもを育てる教育を推進してまいりたいと考えております。 ◆唐沢としみ 委員 次に、世田谷九年教育について伺います。  世田谷九年教育検討委員会の報告書素案が九月に出されて、私も拝見させていただきました。まだ漠然としたイメージではありますが、素案で示された世田谷九年教育は、世田谷区の特徴である地域とともに子どもを育てる教育を、これからは小中学校が一体となってより進めていこうとするものであり、教育について高い関心を持つ区民のためにも大いに期待するものです。  素案では、近隣の小中学校がグループを構成し、グループごとに目標や方針を定め、地域の特色や各学校の実態に応じて、グループとしての特色を発揮するとあります。世田谷区は、これまで各学校が地域との連携を深め、各学校単位で地域との連携を進めてまいりましたが、世田谷九年教育では、小中学校のグループ単位で地域との連携を深めていくことになると思います。  そこで伺いたいのは、グループ単位で地域との連携を進めていくことで、これまでにないどのようなメリットが学校、地域に出てくるのか、この辺についてのお考えをお伺いします。 ◎平川 副参事 世田谷九年教育は、委員お話しのように、中学校の学区域を基本とした、同じ地域や近隣の小中学校が一体となってグループを構成し、学校運営や教育活動を進めることにより、地域の方々のご協力をいただきながら、子どもたちを義務教育の九年間を通して、同じ地域の小中学校が責任を持って育てていくことをねらいにしております。  例えば、現在指定しておりますパイロット校では、小中学校合同の目標や方針を立て、地域の教育力と特色を生かして、小中学校が一体となって学校運営を充実させたり、小中学校合同でのあいさつ運動ですとか防災訓練など多様な活動に取り組んだりして、学校と家庭、地域がより一体となって、地域の子どもたちを義務教育の九年間を通して育てようというふうに努めております。  こうした活動を通して、地域の小中学校を核としながら、より地域のネットワークも広がり、また、地域のさまざまな活動も活発になっていくものと考えております。 ◆唐沢としみ 委員 世田谷区は、教科「日本語」などを通して言葉を大切にした教育を進めております。世田谷九年教育は、小中学校の九年間を通して、教育内容、カリキュラムを今後検討していくことになると思いますが、ぜひ世田谷の子どもたちにふさわしい、世田谷らしい教育を実現してほしいと思います。そのためにも、小学校に入学した子どもたちや父母が、小学校、中学校でどう学んでいくかという、そういうイメージを持つことができることが大切だと思います。  そこで伺います。九年教育ではどのようなカリキュラムを作成しようとしているのか、お考えを伺います。お願いします。 ◎平川 副参事 検討委員会のまとめの素案では、世田谷九年教育で、育てたい力・資質として、豊かな人間性、豊かな知力、健やかな身体を育成することとし、また、そのために世田谷区が特に取り組んでいる言葉を大切にする取り組みを推進して、言葉の力を育成することが大切であるというふうにしております。また、義務教育九年間の発達段階に応じて、よりきめ細かく子どもたちを育てていくために、基礎、基本を確実に定着させる小学校の前半、小学校と中学校の円滑な接続を図る小学校の後半から中学校の前半、そして、義務教育終了に向けた自己実現を図る中学校の後半、三つの段階に整理をしております。こうした検討委員会での検討を踏まえ、世田谷区の児童生徒にふさわしい義務教育九年間を通したカリキュラムを整理開発してまいります。 ◆唐沢としみ 委員 世田谷九年教育を実施し、区の小中学校の教育をよりよくしていくためには、学校の理解と協力が不可欠であります。具体的な取り組みについては、今後具体的な検討が進んでいくと思いますが、区立の小中学校の先生が世田谷九年教育のねらいや取り組みの内容を十分理解して教育を進めていかなければ、十分な効果が期待できないのは当然であります。また、保護者はもとより、地域の方々への説明も極めて必要であります。そのためにも、そうしたことのご努力をお願いしたいわけです。  そこでお伺いしたいのは、学校や保護者などに対してどのような説明を行おうとお考えでしょうか、そのあたりについてお伺いいたします。 ◎平川 副参事 世田谷九年教育検討委員会には、保護者、地域の方の代表、小中学校の校長会の代表などが委員となっております。検討委員会の素案につきましては、小中学校の校長会や副校長会において説明を進めているところでございます。また、教務主任研修会やパイロット校の小中学校の合同研修会などで、直接教員へも説明をする予定でございます。さらに、区立小中学校のPTA連合協議会の役員会などでご説明させていただくとともに、教育委員会事務局幹部職員が直接学校に伺って、保護者や地域の方々と意見交換を行う出前懇談会においても、学校の希望に応じてご説明をさせていただきたいというふうに考えております。 ◆唐沢としみ 委員 期待される世田谷九年教育に対しては、現場でもさまざまな課題が生じると思います。一方で私が危惧していることは、今言われております社会格差の問題であります。社会経済状況がどうあれ、親や家庭がどんな状況であっても、子どもたちはひとしく教育を受けられなければなりません。子どものときの教育が大人になって非常に大切であります。絶対……。 ○大場やすのぶ 委員長 以上で社会民主党の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○大場やすのぶ 委員長 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。 ◆木下泰之 委員 給田小学校の光公害問題について、三月の議会で取り上げましたけれども、その後対応について、特に体育館の屋上について何かやっていますか。 ◎伊東 施設課長 委員からいただいております給田小学校への太陽光パネルの設置のご提案は、体育館の屋根が太陽光により白く光る問題の解消と自然エネルギーの活用など、将来にわたる環境社会を展望した上でのご提案というふうに受けとめております。  給田小学校では、屋根の構造や形状が上部に工作物を設置するような設計とはなっておらず、また、荷重等の課題がございます。屋根材一体型の太陽電池モジュールというものもございますが、この場合は屋根をつくりかえるという大規模な改修が必要となってしまうことから、このような課題に総合的に対応できるような整備の仕方ですとか機器の開発などを注視してきたところでございます。  太陽光発電は、技術革新が日々進んでいるとはいえ、施工技術や性能、コストなどの面から、いまだ導入するような状況までには至っていないというのが現状でございます。今後も機器や施工技術の最新情報に注視し、情報収集に努めてまいりたいと思っております。 ◆木下泰之 委員 問題は、本気でそういうことについて研究しているかどうか疑わしいですよね。やはりきちっとやってもらいたい。甲子園の屋上にも今度太陽パネルをつけるというようなことになっていますよ。そういう大規模なことだってできるんですよね。お金はかかるかもしれないけれども、じゃ、幾らかかるのかとか、そういうことも含めて試算してくださいよ。周辺に被害を与えているわけですから、そういったことで対応していただきたいと思います。  それから、図書館での点訳の問題なんですけれども、他会派の質問で、世田谷では点訳を今後やっていかないというようなことの答弁に聞こえたんですが、それはどうなんですか。 ◎千葉 中央図書館長 点訳につきましてでございます。視覚障害者に対するサービスといいますのは、現在、点字本の貸し出しに加えて、録音図書、デジタルの録音、デイジー図書と言いますけれども、それも含みますが、それの貸し出しや対面朗読等がございます。冊数その他はちょっと省略しますけれども、そういった部分の使用が非常にふえておりまして、私どもとしては、当面そちらの録音図書等への移行という部分で考えております。  ちなみに録音図書につきましては貸し出しが九千二百七十九冊、これは昨年度実績でございますけれども、そういったものがございます。ですので、そういった部分で需要の多いほうへ移行していくというふうに考えております。 ◆木下泰之 委員 聞いていないことは答えないでくださいよ。いいですか、点訳と音読との違いというのもあるんですよ。パロールとディスクールという言葉がフランス哲学なんかをやっているとありますよ。まさに両方必要なんですよね。教育長そう思いませんか、いかがですか。 ◎萩原 教育政策部長 視覚障害者の方からはさまざまな、多様なニーズを聞いておりますので、いろいろなサービスを組み合わせたり、あるいは他図書館とのネットワークを通じながら、必要なサービス、あるいはサービスの向上に努めていきたいというふうに考えております。 ◆木下泰之 委員 今、他図書館とのネットワークと言いましたよね。それで、点訳ボランティアというのが、世田谷では図書館の部屋を借りてやっていたそうですけれども、それについて撤去か何かさせられちゃったみたいですね、それはいかがなんですか。 ◎千葉 中央図書館長 ご指摘の点訳ボランティアの方々につきましては、中央図書館の対面朗読室がございますけれども、これを便宜的に使用して活動しておりましたが、先ほど申し上げましたように、音訳のニーズがふえるとともに点訳のニーズが少なくなったこと、また、図書館として点訳事業を実施していないことなどの事情から、順次活動する団体が少なくなり、平成二十年三月を最後に、点訳設備等のある福祉関連施設をご紹介し、そこに活動拠点を移っていただいたという経緯がございます。なお、活動拠点が移ることにつきましては、福祉所管とも調整した上で丁寧にご説明し、こうした事情を十分ご理解いただいたものと認識しております。 ◆木下泰之 委員 私は、区民が図書館に協力して点訳なんかを手伝ってくれるということはすごく大事なことで、そういうことをどんどん進めるべきだと思うんですね。利用の数が少なくなったと言うけれども、しかし、本当に将来学者になろうという視覚障害者とかそういう人たちには必要なんですよ。それから、技術革新も進んでいるから、点訳というものは他区との、あるいは全国の自治体とのネットワークさえ努めていけば、それをストックとしてどんどんふやしていくこともできるし、交換することだってできるわけですよ。そういう時代になっているのに、利用者が少なくなったからやめてしまうというようなことは許されないことですよ。  教育長にもう一度聞くけれども、哲学も関心があるようだけれども、パロールとディスクールの違い、両方必要だということを認めてくださいよ、どうですか。 ◎若井田 教育長 大変古い話になりますけれども、私も三十年ほど前に、当時、日本点字図書館の創始者、館長でいらっしゃいました本間先生に教えを請いまして、点訳ボランティアをしておりました。主に数学書の点訳でございました。その当時は一つ一つ穴をあけていくという点訳板を用いたわけですけれども、その後、非常に機械の発達等もございまして、また、視聴覚障害者の求めるサービスの変容などもございました。そういう中で、日本点字図書館等と連携したご案内ですとかネットワークを活用した提供に努めていきたいというふうには考えておりますが、また一方で、点訳にかかる新しい機器システムの開発も行われているというふうに伺っておりますので、情報収集しながら研究してまいりたいというふうに考えております。 ◆木下泰之 委員 教育長から、さすがにいい答弁をいただいたんですけれども、要するに、ちゃんと研究してやる、それが教育の基本ですよ。宿題はやらなきゃいけないんですよ。子どもにばかり宿題を与えて、自分たちは宿題をやらないということはいけない。それは今言ったような課題についてきちっとやっていただきたいと思います。フィンランドの図書館への視察に行くようだけれども、先進福祉国家ですよね。その中でどういうふうに点字が使われているのか、そういったこともしっかり見てきていただきたいというふうに思います。  光公害の問題とか、今の点訳の問題、それから、他会派からあったけれども、給食の処理の問題とか、どうも教育委員会は官僚主義的過ぎますよ。そういったことについてきちっとやっていただかないと、区民からの信頼を失いますよ。未来を切り開くとか、人の心がわかる、そういったことをきちっとやってください。それは宿題として申し上げますので、ぜひ宿題はやっていただきたいと述べまして、終わります。 ○大場やすのぶ 委員長 以上で無党派市民の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○大場やすのぶ 委員長 引き続きまして、区民の会、どうぞ。 ◆あべ力也 委員 それでは、質問してまいりますが、私も図書館ビジョンについて質問してまいりたいと思います。図書館ビジョンの中でも、子どもに向けた図書館ということで質問してまいりたいと思います。  ことし、たまたまアメリカのオレゴン州のベンド市というところに伺いましたときに、そこで市立図書館を拝見する機会がございました。その図書館を私も見て、子ども用の図書館と大人の図書館というのが物理的に階数で分けてありまして、お話を伺いますと、子どもは騒ぎながら書物に触れたり何かをして学んでいくものであるから、大人の方が図書館を利用する場合に、走り回ったり、騒いだりする声が邪魔にならないように、図書館の中で階数を分けてやっているんだということでありました。いろいろ拝見をしましたら、日本で言う児童館的な機能も備えていて、遊戯施設、それと、子どもに読み聞かせをしたり、保育園的な機能なんかも持たせていて、大変参考になって見てまいりました。  今般、世田谷の図書館ビジョンの素案というのを拝見させていただきましたが、その中で、世田谷区子ども読書活動推進計画という中で、学校等の教育機関及び児童館や保育園等の子ども関連諸機関への支援等も行うというような取り組みも書いてあります。  例えば、図書館ビジョンの中に二〇二〇年の世田谷区立図書館の利用体験イメージということが書かれておりますが、この中をちょっと読んでみますと、中央図書館の二階のほとんどが子どもコーナーになっていた。そこでは、子どもは多少声を出しても大人に怒られる心配はなさそうだ。さすがは八十五万都市世田谷の中央図書館だと思った。昔の子どもコーナーは下位フロアの片隅にあったと記憶している。このコーナーは、今、各地域館を紹介するコーナーとなっていて云々と書いてありますが、まさに私がベンド市というところで拝見してきた図書館の現状が、世田谷では二〇二〇年にそういったイメージを実現しようというようなことで書いてあるわけであります。  そこで、児童館の機能を備えた図書館ということで、今、児童館と図書館の現状ということをちょっと調べてみましたら、世田谷の図書館で児童館を併設しているというのが今現在八館あるんですね。ただ、機能的に一緒にしているのではなくて、同じ館の中に併設をしているということであります。これは、もちろん図書館は文科省の管轄であって、児童館は厚労省の管轄ということで、縦割りの中で、同じ建物にあっても分けて一緒にあるということであります。これを何とか、新政府の一つのキーワードは一元化ということでありましょうから、今後そういうような考えは地方の図書館にも及んでくるのかと思います。  子ども図書館に当たっては、児童館と図書館を合築するというようなことも今後考えられると思うんですけれども、図書館の将来像をまさに今素案としてご提示されている教育委員会として、こういった子ども図書館の将来像について、お考えについて伺いたいと思います。 ◎千葉 中央図書館長 子どもの図書館の将来像でございます。子どもの読書活動につきましては、図書館ビジョン素案におきまして、世田谷区子ども読書活動推進計画(第二期行動計画)に基づいて、児童館等の子ども関係機関への支援を行うものと位置づけ、相互の連携のもと、子どもの読書活動を推進していくものとしております。また、児童館と併設することのメリットを活用した図書館運営については、図書コーナーを通じた交流や合同でのイベントの開催等、一層推進してまいります。  図書館ビジョン素案の二〇二〇年の世田谷区立図書館の利用体験イメージ、ご紹介していただいたように、小さいお子さん連れの保護者も遠慮なく利用できる子ども専用コーナーの設置、子どもが多少声を出しても怒られることのないコーナー、そうしたコーナーについて検討してまいりたいと考えております。また、地域図書館においても同様の思いはございますけれども、スペースの問題等で難しい状況がございます。改築や移転時等において検討していきたいと考えております。  いずれにしても、子どもたちが気軽に読書活動に楽しめるように、児童館等、子ども関係機関との連携を図っていきたい、かように考えてございます。 ◆あべ力也 委員 世田谷区の独自の考え方での図書館を創設していく上で、今後、新政権は地域主権ということを前面に出しておりますから、それぞれの地域で特色のある政策を実行していくことが可能になってくるのかなと思います。まさにこの図書館ビジョンの素案は、十年後の図書館のあり方ということでありますから、今の現行法上ではなかなか難しい点もあると思いますけれども、そういういろんな要素を含めて、合築に関するメリットを、ハード、ソフトの面からもぜひ検討していっていただきたい。  あと具体的に、今後この図書館ビジョンの進め方について伺ってまいりたいと思います。 ◎千葉 中央図書館長 今現在、ビジョンの素案をお示しいたしまして、区民の方々からご意見等を伺っているところでございます。今後この素案を案にして、今年度中にビジョンとして完成させていくつもりでございます。それら出ました計画につきましては、平成二十二年度を初年度とする行動計画を策定して、関係機関と連携しつつ、具体化に向けて対応してまいります。 ◆あべ力也 委員 図書館については、私も議員になってから何回か質問させていただいていますけれども、こういった図書館ビジョンを策定する機会に、本当に区民の皆さんが使いやすい図書館についてしっかり検討していただいて、視察にも行かれるようですから、しっかり見てきていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
    ○大場やすのぶ 委員長 以上で区民の会の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○大場やすのぶ 委員長 引き続きまして、レインボー世田谷、どうぞ。 ◆上川あや 委員 本日、私からは、保健室における傷、やけどケアについて伺いたいと思います。  まずは所管から、保健室での対応の現状についてご説明をいただきたいと思います。 ◎大澤 学校健康推進課長 区立小中学校の保健室の現状としましては、軽症なすり傷、切り傷から、打撲、捻挫等の軽度なけがなどや、頭痛、腹痛などの病気に至る疾病まで、さまざまな症状で児童生徒が頻繁に保健室に来室しております。また、養護教諭が携わる救急処置は、けがの処置から救急車を要請する判断まで、多岐にわたっております。保健室では軽度の外傷の手当てを行い、医療行為による継続的な治療を必要と判断したものは、医療機関への搬送や帰宅後の通院を指導しております。  学校の規模によって異なりますが、過去の一例で申し上げますと、児童数が七百人程度の小学校では、すり傷、切り傷等の外科的疾病が保健室の来室理由の上位を占めております。一日平均四件、年間で七百人を超える児童が保健室で応急処置を施されております。 ◆上川あや 委員 すり傷あるいは切り傷のケアが保健室対応の上位を占めるとのことでしたけれども、所管にその対処方法を伺いましたところ、傷は消毒をし、ガーゼなどを当てて乾燥させるという従来型のケアが基本とのことでした。消毒薬とガーゼに代表される乾かすケア、いわばドライヒーリングというのが基本なんですね。しかし、このドライヒーリングの考え方は、今や誤った「常識」なのではないかというのが本日の問題提起です。  ご存じの方も多いと思いますけれども、平成十五年にNHKの「ためしてガッテン」という番組で特集が組まれて以降、このドライヒーリングの考え方には土台から見直しが迫られています。傷は密閉して適度な水分を保ったほうが早くきれいに治るという密閉療法、モイストヒーリングの考え方が最先端の医療現場から家庭へとおりてきているんですね。  この療法を推奨する石岡第一病院の夏井睦医師は、その原則を五つに集約して説明しています。私なりにかみ砕いてご紹介をしたいと思います。  第一の原則は、傷口は乾かすと治らないというものです。露出した真皮は乾燥に弱く、乾燥が続けば細胞は容易に死滅をします。傷の回復には細胞が生存できる湿潤環境こそが不可欠という考えです。第二は、消毒しても化膿は防げないという原則です。傷感染は細菌とともに異物や死んだ細胞が組織に混在したときにのみ起こります。逆に言えば、組織に異物や死んだ細胞が混在しないケースでは消毒は無意味であって、そこに予防効果はないそうです。第三の原則、消毒は回復の妨げになるというものです。消毒薬は細菌以上に人体に強力に作用します。消毒薬原液の中で生存できる細菌はいるそうですけれども、希釈した消毒液でも人体細胞は容易に全滅してしまうそうです。このため、消毒をすればするほど細胞は死滅して、傷は治りにくくなるんだそうです。第四の原則、傷をガーゼで覆ってはいけないんだそうです。傷口からしみ出る体液には細胞成長因子というものが含まれるそうです。皮膚の再生にはこうした成分の保持こそが必要で、それをガーゼで吸い取って乾かすのは傷の治りをおくらせ、傷跡を残りやすくするんだそうです。最後の原則五、傷はよく洗ったほうがよいというものです。傷感染は細菌と異物が組織に混在することで起こりますので、これを防ぐには水道水などで患部をよく洗うことが重要だそうです。  以上の考え方に立った密閉パットが既に多くのメーカーから出ています。これは、きょう私が自宅の薬箱から探し出して持ってきたものなんですけれども、こういったパッドは、今、ドラッグストアでも簡単に手に入りまして、私もこの療法を日々実践している一人なんですけれども、傷口を洗ってパッドを張るだけで不思議と痛みが和らいで、消毒薬の痛みもなくて、非常にきれいに、しかも、早く治るという実感があります。  行政の取り組みでいいますと、江東区、杉並区、新宿区、中野区の養護の先生方は、既に密閉療法の学習会を積極的に開いて、現場の対応に生かし始めています。港区の子ども支援部も、昨年、この療法をぜひ勉強してほしいと、区内すべての保育園に資料を配付したとのことでした。伺うところ、堺市の所管でも全保育園にこの資料を配付したんだそうですね。  一方で、世田谷区には何の動きも見えてまいりません。区の現状はいかがなのか、お答えをいただければと思います。 ◎大澤 学校健康推進課長 密閉療法につきましては、書籍、新聞記事、テレビ番組の放送等でも取り上げられて、傷は消毒しない、創面はガーゼを張って乾燥させるのではなく、湿潤することで傷跡を残さず痛みを軽減する効果があるということは聞いております。また、他区におきましても、小学校の養護教諭部会の研修の一環として、密閉療法を紹介するセミナーや講習会を開催、参加していることも把握しております。世田谷区の取り組みにつきましては、研修会や講習会等に参加している事例はございません。 ◆上川あや 委員 ぜひ世田谷区でも他区におくれることなく取り組んでいただきたいんですね。民間団体の調査によりますと、養護の先生方の間で密閉療法の認識率は既に九割を超えているそうです。一方で、認知する先生方の間でも学校への導入は一八%に限られています。その背景として、養護の先生方からは、保健の教科書そのものが消毒薬とガーゼによるケアを取り入れているので矛盾してしまう、あるいは、教職員に十分な理解がなく、消毒、ガーゼという従来の発想から抜け出せない人たちが多い、あるいは、保護者にも理解を広げる必要があるといった難しさを指摘する声が上がっています。  こうした問題の解決には、養護の先生のみならず、教職員に理解を広げる、あるいは保健だよりを通して保護者の方々にも働きかけるといった対処が必要だと思います。ぜひ区にも積極的にこの改善に向けて動いていただく必要を感じますが、いかがでしょうか。 ◎大澤 学校健康推進課長 委員みずからもお話しのように、この密閉療法につきましては、情報が少ないこと、家庭でのアフターケアの不安、保護者への理解を得る必要が得られていないこと、保健学習の教育内容との整合性が必要であること、また、コストの面など課題があることが、養護教諭の教育学会誌でも取り上げられております。  とはいえ、何よりも子どもの安全、健康が第一でありますので、基本となる健康の保持、増進に結びつくこととして、従来の知識に固執することなく、新しい情報を敏感に取り入れ、教職員及び保護者を含めた意識を変えていくことは必要なことと考えます。学校や保護者に対しまして新しい情報の共有を図る観点からも、ご指摘の療法を研修会の題材の一つに加えることや、保護者へ周知することも必要でありますので、養護部会等へ問題提起していきたいと考えております。 ◆上川あや 委員 新しい位置づけへの情報はふえていますのに、それを取り上げることなく、子どもに生涯残るような傷が残るようでは困りますので、しっかりとお願いしたいと思います。  以上、私の質問を終わります。 ○大場やすのぶ 委員長 以上でレインボー世田谷の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○大場やすのぶ 委員長 引き続きまして、世田谷無所属の会、どうぞ。 ◆ひうち優子 委員 本日は、図書館のあり方について質問させていただきます。  昨年の予算特別委員会でも質問させていただきましたが、八月に世田谷区図書館ビジョンの素案が出されましたので、再度質問させていただきます。  まず、図書館の適正配置について伺います。先日、玉川三丁目に住んでいる方から、図書館が近くになくて不便、玉川台図書館まで行かなくてはならず、坂もあるし、行くのに一苦労するというご意見をいただきました。確かに二子玉川駅周辺には図書館がなく、用賀の玉川台図書館まで行かなくてはなりません。図書館配置についてはエアポケットという考え方があり、そのはざまに当たる地域の方々は図書館不便地域となっていることも事実です。二子玉川は、今後、町が変わり大幅な人口増加が予想されますので、特に図書館の再配置を検討すべきと思います。そのほかにも全国的に知名度が高い下北沢や三軒茶屋も図書館が駅から遠く、文化都市世田谷の顔である町としては何か大切なものが欠けている印象があります。下北沢や二子玉川は、今後、駅周辺が生まれ変わるので、それに合わせて図書館を設置するチャンスでもあると考えます。  先日の一般質問で、駅ナカにちょっとした図書館コーナーをつくれないかという質問をさせていただきました。図書館ビジョンにICTを積極的に活用して図書館を補完する図書館ターミナルの設置も検討していくとありますように、何も大きな図書館をつくらなくても、駅のちょっとしたスペースを利用して、ICTを活用して図書館の検索、取り寄せ機能と返却ボックスを置けば十分に機能すると思うのです。このような点も踏まえ、これからの全体の図書館配置について、区の考え方をお聞かせください。 ◎千葉 中央図書館長 区全体の図書館の配置につきましては、基本的に徒歩十五分圏内、距離にして半径約一キロ圏内ごとに設置する目標を、現在の中央図書館と十五の地域図書館、そして、それを補完する形の五つのまちかど図書室の設置により、おおむね達成されたものと認識しています。しかし、区教育委員会としましては、図書館ビジョン素案に記載しておりますように、地域の状況の変化に応じて、新たな図書館やまちかど図書室、ご紹介がありましたが、仮称図書館ターミナルの設置などについて課題として認識しております。 ◆ひうち優子 委員 特に図書館ターミナルの設置は、今後必要かつ有効かと思います。地域の状況に合わせて、二子玉川や下北沢など図書館不便地域への設置も検討していただきたいと思います。  次に、図書館の運営体制について伺います。  今や全国の公立図書館の約六館に一館が民間参入の時代であり、ふえる一方であります。九月には杉並区が十二の地域図書館に指定管理者を導入するという方向性を発表しましたし、二十三区で既に指定管理者を導入している区は九区、全館または一部で業務委託をしている区は十二区、直営は二区となっております。世田谷区でも既に経堂図書館で一部業務委託を実施しております。何もすべての図書館を民間委託すべきと申し上げているのではなく、あくまでよりよい図書館にするための一つの手段であると考えますが、民間からの参入によるメリットは、運営費削減だけでなく、最近では本とは無縁の異業種からの参入によって異色のサービスが登場し、来館数もふえております。  例えば府中市の中央図書館では、ITをうまく利用した民間企業が参入、ICタグを専用端末にかざすだけで予約した本の棚が光り、瞬時に探すことができる、また、車に乗ったまま館外からの返却も可能といったサービスが話題を呼び、出冊数は一・七倍に増加、来客数も急増しました。図書館に足を運ぶきっかけになったのです。また、千代田図書館では、美術館や音楽ホールの運営実績を持つ民間企業が参入、飲食店などを案内できるコンシェルジュを常駐させており、神保町の古書街と連携した展示など、企画力が強みということです。そのほかにも、兵庫県明石市立図書館では、車両サービスが本業の民間企業が参入し、高齢者、障害者への本の集配サービスを行っており、このほかにも、ビル管理、人材派遣、出版関係などの企業が参入し、それぞれの得意分野を生かしております。  そこで、今後の図書館の運営体制について考えをお聞かせください。 ◎千葉 中央図書館長 さまざま運営の形態はございます。指定管理者制度とか、今現在区でやっております非常勤職員を活用した区直営方式、経堂図書館で導入している一部業務委託方式、それぞれの運営方式を比較検討して、地域特性に応じた運営体制が構築できる方式を選定し、順次導入してまいります。 ◆ひうち優子 委員 地域の特性に合わせて、それぞれの図書館に合った運営体制を導入していただきたいと思います。  最後に、今後の図書館運営について伺います。  以前もいろいろと提案をさせていただきましたが、まずは所蔵資料やレファレンスサービスなど図書館の本来の機能を整備した上で、図書館同士や学校とのネットワークの充実、また、ICTを利用した資料提供、特色のある図書館の構築などが求められていると思います。  その中でも、区内十六の図書館それぞれが特色ある図書館づくりを目指してはいかがかと思います。例えば世田谷区は横溝正史や中村汀女など世田谷区ゆかりの文学者が数多くいることから文学図書館、また、サザエさん、ウルトラマンからアニメ図書館、パーク図書館、フラワー図書館、遺跡図書館など、個性的な図書館が考えられます。  そこで提案ですが、世田谷区の文化力を生かし、世田谷美術館や文学館と連携した目玉となるような企画展示を行って来館者の増加を図り、多くの方が利用しやすい図書館づくりを目指していくべきと思いますが、いかがでしょうか。 ◎千葉 中央図書館長 図書館ビジョン素案におきまして、三つの基本方針の一つに「地域特性を活かした図書館」という大項目を掲げて、各図書館で特色ある運営を行うものとしております。例としてご指摘いただきました部分で美術館との交流につきましては、現在、玉川台図書館で美術館の図録、展示目録になりますけれども、それの準備を進めておりまして、文学館と中央図書館では、毎年講演会などで共催事業を現に実施しております。  いずれにしても、従来、画一的と言われる図書館運営を、十六の特色ある図書館運営づくりというふうに目指してまいります。 ◆ひうち優子 委員 図書館は知の宝庫です。各地域の特性を生かし、情報発信の拠点となるような、そして人々が足を運びやすい、夢のある図書館をつくってください。  以上で私の質問を終わります。 ○大場やすのぶ 委員長 以上で世田谷無所属の会の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○大場やすのぶ 委員長 引き続きまして、無所属、どうぞ。 ◆青空こうじ 委員 教科「日本語」の取り組みについて、最初に、一般質問でも取り上げた、八月に行われた世田谷区の教育フォーラムの事例に関して伺います。  教育フォーラムの二日目に、料理研究家の土井善晴さんの話を聞く機会がありました。世田谷区民会館のホールのステージで、土井さんが子どもたちと話しながら、土井先生が持参したふろしき包みを開いて茶わんや急須、お盆を取り出したのには皆さん驚きました。そして、土井さんは、子どもたちにお茶を出すよう催促しました。突然のことで、子どもたちはさぞ緊張したのでしょうが、精いっぱい心を込めてお茶を出しました。土井さんは、子どもたちの出し方を褒めた上で、みずから模範として茶わんに手を添えて出す方法を実際に見せてくれました。日本の伝統的なもてなしの心の大切さを、みずからの所作を通じて、子どもたちも学んだ様子でした。  著名な先生に毎回来ていただくわけにはいかないでしょうが、今回の教育フォーラムの成果を生かしたお茶の出し方のように、子どもたちが実際の体験を通じて学ぶような機会を教科「日本語」の中に取り入れてはいかがと思うのですが、教育委員会のほうではそういう考えはあるのでしょうか、お伺いします。 ◎平川 副参事 委員お話しのように、中学生が緊張しながらも心を込めてお茶を出す姿がとても印象的でございました。自分の身近にある日本の伝統や文化に気づき、その価値を実感し、自分の生活を豊かにしていくことが教科「日本語」の日本文化領域のねらいであり、教育フォーラムでの中学生の体験は、まさにこのねらいに合致したものであるというふうに考えます。  子どもは実際に体験することによって学んだことを確かなものにしていきます。教科「日本語」においては、小学校で自分の体を使って花や木などを表現する活動を行っており、教員もその指導のための研修として、パブリックシアターのワークショップに参加するなどして学んでおります。また、狂言を鑑賞する古典芸能鑑賞教室では、狂言師から児童が狂言の所作や発声について指導を受け演じてみるなどの体験をしております。また、中学校では、浴衣の着つけや茶の湯や生け花などの体験を初め、生徒がみずから設定したテーマに従って、企業や地域の事業所などでインタビューをして調査活動を進めレポートを書く、フィールドワークの体験なども行っております。  区教育委員会では、今後も子どもたちが教科「日本語」の授業において、さまざまな体験を通して意欲的に学んでいくことができるよう取り組んでまいります。 ◆青空こうじ 委員 次に、才能の芽を育てる体験学習についてお伺いします。  八月十六日、中学生によるドリームジャズバンドのコンサートを今回も私は見せていただきました。立派な演奏を聞かせてくれたことはもちろんですが、あの有名な日野皓正さんを初めプロのアドリブ演奏に、子どもたちも見事についていったのには驚きました。結成してわずか五カ月で、よくぞここまで一生懸命したなと感銘を受けました。それは私だけではなく、最初はうまくできなかった子どもが本番で見事に演奏した姿を見て、感激して涙を出す保護者や指導に当たったプロの先生も見かけました。  ただ一つだけ残念に思ったことがあります。本会議場でも述べましたが、せっかくのこのコンサートに、学校の音楽の先生の出席が少なかったことです。本番は会場の制約もあって難しいかもしれませんが、例えばリハーサル風景など、音楽の先生も見る機会を設ければ、それはきっと大いに授業の参考になるのではないかと思います。この点についてはいかがでしょうか。 ◎松下 生涯学習・地域・学校連携課長 委員のお話のございましたように、ドリームジャズバンドに参加した中学生たちは、結成からわずか五カ月の間に大きく成長した姿を見せてくれたというふうに感じます。それは演奏技術の向上だけではなくて、やはり第一線の指導者の方々と接することによってさまざまなものを、厳しさを学んだり、また、みんなが共通の目標に向けて取り組む中で身につけるルールですとかマナーですとか、非常に多岐にわたっているものというふうに考えます。教員の皆さんにとっても、ふだんの授業ですとか生活の中ではなかなか経験できないプロの指導、こういったものに接することは意義あるものと考えます。  現在、コンサート本番の約一カ月前のリハーサルの段階で、練習風景を保護者や関係者に公開する公開ワークショップというものを行っておりますけれども、今後はお話の趣旨も踏まえまして、こういった機会を学校関係者にも案内いたしまして、体験学習の成果をより多くの方に実感していただくとともに、子どもたちの才能の芽を育てる取り組みを一層充実してまいりたい、このように考えております。 ◆青空こうじ 委員 最後に、最近相次いで報道されています薬物の問題を取り上げます。  芸能界では以前から、例えばモデルさんが簡単にやせられるという理由で使うのがよく見られました。古くは、私たちの先輩ではヒロポンとかハイミナール、そしてシンナーのトルエン、それから、あれを風船の中に入れましてアンパンとかそういうのが有名でしたが、残念ながら、今も後を絶ちません。最近では、大麻や覚せい剤など違法な薬物がネットで簡単に手に入るようになってきています。子どもたちの身近なところにも危険が潜んでいると思います。特に心配なのが若い世代です。芸能人の薬物の使用を知った子どもたちが、それをきっかけに薬物に興味を持ったり、ファッション感覚のようにとらえてしまっては大変危険だと思っています。  私がなぜこの問題にこだわるかと申しますと、私、芸能人としてではなく、ことしで十五年以上保護司をやっていますが、仕事柄、他の保護司さんの話を聞くわけですが、以前にも、名古屋、そして松山、富山、ことしは十二月八日に東京都下の府中刑務所のほうにも行ってきます。そこで薬物に手を出した人はみんな後悔しているのを私自身も見ています。でも、お菓子じゃないけれども、決してやめられないんですね。乱用した人は人生がぼろぼろになってしまうんです。いずれ心もだめになってしまいます。一生台なしになってしまうわけですが、極めて重大な問題です。  改めて子どもたちに薬物の恐ろしさを教え、決して手を出さないような指導をする必要があると思うのです。教育委員会は、こういう薬物に関してはどういう考えを持って、子どもたちに接しているのかお伺いします。 ◎直田 教育指導課長 平成二十年四月の警察庁の発表資料によりますと、全国における覚せい剤事犯の検挙人数のうち二五%、また、大麻・合成麻薬事犯についてはその六二%が若年層となっております。区教育委員会といたしましては、青少年の乱用のすそ野が広がっている現在、薬物乱用防止の教育は小中学校の段階から行うことが一層重要であるというふうに認識をしております。  現在、世田谷区立学校におきましては、小学校では体育科の授業でシンナーなどの有機溶剤、また、中学校では保健体育科で覚せい剤や大麻などを取り上げて、これら薬物の摂取によって幻覚を伴った激しい急性の錯乱状態や急死などを引き起こすこと、また、心身の健康に薬物の及ぼす深刻な影響、薬物の乱用は法律で厳しく規制されていることなどについて学んでいます。また、各学校では、警察などの関係機関……。 ○大場やすのぶ 委員長 以上で無所属の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○大場やすのぶ 委員長 引き続きまして、自由民主党、どうぞ。 ◆鈴木昌二 委員 自由民主党区議団の質問をいたします。  初めに、私は異文化理解、英語教育についてお尋ねいたします。  ご存じのとおり、昨年六月にスペースシャトルに乗り込んだ星出彰彦さんの講演会を地元出身校の小学校で開きましたが、小学校時代からの夢を果たした星出さんのお話は、子どもたちの心に強く響いたようであります。  私はさきの一般質問で、国際理解教育を進めていく上で、次の世代を担う子どもたちに日本の歴史や文化の理解を深めさせ、日本人としてのアイデンティティーを確立していくことは、私たち大人の責務であるということについて質問をいたしました。日本人としてのアイデンティティーを確立するということは、世界の人々とともに生きる、自立した個人として生きていくことの原点であると考えるからであります。こうした自分自身の原点を固め、グローバル化が進む国際社会の中で、世界の人々と積極的にかかわっていくことが大切であります。星出さんは、まさに自分自身の足元を固め、世界の人々のことを真に理解し、世界の方々とともに宇宙に行き、そして、今を生きる子どもたちに夢と希望を与えています。  私は、世田谷区の子どもたちが自国の歴史に基づく価値観、文化観を持ち、自分自身のアイデンティティーを確立すると同時に、ほかの国の歴史や文化、伝統などについて理解を深め、尊重する世界観、歴史観を身につけてほしいと願っているからであります。異なる文化を持った世界の人々とともに生きていくことができる豊かな国際感覚を磨いていく教育を、世田谷区の学校において充実させていくことが重要であると考えるからであります。  現在の異文化理解に関する教育について、教育委員会の基本的な認識と学校での取り組みについて、まずお尋ねいたします。 ◎直田 教育指導課長 世田谷区教育ビジョンでは、目指す子ども像の一つとして、「深く考え、自分を表現することができ、多様な文化や言語の国際社会で、世界の人々と共に生きることのできる子ども」を掲げており、子どもたちが広い視野を持ち、他の国の文化を理解するとともに、これを尊重する態度を育てるということは大変重要なことであると認識をしております。このような態度や能力を育てるために、例えば社会科の学習において、小学校六年生や中学校の地理的分野では、世界各国の衣食住の特色や、学校生活やあいさつの仕方などの生活の様子について理解を深める学習を行っています。  さらに、特別活動の一環として、子どもたちが国際理解委員会を組織し、外国の方を招き、事前に調べた外国の様子を発表したり、外国の歌を歌ったりするとともに、外国の食べ物や観光地を紹介していただくなどの国際理解集会を企画運営することなどとして、さまざまな文化に触れ、理解を深める取り組みを行っている学校もございます。 ◆鈴木昌二 委員 ほかの国の文化を理解していく上で最も大切なものは、それは言葉ではないかと思うわけです。言葉は文化そのものであり、コミュニケーションの重要な手段でもあります。言葉は人間の心、思想のあらわれでもあります。今日の文化は言葉という土壌の上に成り立っていると思うわけであります。  世田谷区では言葉を大切にする教育に力を入れており、教科「日本語」を実施しています。このように自分の国の言葉、母国語である日本の言葉を大切にする教育を進め、日本人としてのアイデンティティーを確立するとともに、もう一方で、世界の方々とコミュニケーションを図るための重要な手段である外国語、英語教育を充実させることも大切であると考えるからであります。  新しい学習指導要領では、小学校における英語活動が位置づけられることとなっております。既に区立小学校でも取り組みが進められていると聞いております。特に小学校における英語活動は、中学校での文法などの英語を前倒しして実施するのではなくて、外国の文化や歴史に対する理解を深めるとともに、簡単な英会話を十分に楽しむなど、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度をはぐくむことが大切であると思うわけであります。子どもたちの将来につながるような英語の学習である必要があると考えます。区立学校における英語活動の現状と、充実に向けた区教育委員会の考えをお聞かせ願いたいと思います。 ◎直田 教育指導課長 新しい学習指導要領では、外国語を通じて言語や文化について体験的に理解を深めさせ、コミュニケーション能力の素地を養うことを目標として、小学校においても外国語活動が位置づけられました。  区教育委員会では、区立小学校において英語活動推進の中核となる教員を対象とした研修会を実施しております。また、小学校で学級担任が行う英語活動をサポートする英語活動支援員を配置したり、各小中学校へALTを派遣し、英語を母語とする人材を授業に活用したりするなどの取り組みを進めているところでございます。また、梅丘中学校を英語を研究主題とする研究校に指定したり、すべての区立中学校が参加する中学校英語スピーチコンテストを実施するなどしております。  区教育委員会では、こうした取り組みをさらに進めるとともに、小中学校を通した英語のカリキュラムや教材を開発するなどして、英語活動の充実に取り組んでまいります。 ◆鈴木昌二 委員 次に、真の国際交流について幾つか質問いたします。  言葉を学ぶということは、単に机に向かっているだけでは十分であるとは言えません。実際に英語を使って話したり聞いたりすること、また、直接ほかの国の人と実際に接していくことが大切であると考えます。また、実際に外国の人と接して言葉を交わし、自分の意思を伝えたり、相手の思いを理解したりする経験は、子どもたちにとって大変貴重な機会となるのではないでしょうか。子どもたちが英語で自分の思いを伝えることができた、英語で尋ねられたことがわかったというような経験をすること、それがこれからの子どもの成長によい影響を与えていくものと思います。緊張しながら発した一言、一生懸命聞いてわかったときの喜び、こうしたものが大切なのではないでしょうか。  世田谷区にはたくさんの外国の方が生活しています。また、多様な施設などもあります。小中学校のALTはもとより、学校に外国の人を招くなどして、子どもたちと触れ合うような機会を設けていくことが可能ではないかと考えるわけです。区立小中学校では、このような国際交流にかかわる取り組みが行われているのではないかと思います。現状を伺いたいと思います。 ◎直田 教育指導課長 異なる文化や生活習慣を持つ外国の方との交流活動は、異文化を直接体験し、幅広い視野を養うという点で大きな意義を持っていると考えております。  例えば桜丘小学校では、総合的な学習の時間に、近隣の東京農業大学の留学生である東南アジアや南米などの学生を招いて、自国の食べ物や衣服、遊びなどの生活や文化についての話を聞いたり、一緒に給食を食べたりして交流を図っております。また、東深沢中学校では、イタリアやシリアなどの留学生を学校に招き、民族衣装を着る体験をしたり、自国の文化や日本との習慣の違いなどを調べたりするなどして、さまざまな国の文化について理解を深めるようにしております。  また、世田谷区では、小学校五年生を対象としたオーストラリア並びにオーストリアへの国際間交流小学生海外派遣、また、中学校一、二年生を対象としたカナダへの世田谷区中学生親善教育交流事業を行っております。 ◆鈴木昌二 委員 国際交流は、ただ外国の人と接すればよい、外国に行けばよいというのではないと考えます。問題は、交流する前に何を学んでいくのか、交流をした後にどのように振り返ってみるのかということが大事ではないでしょうか。世田谷区では小学生の海外派遣事業が行われており、オーストリア、オーストラリアに代表の子どもたちが出かけて、現地の方々との交流や、歴史や文化の理解を深めたり、自然に触れたりする活動を行っています。また、中学生の親善教育交流も行われており、中学生が隔年でカナダに出かけ、その翌年にはカナダの中学生が来日して、相互にホームステイをするなどして交流しております。  こうした活動についても、相手の国へ行く前の指導や帰国してからの指導が大変重要であると考えます。事前に相手の国の言葉や文化を学んで海外へ出かけていくと、興味や関心が何倍にも膨らんでいくのではないでしょうか。また、帰国して、実際に体験したことや感じたことなどを言葉に出して振り返ったり、文章にまとめたりすることにより、その価値は何倍にも膨らんでいくことだと思います。  こうした小学生、中学生の海外派遣事業などでは、どのような事前や事後の指導をどのように行っているのでしょうか、お伺いいたします。 ◎直田 教育指導課長 事前指導につきましては、保護者も含めまして、これまでの現地での交流の様子を紹介するほか、小学生は、例えば派遣先の国の言語を母国語とする方を招いて、あいさつなど簡単な会話を経験するとともに、現地で披露する踊りや演奏など、現地の人たちと深く交流できるような準備をしております。また、中学生は、例えば事前に自分のテーマを設定して、カナダの文化や歴史などについて調べるとともに、交流先のカナダの生徒に手紙を出すなどの取り組みを行っています。事後指導につきましては、現地で体験したことを冊子でまとめるとともに、現地での体験や自分でテーマ設定した研究について発表する報告会を実施しております。また、派遣された児童生徒が在籍するそれぞれの小中学校では、全校児童生徒に対して、訪問の様子や体験したことを、写真などを見せながら発表するなどの取り組みをしています。  こうした活動を通しまして、海外での貴重な体験がより価値のあるものとなるようにしているということでございます。 ◆鈴木昌二 委員 世田谷区教育ビジョンでは、その目指す子ども像について、「せたがやで育てる世界にはばたく子どもたち」という表現を使っております。真の国際理解とは、自分自身が何であるかということを知ること、すなわち、自分自身の座標軸を明確に持っていることであると考えます。このことなくしては相手からも理解されず、また、相手を理解することもできないでしょう。また同時に、広い視野を持ち、異なる文化を理解し尊重する態度や、国際社会の一員としての自覚を持ち、世界の人々とともに新しい価値観を創造できるようになっていくことが大変重要であると考えます。  最後に、子どもたちが真に世界に羽ばたいていくために、区教育委員会は、今後どのような姿勢で取り組んでいくのでしょうか。その決意を伺いたいと思います。 ◎直田 教育指導課長 八月七日、八日に開催されました第四回世田谷区教育フォーラムで、海洋冒険家であり、世界最年少単独無寄港ヨット世界一周をなし遂げた白石康次郎さんがご講演をなさいました。少年のころから夢を追い求め、みずからの命をかけて自然に立ち向かう白石さんの生きざまは、まさに世界に羽ばたく姿の一つとも言えるのではないかというふうに思います。ご講演の中で、大切なことは大志を抱き、それをなし遂げる技能と忍耐と仲間を持つことであると話されています。将来の自分の姿に理想を持ち、みずからを高めようとする志を持つことや、多様な文化や言語の国際社会で、世界の人々とともに生きることができる子どもを育てることが大切であるというふうに考えています。  区教育委員会では、自立した社会人として自己実現ができるよう、学ぶ意欲を培い、生涯学び続ける姿勢を学び、他者とともに生きる喜びを知り、人として生きるすばらしさを味わうことができるような教育の充実に今後も取り組んでまいります。 ◆鈴木昌二 委員 世田谷区の子どもたちが、国際社会の一員として世界に貢献していくことのできる、意欲と能力を持つ人に育っていくような教育に取り組んでいただきたいということを強くお願いし、下山委員にバトンを渡します。 ◆下山芳男 委員 それでは、質問を始めさせていただきます。  この夏には、自民党から民主党へと政権交代が行われまして、いろいろな予算の見直しがありまして、スクール・ニューディールなんていうのも一時見直すような方向も聞いておりますけれども、もう一方で、地方分権を進めるというような方向も示されておりまして、世田谷区も、やはり自分の世田谷区の教育についてはさらに大きな責任があるんじゃないかと思います。  先日、私は、NHKのBSの番組で、中国の山村での代用教員の学校でのいろいろなお仕事の様子とか、その先生と家族とのつながりなどを取り上げた番組を見ました。三十数人の生徒を一人の正規の先生と若い女性の代用教員の方が、その山村自体が持っている出稼ぎであるとか貧しさとか、そういったものの背景で、いろいろな課題、問題に取り組んでいる様子。特に弟や妹が小学校に上がる前から、本当にこの学校しかそういった場所がないということで、就学前の子が何人も来ているというような状態が映し出されておりました。その中で、ちょっとした鉛筆削りがなくなったりとかそういったことで、その先生がいろいろご苦労されているのを見まして、本当に学校というのは何のためにあるのかなと。どっちかといいますと、学力テストでいい成績をとるために事前にちょっと問題を出してしまったとか、成果主義というんですか、そういったものに目を奪われてはいけないなということも感じました。
     また、日本でいえば、明治の新政府が学校づくりに取り組む前から、京都では地域のために自分たちの子どもたちにしっかりとした教育を受けさせようということで、いわゆる番組小学校というんですか、そういったものを自分たちの力でつくったり、そういったことが日本の国づくりに通じるというような、地域の方の熱い気持ちが今の教育につながっているんじゃないかと思います。  今考えてみますと、学校というと、小学校、中学校であっても、やはり世田谷区立、あるいは世田谷区の教育委員会の小中学校というような意識というか認識が、区民の方にも強いと思うんですけれども、本来、公立の小学校というのは、区民全体、そして地域の財産であると思うんですね。きょうは、このような考え方に立って質問をさせていただきます。  まず最初に、主要施策の成果を読ませていただきまして、その中に、一二四ページになりますが、地域とともに子どもを育てる教育という大きな項目の中に地域教育力の向上という項目がございまして、内容を読ませていただきますと一生懸命取り組んでいる様子もありますが、執行率とすると三二・六%という低い数字になっているんですが、この理由と内容についてご説明をいただきたいと思います。 ◎松下 生涯学習・地域・学校連携課長 ただいま委員からご指摘の平成二十年度の執行率が低くなりました理由でございますけれども、教育活動支援プログラムの開発や運用につきまして、学校支援コーディネーターという方が地域においでになるんですが、この方々が計画を大幅に上回る三十三名のコーディネーターの皆様にご協力いただけました。当初、NPO法人への委託を予定しておったんですけれども、学校の教育活動支援プログラムにつきまして、目標としておりました七十件を上回ります年間百十二件のプログラムを実施することができた。このようなことで予算上の執行率は低くなりましたが、成果といたしましては当初の計画を上回る形で、地域の人材や教育資源を学校にご紹介する、また提供するといった、学校支援コーディネーターの皆様のお力によりまして成果を上げることができたというふうに考えております。 ◆下山芳男 委員 そうすると、執行率はこういった数字的なものですけれども、内容としては十分成果が上がっているというふうに考えていいと思いますが、ぜひ今後も地域の人材とかをしっかりと生かして、教育に取り組んでいただきたいと思います。  次に、この項目で、今後の進め方として、大学施設を活用した教育活動の充実を図る。また、区外大学及び区内高等学校等との連携づくりを進めるとありますが、具体的にはどのような取り組みを考えていらっしゃるのでしょうか、お伺いします。 ◎松下 生涯学習・地域・学校連携課長 区教育委員会では、平成十六年度に区内大学との連携に関する基本協定といいます協定を全大学と締結いたしまして、この協定に基づきまして、大学等の施設、また、専門的な知的資源を活用いたしました講座や体験学習、教員への研修、さらに区立幼稚園、小中学校の教育活動等を支援いただく学生の派遣事業を実施しております。  昨年度は区内十一の大学と協定に基づきます大学図書館の世田谷区民の利用に関する覚書を締結いたしまして、大学図書館の区民利用ができるようにするとともに、利用の拡大を図っているところでございます。さらに本年度からは、区外の大学生により行われます区立小中学校の教育活動等につきましても、区内の協定大学の学生と同等の支援を開始いたしました。  区教育委員会といたしましても、また、大学や学生さんご本人にとっても効果のある取り組みとするように、今後も大学や高校との連携を進めてまいりたいと考えております。 ◆下山芳男 委員 きょうは図書館についての質問が非常に多いように思うんですけれども、今のお答えの中で大学図書館の利用というようなことも進めているということで、今後ともしっかりと、子どもたちが将来への夢を持てるような課題の取り組みをしていただきたいと思います。  次に、地域運営学校についてお聞きいたします。  平成十七年度に小学校三校、中学校二校が地域運営学校に指定されまして、この春に四年間という指定期間が満了となり、五校とも更新ということでありますけれども、この四年間の成果について、区の認識をお伺いいたします。 ◎松下 生涯学習・地域・学校連携課長 平成十七年度に、地域運営学校に小学校三校、中学校二校を指定させていただきましたが、これらの取り組みにつきまして、昨年度、当該の学校長、また、学校運営委員会の委員長との意見交換やアンケートなどを行いました。  その中で得られた主な評価ということでご紹介をさせていただきますと、学校教育活動の充実に向けた、保護者、地域、教員の一体感と機運等の高まりが見られたですとか、また、学校を保護者や地域が支えることによる、教員と保護者、地域の信頼感、安心感が得られた、また、学校運営委員会を通して、学校と保護者、地域が情報を共有して信頼関係のネットワークが広がり、教育力を高める働きが得られた、こういったような評価がございまして、地域運営学校のこれまでの活動によって大きな成果が得られている、このように考えております。 ◆下山芳男 委員 この間、区では地域運営学校検討委員会を設けて検討されてきましたが、検証、見直した課題や検討内容について、確認の意味でもう一度お考えを聞きます。 ◎松下 生涯学習・地域・学校連携課長 昨年度、地域運営学校の検討委員会を開催いたしまして、学校運営委員会の仕組みですとか、委員の研修、情報提供の強化などについて検討、見直しを行ってまいりました。例えば指定の期間ですとか、委員の皆さんの任期、また、委員の選出の方法等についてでございますけれども、これらの検討の成果は、本年度から実施しております要綱に反映をいたしまして、より安定的、継続的な運営を進めていけるような、そういった確保を図ったところでございます。  今後も学校や地域の意向を踏まえまして、またその特色が発揮されますような運営委員会の形態を引き続き研究してまいりたいと考えております。 ◆下山芳男 委員 今いろいろ伺うと、やはり区も一生懸命地域とともに子どもを育てる教育に取り組んでいるという姿勢がわかるわけですが、最初に申し上げました、区立小中学校は、区民全体、そして地域の財産という考え方で、やはりもっと積極的な考え方も必要と思うんですね。例えば学校の体育館、音楽室、会議室は、地域にとっても大きな財産なんですね。子どもの教育や部活動で使用することを第一に考えるのは当然と思うんですが、その他の時間は地域へ広く開放して、やはり地域のための利用を進めるべきであると思いますが、その点、区の見解をお伺いいたします。 ◎松下 生涯学習・地域・学校連携課長 区では、これまでも地域の団体の皆様に対しまして校庭や体育館を初めとする学校施設を開放いたしまして、また、土日には小学校の校庭は遊び場として、地域の児童や幼児の方々にも開放を進めてまいりました。また、地域の子どもまつりやスポーツ大会、防災訓練や、例えば盆踊りといったような地域行事への活用も多くの学校で行われているところでございます。  委員お話しのように、区教育委員会といたしましても、学校施設は学校の教育活動が第一でございますが、それを第一としつつ、地域での生涯スポーツのような場として、また、地域コミュニティーの活性化の場として、いわば地域の核となる学校として活用していくことが大切である、このように考えております。 ◆下山芳男 委員 私もそのとおりだと思うんですね。やはり地域の向上には、今後の小中学校が非常に大きな役割を持っていると思います。学校の安全を守るために学校の門を閉ざしてしまうことが、本来の学校を含めた地域全体の安全につながっていくのか。あるいは地域の皆さんが多数学校に出入りをして、学校の内外を問わず、子どもたちといつでもあいさつをしたり、声をかけられるような関係を築いていくことが、私は本当の安全安心につながると考えております。地域への貢献の観点から、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。  そこで、学校の地域貢献の具体的な手法として、区内で五カ所となりました総合型地域スポーツクラブが取り上げられると思います。私はPTAやPTAから発展したスポーツクラブなども非常に大切な団体だと思うんですが、それ以上に、地域には多くの活動団体がたくさんあると思います。個別の活動を、学校という地域の資源を、地域の皆様とともに自主的に運営することにより、より有効な利用ができると思います。  そこで、学校が総合型地域スポーツクラブの設立や運営に積極的にかかわることも一つの方策だと思いますが、教育委員会としてはどのように考えていらっしゃるでしょうか。 ◎松下 生涯学習・地域・学校連携課長 現在、区立小学校の校庭開放につきましては、地域の方々で遊び場開放運営委員会というものを組織いただいて、この委員会によって運営をされておりますが、こういった学校施設の地域開放ですとか、地域の方々による自主運営の実績が、委員お話しのような総合型地域スポーツクラブの設立にもつながっているものと、このように認識をしております。  これまでに設立されました五つの総合型地域スポーツクラブは、いずれも学校の施設を活動の拠点としているところでございまして、区といたしましても、学校が地域の拠点として活動にかかわることが、こうした活動の立ち上げ、また継続に必要であるというふうに考えております。 ◆下山芳男 委員 私はこの総合型の設立には人材の確保が最も重要だと思うんですね。これまで取り組んでいらっしゃる方と私はお会いしたことがあるんですが、皆さん非常に熱心で、自分の生活をさておいてそういったクラブの運営に携わるというか、努力されている姿を見ました。  もう一つ、やはり重要なことは人材の確保なんですが、もう一つ困難なこと、最も困難なことは、これまで使っていらっしゃる既存団体のいわば既得権を一度ご破算にして、当事者の理解を得ながら組み立て直すということが大変だと思うんですね。このことは学校の協力が欠かせないのですが、現実には、これに取り組む校長先生や副校長先生の判断や調整によるところが多くなってしまいます。校長先生や副校長先生のみにゆだねるのではなくて、区としてのガイドラインといいますか、教育委員会できちっとしたルールづくりといいますか、総合型地域スポーツクラブへの基本的な考え方というのをもう少し明確にすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。 ◎松下 生涯学習・地域・学校連携課長 委員のお話にございましたように、総合型地域スポーツクラブの設立に当たりましては、運営に携わる人材の確保といった問題に加えまして、地域団体との調整、また活動拠点となる学校の理解、こうしたものが非常に重要であるというふうに考えております。  総合型地域スポーツクラブも区内に五つとなりまして、設立や運営に当たってのノウハウといいますか、さまざまな情報も蓄積をされている状況にございますので、区長部局のスポーツ振興担当部、また、スポーツ振興財団とも連携をいたしまして、こういったノウハウや情報を参考として学校にお示しするなど、区教育委員会といたしましても可能な支援を検討してまいりたいと考えております。 ◆下山芳男 委員 私も地域のことをいろいろ考えていますと、今までの既存のただ地域貢献というだけでは、これからの団体というのはなかなか難しいと思うんですね。ただ、区民意識調査で見ますと、これから参加したい地域団体は何かというところで、約四九%の方がスポーツであるとか文化活動の団体に参加したいというような調査の結果が出ております。そして、片や総合型地域スポーツクラブを知っていますかというような質問は、まだ二〇%以下の方なんですね。だから、その辺のギャップといいますか、総合型地域スポーツクラブについて、やはり区として、教育委員会も、また区長部局としてもまだまだ進めていただきたいと思います。  以上、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ◆畠山晋一 委員 初めに、あいさつの運動について伺いたいと思います。  最近の子どもたちがあいさつができる、できないとかいう話をするときに、最近は教育の現場も地域との連携が深まってきていますから、最近の子どもたちはあいさつがよくできるねという声もよく耳にしております。ただ、その先のお話になってきますと、あいさつをして話をしているときに、相手の目を見たりとか、きちっと姿勢を正して人の話を聞ける子どもというのが少し減っているといいますか、その点の課題はまだまだ残っているのかなという声を実は多く耳にしております。特に、この間も地元の学校でおやじのキャンプがあって、お父様方とそういう話をしているときに、大多数のお父さんが、親の教育もさることながら、まだまだその点は努力しなきゃいけないね。ところで、じゃ、学校ではどう指導しているのかなという話になりました。  そうすると、学校が始まる。ガラガラと先生が入ってくる。先生が入ってきて、まず日直の児童、または生徒が号令をかけるわけですね。そうすると、起立、礼だそうなんですね。僕の認識からすると、起立、気をつけ、礼。要するに、気をつけができないと次の休め、中にはこれを軍隊だと言う人もいます。学校は軍隊じゃありません。これは日本人が古来から持っている。例えば、今、日本語の教育特区の中でも教えています道の精神、礼に始まって礼に終わる、これは理屈じゃないんです。日本人が古来、もともと持っているものを言葉にしたのが、起立、気をつけ、礼ということであります。  じゃ、今の私どもの区立の学校が、実際にあいさつといいますか、学校が始まったときにどういった取り組みをされているのか。実態、現場は今どのような状況になっているのか、まずご答弁いただきたいと思います。 ◎直田 教育指導課長 子どもたちが礼儀の意義を理解し、適切な態度をとるということは、人間関係を円滑にし、社会の一員としてよりよい生活を送っていくために大切なことであるというふうに考えています。区立小中学校では、授業の初めと終わりに、子どもの発達段階に応じた仕方で姿勢を正し、あいさつをしております。また、全校集会などにおける話を聞く態度、登下校時のあいさつなどについて、学校生活のさまざまな場面で指導を行っております。  また、子どもたちは道徳の授業で、小中学校の全学年を通じて、あいさつや真心を持って人に接することについて学ぶとともに、例えば烏山地域では、児童生徒、地域の方が一緒になって校門で行うあいさつキャンペーンの実施を通して、子どもたちが気持ちよいあいさつができるよう、学校、地域、家庭が一体となって取り組んでいるという現状でございます。 ◆畠山晋一 委員 今の答弁からすると、発達段階に応じた仕方で姿勢を正してあいさつをしていると。実は、私の娘が今小学校二年生、区立の学校に通っているわけですけれども、彼女にも聞いてみたら、起立、礼だけだ、気をつけはないと。学校が終わったときには、最後のときには気をつけはあるということの話だったんですが、でも、実際、区立の中学校の子どもたちに聞いてみると、きちっと気をつけはしているということの話であります。  これが精神的なところの話ではなくて、やっぱりあいさつがきちっとできるために流れを教えるということは、私はとても大切なことだと思っているわけです。教職員によって教え方が決して隔たりのないようにしていただきたいわけですけれども、この点について、学校の中でどのように教えていかれるのか、その点の答弁をお願いしたいと思います。 ◎直田 教育指導課長 先ほども申し上げたわけですが、学校教育におきましては、状況をわきまえて、心のこもった行動がとれる児童生徒を育てることは、日常的に人とのかかわりの中でその意義を理解し、それらを習慣として身につけることが大切であるというふうに考えています。今後も子どもの発達段階に応じまして、具体的な場面を通し、だれに対しても真心を持って接することの大切さなどについて理解し、身につけられるように取り組んでまいりたいと考えております。 ◆畠山晋一 委員 発達段階に応じて、具体的な場面で、だれに対しても対応できるということで、幼稚園児から、いきなり小学校に入ってそれはできないでしょうという部分は理解できる点ではあります。ただ、たまたまこの土日の間、実は各幼稚園で運動会がありまして、三園ほど幼稚園の運動会を見に行く機会がありました。その三園のうち一園だけでしたね。幼稚園教育の中でも気をつけというものをきちっと教えている幼稚園があって、園児もきちっと気をつけをして、起立、気をつけ、礼であいさつができている幼稚園がありました。ですから、これは幼稚園によっての教育方針というところもあるのかもしれません。  ただ、やっぱりできる、できないということでは、できないことに合わせるのではなくて、できるように努力していくということが、私はこの先の子どもたちの礼節、礼に始まって礼に終わるということを教える意味では、その辺は隔たりをつくらないようにしていただくことを、教育委員会としても各学校に通達していただくことをお願いしまして、次の質問に入らせていただきたいと思います。  続きましては、部活動に絡めて質問していきたいと思います。  二〇一六年のオリンピック招致、東京には残念な結果となってしまいましたけれども、南米で初めての開催となるリオデジャネイロも三回目の挑戦でようやく開催にこぎ着けたと。まずは四年後に迫っている東京国体の成功に全力を挙げて、スポーツのすそ野をしっかりと広げて努力を重ねていくことが、夢を再び実現に結びつけることになると思っております。  東京都の教育庁も、スポーツ振興に向けてスポーツ教育を推進して、部活動によって競技力の向上に取り組むという姿勢を東京国体の前から示している中で、その一例として、東京都では、今年度から中学校の部活動への外部指導員導入促進事業をスタートさせて、先日の新聞報道では、世田谷区も含む二十三の区市町村で四百以上の部活動への支援を行うと聞いております。  部活動は、運動もさることながら、文化活動も通じて、責任感、チームの連帯感、そして異なる年齢の生徒が交流することなど、好ましい人間形成の場として大いに意義のあるものだと考えております。また、部活動は小学生が中学校に期待する最も大きいものの一つだと考えておりますので、公立中学校の部活動を魅力あるものとしていくためにも、部活動の活性化を通じて質問していきたいと思います。  世田谷区では、部活動の支援員制度が始まって三年がたちました。制度が始まる以前には、部活動の課題として、顧問の教員の異動などによって、残念ながら部活動の休部ですとか廃部が年間で合計二十件近くあったと聞いています。支援員制度の創設と活用によって、この廃部、休部が近年では大きく減少していると聞いておりますが、このことは制度の成果として評価できるものではないかと考えます。  区の実施計画及び教育ビジョンの行動計画において、今年度はこれまでの三年間の成果を踏まえて、部活動支援員制度の検証を行うこととされておりますが、現在の検討状況はどのようになっておりますでしょうか、ご答弁を願います。 ◎松下 生涯学習・地域・学校連携課長 区では、委員からもお話のございましたように、東京都にいわば先んじるような形で部活動支援員制度という形を設けてきております。この検証につきましては、学校や保護者、地域の代表等によって設けました部活動連絡協議会の中で検討を進めております。  協議会の構成でございますが、学校では校長会から、体育系、中体連でございますけれども、また文化系の部活動の各代表、副校長会の代表、保護者からは中学校のPTA連合協議会、地域では総合型地域スポーツクラブ及び体育指導委員協議会のそれぞれから代表の委員を選出いただきまして、区側は区教育委員会事務局、また、文化、スポーツの関係所管という形で構成をいたしております。  これまでの部活動支援員制度の取り組みが、委員からもお話をいただきましたけれども、部活動の休廃部の減少にもつながっているという成果を踏まえまして、こうした部活動を安定的に継続して、一層活性化させていくために、本年度におきましては、各種大会参加における支援のあり方ですとか、また、地域人材の活用、学校との連携等を中心にいたしまして、現状把握、意見交換を行っているところでございます。来年度に向けて多角的に検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆畠山晋一 委員 実際に自分自身の周りでも、三年前の実態の中で、水泳の実力のある子が、たまたま顧問教員の異動によって水泳部がなくなる、水泳ができなくなってしまったという残念な結果。でも、結果として彼女は、この間たまたまお会いしましたら、大学で、インカレですけれども、水泳で活躍していると。実はその背景の中に、異動されてしまった先生のご指導は直接受けられなかったけれども、その先生から勧められてのスイミングスクールに行って、おかげで今もしっかりと水泳を続けられている、将来的には水泳の指導員になりたいと、その先の夢みたいなところを一つ一つ実現するための大きな起因にもなった。実際、休部、廃部になってしまったことは残念なことだったけれども、そういった意味で先生たちと夢を一緒に持てることができたのは、自分にとって、今はとても幸せだということも聞いております。  部活がなくならないための支援員制度はとても大切なことですから、お願いするとともに、夢ということの中で、全国大会ですとか東京都の大会とか、こういう大きな大会に、世田谷区の区立中学校の生徒が、区を代表して、東京都を代表して大会に参加するということは、またこれは一つ夢が膨らんでくる、とてもすばらしい機会だと考えておりますし、今答弁の中にありました大会参加への支援、これがとっても大事なことだと私は思っております。  当然これは、運動系の部活のこともさることながら、文化系の部活動についても同じように言えると思います。ブラスバンドですとか、こういった楽器等の、またはチアリーディング等いろいろあると思います。こういった文化活動にも、日々の練習、活動に打ち込んでいる子どもたちの多くが、コンクールですとか発表会に出場することを目標にしていることが、また自分自身の夢に近づいてくることにも大きな影響を与えてくると思います。  そこでお聞きしますけれども、全国大会ですとか都大会、これが東京都内で行われていればいいんですが、往々にしてこれが地方で行われるというのが一つの実態であるわけですから、こちらの大会への参加に対する支援の状況がどのようになっているのか。例えば交通費ですとか宿泊費に至るまですべてというわけにはいかないと思います。この点は大変難しいと思いますが、世田谷区を代表して、子どもたち、児童生徒が参加するわけですから、せめて大会の参加費ぐらいは負担してもらえると、子どもにも、その保護者にも、または学校や外部指導員や指導者にとっても大きな励みになるのではないかなと私は考えるわけですけれども、今後、この点について検討するお考えはありますでしょうか。 ◎松下 生涯学習・地域・学校連携課長 現在、大会ですとか発表会への参加の支援といたしましては、区の要綱に基づきまして、運動系の部活動については中学校体育連盟が主催する大会の参加費を支給しております。また、関東大会や全国大会などの遠方で開催される場合は、参加費に加えて交通費と、必要に応じての宿泊費を支給する形になっております。  また、文化系の部活動につきましては、東京都の吹奏楽、演劇、合唱等のコンクール、また発表会についての参加費支給等の支援を行っているところでありまして、委員からも今お話のございました、こうした大会参加における支援のあり方につきましては、現在、部活動の連絡協議会において検討を進めているところでございますので、委員ご提案の趣旨も含めまして検討を進めてまいります。 ◆畠山晋一 委員 検討を進めていただけるということで、児童生徒の中にはいろいろな家庭状況のお子さんがいらっしゃいます。みんながみんな一緒のわけではございません。でも、そのいろいろな子たちが一つになって、連帯感を持って全国を目指し、東京都を目指し、一つ頂点を目指していく、こういった活動に対しても、ぜひともご協力していただくことをお願い申し上げます。  次に、前向きに検討を進めていただくこともさることながら、今後の取り組み、成果等を考えますと、こうした部活動を安定的に、要するに休廃部のないように継続していくためには、専ら学校が活動を担うということもさることながら、実際に子どもの保護者ですとか地域の関係も大切にしていくことが求められてくるわけですが、この点について、改めて区としてはどのようにお考えをお持ちでしょうか。 ◎松下 生涯学習・地域・学校連携課長 学校教育の一環として、安定的に継続して部活動を進めるに当たりましては、保護者や地域の方々と情報を共有して理解をいただくということが大変重要なことだと考えております。部活動に関しまして、保護者や地域と情報交換をして、また、相互の協力体制を築いていくということが大切であると認識しておりますし、現在推進もしているところでございます。  既に主体的に取り組みを進めている学校もございます。区教育委員会といたしましても、そのような事例を収集いたしまして、各学校に情報提供するなどいたしまして、各学校が部活動の情報を保護者や地域と共有して安定的に継続した協力体制を築くなど、より一層部活動を活性化して、生徒が部活動を通して生涯にわたって文化やスポーツに親しむことができる、そういった基盤づくりに努めてまいりたいと考えております。 ◆畠山晋一 委員 この部活動というのは、子どもたちにとって、今、水泳部の子どもの話を出させていただきましたが、小さなことかもしれないけれども、大きな夢につながってくることであります。スポーツの発展に大きな役割を担っていくこの部活動、スポーツもいろいろ商業的な部分で大きく変わってくるところもあるかもしれませんけれども、実際に部活動の中でチャンピオンシップや優勝を目指していくということもさることながら、将来的にも、生涯にわたってスポーツに携わっていけるということが、私自身は大事な役割だと考えておりますので、その点も兼ね備えてお願いしたいと思います。  そういった部分で、中学校の部活動もしっかりと進めていただくことを要望して、続いて、放課後の子どもの教室について一点だけ伺いたいと思います。  実は、文科省と厚生労働省の放課後児童健全育成事業と一体的に、放課後子どもプランとしておととしから実施されているこの事業に、東京都が十三億円を予算化しているわけですが、放課後、週末などに地域の大人の協力を得て、子どもたちが安全に安心して活動できる場所を学校の教室などに確保するという事業であります。  思うに、この世田谷区の新BOP事業は平成十一年度からスタートしており、全国的にもこの事業の先駆けとも言えるわけです。新BOP事業は財調算定の対象と承知しておりますけれども、それであっても財源の確保が重要であることは言うまでもありません。  そこで確認の意味でお聞きしますが、この新BOP事業における国、都の制度の活用状況をお聞かせください。 ◎松下 生涯学習・地域・学校連携課長 国や都の補助金の活用状況でございますけれども、平成十九年度におきましては、東京都の補助事業といたしまして新BOPの安全対策費として約一千万円、また、国の放課後子どもプランの一環といたしまして約七千三百万円の交付を受けております。また、平成二十年度も国の放課後子どもプランの事業費約一億円の交付を受けておりまして、本年度も約一億一千六百万円を申請いたしております。今後とも国や都の制度を活用いたしまして、財源の確保に努めてまいります。 ◆畠山晋一 委員 こういったご時世ですから、しっかり使えるものは活用していただくことをお願いして、午前中の自由民主党の質問を終わらせていただきます。 ○大場やすのぶ 委員長 議事の都合により、ここでしばらく休憩し、再開後、自由民主党の質疑を続行させていただきますので、よろしくお願いいたします。  それでは、休憩いたします。     午後零時十五分休憩    ――――――――――――――――――     午後一時五分開議 ○大場やすのぶ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  自由民主党、どうぞ。 ◆菅沼つとむ 委員 最初に、世田谷区の給食の安全についてお聞きします。  学校給食の区のハンドブックでは、給食をつくるときに当たって最も気をつけなくちゃいけないのは児童・生徒の安全である、衛生的な食事を提供する。学校の栄養士職員は、衛生の管理責任者にして食の取り扱い、給食の施設の清掃、従業員の衛生教育をしなければならないとありますが、それに間違いはございませんか。 ◎大澤 学校健康推進課長 間違いございません。 ◆菅沼つとむ 委員 それから、またハンドブックには、栄養士は、生鮮食品は使用当日搬入し、新鮮なものを選ばなくてはならない。要するに、朝搬入されたときにきちんとチェックをしなくちゃいけないということなんですけれども、間違いございませんか。 ◎大澤 学校健康推進課長 肉、魚、野菜、果物などの生鮮食品は使用当日の納品を原則としております。また、文部科学省の学校給食管理基準では、当日搬入できない場合は、冷蔵庫等で適切に温度管理するなど、衛生管理に留意することとなっております。そういう意味では、今の点で間違いございません。 ◆菅沼つとむ 委員 自校給食で、何年も区の給食室のほうに、前日に生鮮食品を宅急便で運んでいるという話がありますけれども、その辺はいかがでしょうか。 ◎大澤 学校健康推進課長 幾つかの学校におきましては交流都市などから産地直送する場合がございまして、前日に納品している事例もございます。その場合には、検収や保管状況、衛生管理を十分確保しているということでございます。 ◆菅沼つとむ 委員 前日の生鮮三品の宅急便は認めているということですね。 ◎大澤 学校健康推進課長 今申しましたように、交流都市などの産地直送の場合がございますので、ごく一部ではございますが、そういった例については、保管状況、衛生管理が確保されていることを前提としてということでございます。 ◆菅沼つとむ 委員 ほかの、例えば市場だとか普通の人は宅急便で送ってもいいんですか。 ◎大澤 学校健康推進課長 先ほど言いましたように、原則として当日納品としておりますので、宅急便等、先ほど申した以外は当日納入となっております。 ◆菅沼つとむ 委員 実際には八時十五分ぐらいから八時半の間に給食の食品を給食室に運んで、それを検品してもらって、いかれているか、きちんとしているか、それで給食にするかきちんと決めなくちゃいけない。それで、前日に運んでいて、それはできるの。 ◎大澤 学校健康推進課長 先ほど言いました宅急便等で前日納品になっている場合につきましては、そこで検収等を行っております。検収で不備が出た場合、要するに好ましい状態じゃない場合については、当日、また納品しているというようなことでございます。 ◆菅沼つとむ 委員 給食のハンドブックには、それはいいというふうになっているの。 ◎大澤 学校健康推進課長 ハンドブックにつきましては、原則としてという形で当日納品をうたってございます。 ◆菅沼つとむ 委員 原則でということは、普通はだめだということだね。 ◎大澤 学校健康推進課長 交流都市とかそういったもので産地直送する場合がございますので、そういった部分につきましては認めているという形でございます。 ◆菅沼つとむ 委員 宅急便で送るということは、前の日に必ず出さなくちゃいけないんですよ。それで給食室のほうに着くには、大概午前中は給食室は忙しいから、二時だとか三時に着くように学校に入れて、最初の送った日、それから次の日、子どもたちに入るのは三日目だよね、それで大丈夫なの。 ◎大澤 学校健康推進課長 先ほどもちょっと言いましたけれども、生鮮食品のうち肉、野菜とかそういったものではなく、野菜のうちでも根菜類を宅急便等で納品されておりますので、そういう部分での衛生管理は十分に行っているということでございます。 ◆菅沼つとむ 委員 六月二十六日金曜日、メロン五玉入り十二箱、これは給食室に入っているよね。それは実際には野菜じゃないよね。 ◎大澤 学校健康推進課長 委員ご指摘の学校につきましては、そういった意味で、野菜以外のものにつきまして納品されたということでありますので、その辺につきましては厳重に指導してまいります。 ◆菅沼つとむ 委員 さっき、前日に入ったときには冷蔵庫の中に入れるという話になっていましたよね。それで、実際に学校の冷蔵庫を見られた方は多いと思うんですけれども、学校の冷蔵庫というのは、肉だとか魚だとか傷みやすいやつを朝八時半ごろに納入して、それを調理するまでの時間なんですよ。基本的に給食室の冷蔵庫というのは置くものじゃない。その日に持ってきて、その日に全部材料を使って空にするというのが基本なんです。しょうゆだとかそういうものは入れておくと思いますけれども、はっきり言うと、基本的にはそんなに入れるスペースがないんですよ。だから、例えばそのときに持ってきても、冷蔵庫なんかに入れないで、どこかに箱で置くほかないんだよ。あの野菜だとか送られてきたものが本当に冷蔵庫に入ると思っているの。 ◎大澤 学校健康推進課長 先ほども申しましたけれども、野菜のうちの根菜類を宅急便等で納品しております。ごく一部キャベツ等があったということは聞いておりますけれども、キャベツ等につきましては鮮度が落ちるという形で、冷蔵庫等に保管していたということで確認しております。 ◆菅沼つとむ 委員 今、キャベツを確認していると言いましたよね。それはだれが言ったんですか。 ◎大澤 学校健康推進課長 学校に確認してございます。また、調理を担当している委託業者にも確認しております。
    ◆菅沼つとむ 委員 じゃ、実際にあそこの給食室に入るの。 ◎大澤 学校健康推進課長 私どもとしましては、学校と委託業者の給食調理のほうに確認をとってございます。 ◆菅沼つとむ 委員 実際に火曜日から金曜日まではいいんですよ。それで、月曜日の食材を宅急便で運んできた場合には、金曜日の午後に給食室に入るわけです。そうすると、前の日から言うと、木、金、土、日、月、子どもたちの口に入るのに五日間あるのよ。それも七月だとかそういうのだと給食室は閉めっ放しだし、その中で、子どもたちの口に入るものを五日間もほっぽっておいて安全だと言えるの。 ◎大澤 学校健康推進課長 委員ご指摘の学校につきましては、確かに金曜日に納品され、月曜日にという形で確認してございます。これにつきましては、学校等を含めまして厳しく指導してございます。 ◆菅沼つとむ 委員 指導するといっても、実際には生鮮三品の場合は宅急便は認めているんだよね。だから、今までどおり、宅急便というのは、午前中、午後は十二時から二時間置きに時間指定というのができるんですよ。だけれども、午前中ということは、例えば十時に入ってくるか十一時に入ってくるか、実際にそれは指定できないんですよ。それでもきちんと食の安全ができていると思いますか。 ◎大澤 学校健康推進課長 ですから、何回も申し上げますが、当日納品が原則ですので、宅急便につきましては、先ほど言いましたように、産地直送とか交流都市の関係だけのものだというふうに考えてございますので、そういった意味で、ご指摘の学校につきましては指導してまいります。 ◆菅沼つとむ 委員 実際に、そのときに産地直送じゃなくて、市場からも直接に入っていますよね。 ◎大澤 学校健康推進課長 日々というふうにはいきませんけれども、市場から納品されているということは聞いております。 ◆菅沼つとむ 委員 産地直送と市場と違うじゃない。 ◎大澤 学校健康推進課長 幾つかの業者と年間契約していますので、宅急便で来る根菜類の部分と、先ほど言いましたキャベツとかそういったものは市場からという部分がございます。全部を宅急便で賄っているということではございませんので、ご理解いただきたいと思います。 ◆菅沼つとむ 委員 実際には、北海道でとれたり、沖縄でとれたりするわけですよ。それを生産者は商品が傷まないようにきちんと持ってきて、朝八時半に買った業者が持ってくる。だから、ほかと同じように何でできないの。 ◎大澤 学校健康推進課長 先ほども申しましたが、ご指摘の学校につきましては改めるようにご指導してまいりたいと思います。 ◆菅沼つとむ 委員 実際には、ほかの業者は朝八時とか八時十五分に持ってきているわけ。だから、産地直送だろうが市場だろうが、きちんと品物を安全に、朝、そこの給食室に持ってくればいい。それを何で宅急便で送ってきたやつだけオーケーで、そうじゃなくて、ほかの地域の業者はだめなんだと。だから、ほかと同じように八時から八時半の間に納入させればいいんですよ。それは、全部納入させるように言ってくださいよ。 ◎大澤 学校健康推進課長 先ほども何回も申し上げていますが、当日納品が原則でございます。たまたまそういう形で、交流都市とかそういったものから産地直送で納品になる、それが当日なかなかできない部分もございますので、前日を認めているという形でございます。例外中の例外のことでございますので、ご理解いただきたいと思います。 ◆菅沼つとむ 委員 うちの議会でも八百屋さんがいらっしゃいますけれども、普通、五日も置いたら商品というのは絶対売り物じゃないですよ。それを子どもたちに食べさせていて、産地直送だから新鮮だから、そんなことは言えるの。だから、同じように、(「だから、物によるということ」と呼ぶ者あり)物は生鮮三品だと言っているじゃない。だから、それをきちんと、私は全部の商品と言っているわけじゃないですよ。しょうゆだとか油だとか言っているわけじゃない。生鮮三品に限って、一番傷みやすいやつはきちんと手当てしろ、そういうことですよ。 ◎若林 教育次長 委員がご指摘の宅急便で食材を納入していたという学校のご指摘かと思いますが、この学校については、私どもの調査で、一校でそういう事例があったということを確認しております。  委員がおっしゃったように、この学校で生鮮、例えば肉とか魚とか傷みやすい野菜といったものをこういう宅急便という方法でやっていたこと自体は好ましくない、正しくないと思います。これについては、私どもも栄養士、学校を含めて指導させていただきました。今後ともこういうことについてはないように、ほかの学校も含めて周知徹底を図らせていただきたいと存じます。 ◆菅沼つとむ 委員 今、なぜこんなことを言うかというと、去年までは、中国ギョーザだとかO157だとかいろんなことがありながら、食品だ食品だと言っていて、その当時も、その学校の栄養士はやっていたのよ。それで、今の栄養士も、その前の栄養士も、それは何年間も通じてやっていたのよ。そのとき、食に対して役所のほうは、子どもたちの食は大丈夫かといって、議会でいろんな話になって、理事者の人たちも間違いなくやりますよと言っていた中でも、そういうことは金曜日や何かは、給食室に五日間ほうりっ放しで、子どもたちの口に入れていたということなんです。  だから、その辺も含めてこういう紛らわしいことはやめて、朝、全部納入させればいいんですよ。どこから、産地直送だろうが、それがいけないと言っているわけじゃないんだから、子どもたちのために安全をきちんと担保して、子どもたちに食べていただくというのが一番なんだから、それをできていないというのは、今まで産地直送だからいいんでしょうとか、市場から送ってくればいいでしょうとか、そういう話じゃないでしょう。近くの八百屋さんだとかお豆腐屋さんとか、あれはだめで、何で産地だけがいいの。本来、それはおかしいでしょう。 ◎若林 教育次長 いずれにしても、学校給食は、委員がおっしゃるように安全安心が第一だと思います。こういう観点に立ち、お話をいただいた学校だけではなくて、すべての学校給食においてこのような視点で指導してまいりますし、私どもも現場の運営を十分見ていく、認識していく、こういう心構えで取り組みたいと思っております。ぜひご理解いただきたいと存じます。 ◆菅沼つとむ 委員 それと、給食室というのは、もちろん栄養士さんを中心に、清掃だとか衛生面で、一般の人は入れないんです。入る場合には、学校の管理者に言うか栄養士に言って、下は長靴から、手を洗いながら、帽子をかぶって、マスクをしながらきちんと入らなくちゃいけないということで、学校側も大変チェックしづらい場所だというのは重々わかっています。  その中で、実際に一人の栄養士が、民間も含めて従業員を使い、当然納品業者もやって発注もして、それから給食費をいただいて、それと支払いを合わせてツーペイにするように努力しているというのはよくわかります。しかし、一つの学校で年間三千二百七十四万円、これを一人の栄養士がやっているわけです。もちろん学校側も金額に関してはチェックしています。しかし、その内容だとか中身だとか、それは一人の人に全部チェックさせている。一人しかいないんです。  それで、実際には、教育委員会として自校方式の学校をチェックしたことはありますか。 ◎大澤 学校健康推進課長 給食費の取り扱いにつきましては、栄養士が食材を発注し、支出の準備、収支計画書との照合を行い、副校長や給食主任等が会計担当者として請求書を確認の上、納入業者に支払いを行うことになっております。今ご指摘の学校も同じように、副校長が請求書の内容と支払い等の確認を行っており、適切に処理がされていることを確認しております。  また、教育委員会がということでございましたが、教育委員会では、巡回指導や研修、各会合を通じて指導もしてございますし、学校を訪問しまして、実際に給食費の会計帳簿、こういったものを見て確認行為を行っております。 ◆菅沼つとむ 委員 今言っているように、給食費のほうはそうですね。子どもたちのご父兄から給食費を預かって、栄養士が使った明細を出して領収書とやって、幾ら仕入れて幾ら払ったと。それで、当然金額が合っているか、それはそのとおりなんですけれども、中身の話というのは、学校の先生だとかにチェックさせるというのは、それは専門的なことで、実際には無理だと思いますよ。  なぜかというと、同じキュウリでも、こっちの名産とこっちの名産のあれだってわからないし、これが傷んでいるとか傷んでいないとか、これは栄養士ただ一人だけでやっている。  それで、教育委員会に来ているのは、実際には献立表一枚だけでしょう、違いますか。 ◎大澤 学校健康推進課長 私どもに来ていますのは、献立表プラス年度ごとの収支報告書をいただいてございます。また、各学校が保護者にお送りしております収支報告書の写しもいただいてございます。 ◆菅沼つとむ 委員 今言ったように、そのお金はきちんと間違いないですよ、それから報告書はこうですよ。だけれども、教育委員会は中身を一回も見たことはないと思うんです。それから、ここには監査はいませんけれども、監査事務局も一回もチェックしたことがないです。一校で三千二百七十四万円、一人の栄養士がこれだけの金額を使って、仕入れ業者とかいろんなことができる。ただし、教育委員会も監査委員会も一回もチェックしていないということだから、こういうような食の安全なんかが出てくるわけです。  これから教育委員会としてどんなチェックをするのかお聞きします。 ◎若林 教育次長 まず、私費会計のことと給食のことと二つのお尋ねかと思います。  各学校の学校給食でどういった献立をつくるとかいうことについては、昨年度だったと思いますが、議会のほうにもご報告させていただいた学校給食の献立を栄養士会が作成した冊子、こういったものを配っております。ここのところでは、それぞれの子どもたちの成長、発達段階に応じた献立、あるいは栄養の構成といったことも、栄養士会みずからが勉強して作成したいわゆるレシピ集、こういったものを配布してございます。このような形で、各栄養士も自分一人で、そこで給食の献立をどうしようかということではなくて、相互の連携の上で、安全で安心、かつ質の高い給食づくりに取り組んでいるところもご理解いただきたいと思っております。  それから、もう一点のご指摘は、給食費も含めた私費会計の問題かと思います。このことについては、先ほど課長も答弁申し上げましたが、各学校で校長、副校長、それぞれの担当者、事務担当者がきちんと役割分担を持って物事に対応しておるということを一つの仕組みとした上で、保護者の皆さんにこういう情報を的確、正確にご報告をする。これについては、教育委員会でガイドラインを持っております。これに基づいて、教育委員会の係長級の職員が毎年学校に訪問させていただいて、経理状況について調査をさせていただいている。こういう取り組みをしておりますので、ご理解をいただきたいと存じます。 ◆菅沼つとむ 委員 教育次長の話はわかるんですけれども、会計のあれが違う、それもよくわかります。だけれども、鉛筆一本買うとか、消しゴムをやるとか、学校のコピー用紙を買うのと違って、一校でこれだけの金なんです。それはやっぱり私費会計であろうとなかろうと、親御さんから預かったものだから、もっとガラス張りにオープンにしなくちゃいけない。  例えば、今はパソコンがあるんだから、パソコンに全部入れておいて見られるように、だれが見たって、どこの業者で、幾らの単価で幾らやって、どこの業者がどれだけ仕入れている。大体仕入れ元さえつかめれば、その業者がどういうものかというのはわかるわけだから。やっぱりそのくらいのものはオープンにしていただければ、栄養士だって、せっかく一生懸命やったのをだれも見てくれないわけでしょう。校長先生、先生方はちょこっと見るかもしれないけれども、その辺はもっとオープンにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。 ◎若林 教育次長 委員がおっしゃるように、栄養士それぞれも努力をしておりますので、そういう内容を学校全体で共有できるように、なおかつ、私ども教育委員会も一緒に、栄養士とともに安全で安心、かつ質の高い給食づくりを進めるように、ご指摘いただいたこともきちんと受けとめて取り組ませていただきたいと存じます。 ◆菅沼つとむ 委員 お願いします。子どもたちの安全、それからお金の問題、よろしくお願いします。  時間がないので、一つ要望します。ご存じのように、天皇陛下が本年一月七日でご即位満二十年を迎えられました。十一月十二日に内閣が主催する記念式典が行われます。そこで、各小中学校もDVDを配布されています。それは国民に広く、中学校、小学校の生徒たちにみんな見てもらい、教育委員会として協力をしていただきたいというお願いをし、私の自民党の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○大場やすのぶ 委員長 以上で自由民主党の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○大場やすのぶ 委員長 引き続きまして、公明党、どうぞ。 ◆平塚敬二 委員 では、公明党の質問をさせていただきます。  初めに、子どもの体力の向上に向けて何点か質問させていただきます。  まず、現状の把握といたしまして、文部科学省の資料、平成二十年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果と世田谷の結果を見てみますと、例えば小学校五年生の男子、女子の握力、ソフトボール投げ、五十メートル走の結果については、昭和六十年度に比べて確実に低下をしている。また、全国平均よりも世田谷の子どもたちの数値は、女子の五十メートル走以外は低くなっています。さらに、中学二年生の男子、女子、握力、ハンドボール投げ、五十メートル走では、中学生も昭和六十年度に比べて確実に低下をしています。全国平均に比べても、女子の五十メートル走以外は、世田谷の子どもたちの数値は低くなっています。  全国の調査結果では、比較可能なすべての種目において、昭和六十年度の平均値を五〇%以上の児童生徒が下回っているという結果が出ています。これは大変に注目すべき結果だと思うんですが、世田谷区教育委員会としてはこの結果をどのように認識しているのか、まずお尋ねします。 ◎直田 教育指導課長 文部科学省実施によります平成二十年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査では、握力や上体起こしといった種目の世田谷区の平均値は、おおむね東京都の平均値を上回っておりますが、全国の平均値を下回っており、全国と東京都の平均値の間に位置しております。また、世田谷区では、体力の現状を把握分析して体育指導に生かすために、区独自の体力テストを継続的に行ってまいりました。この児童・生徒の体力調査報告書において、ここ十年間、体力テストの測定結果の数値を見ますと大きな変動は認められませんでした。  区教育委員会といたしましては、世田谷区教育ビジョンにおいて健康教育・体力づくりの推進を掲げ、また、世田谷九年教育では健やかな身体の育成を柱の一つとして、心と体の健康づくりを推進しております。このように子どもの体力を向上させることは、自己実現につながる重要な課題であるというふうに認識をして、取り組みの充実を図ってまいりたいと考えております。 ◆平塚敬二 委員 ご答弁いただきましたけれども、文部科学省はなぜこの調査をしたかという実施の目的なんですが、子どもの体力が低下している現状にかんがみて、国が全国的な子どもの体力の状況を把握、分析することにより、子どもの体力向上を図る施策の成果と課題を検証してその改善を図ること。各教育委員会、学校が、全国的な状況との関係において、みずからの子どもの体力の向上に係る施策の成果と課題を把握して、その改善を図るとともに、そのような取り組みを通じて、子どもの体力の向上に関する継続的な検証改善サイクルを確立すること。それと、各学校が各児童生徒の体力や生活習慣、食習慣、運動習慣を把握して、学校における体育、健康に関する指導などの改善に役立てるというふうになっています。  先日、スポーツ振興課のほうからスポーツ振興の話がありましたけれども、現在、区の教育委員会として、また各学校として、どのように子ども体力向上の改善に向けて取り組んでいるのかお聞かせください。 ◎直田 教育指導課長 区教育委員会では、区立小学校のすぐれた実践をもとに、授業お助けブックと呼ばれる体育指導資料集を五年前から継続的に作成し、すべての小学校の担任に配布したり、体育指導のポイントを教える実技研修会を実施したりしながら、体育の授業の質の向上を図っておるところでございます。また、現在は多聞小学校を教育ビジョン推進研究開発校に指定いたしまして、子どもたちの心と体の健康づくりを目指して研究を進めており、今後、世田谷区立全小中学校にその取り組みや成果を発信していく予定でございます。  さらに、区立総合運動場におきまして小学校六年生全員が参加する連合運動会や各中学校代表が参加する連合陸上競技会を実施しまして、ほかの学校の友達とかかわりながら体力を高める取り組みを行っておりますが、それに加え、総合型地域スポーツクラブの展開や家庭への啓発なども進めながら、子どもの体力向上に向けた取り組みの充実を図ってまいりたいと考えております。 ◆平塚敬二 委員 多聞小学校でそういう取り組みをされている、これをまた全区的に広げていくという話ですので、ぜひ進めていただきたいと思います。  それと、この調査報告では、運動習慣の体力向上効果については、ほとんど毎日、週三回以上運動するとか、スポーツを実施しているということが体力向上の要因である。また、生活習慣の体力向上及び抑制効果については、朝食を毎日食べる、かつ一日の睡眠時間を八時間以上とる、かつ一日のテレビの視聴時間を一時間未満にする、こういうことを実践する児童が一五%以上になると、それ未満の学校と比較して総合的によくなるというふうに書いていました。また逆に、それをやらないと体力向上を抑制してしまう。  さらに、学校の運動場環境の体力向上及び抑制効果については、学校の運動場の広さと、あと天然芝とかは体力の向上に関係がある。小学校においては、男子は直線で五十メートル以上、女子は百メートル以上になると、それ未満の学校と比較して体力の向上が見られる。加えて天然芝になると一層高くなる。また、中学校においては男女とも運動場の面積が九千平米を超えてくると体力が向上するんですけれども、それ未満だと低くなる傾向があるというふうに書いていました。さらに、全国の中学校で天然芝の運動場は二%しかないんですけれども、それ以外の学校よりも、やっぱり体力が高い傾向があったというのがありました。  校庭の芝生化による効果というのは報告されているんですけれども、私は、校庭の芝生化の推進についてはこれまでも訴えてまいりましたし、第二回の定例会で東京都が行っている校庭の芝生化の事業の一つで芝生出前講座というものを紹介しました。システムとしましてはマット状の持ち運びできる天然芝を貸し出すもので、百から百五十平米の芝を設置して、その費用は東京都で持つと。また、専門家をきっちりと派遣して、芝生管理とか維持管理の方法、あと、水まきとか芝刈りを体験していただく。  そこでお聞きしますけれども、今年度、区ではこの取り組みを何校実施したか、お聞かせください。 ◎伊東 施設課長 ただいまお話のございました芝生の出前講座事業は、校庭の芝生化の推進に向けまして、校庭芝生化の未実施の学校に対しまして、実際の体験を通じて芝生のよさを感じてもらうため、天然芝を貸し出す東京都環境局の事業でございます。この事業に対しましては、花見堂小学校が応募しまして、東京都からの決定を受けて、今月末に約二百平米の芝生の敷設が予定されております。  また、芝生出前講座とは別に、東京都教育庁の事業である校庭芝生調査研究協力校といたしまして、太子堂小学校、桜丘小学校、赤堤小学校、千歳小学校の四校で、九月から来年一月までの予定で校庭の一部に五十平米から二百五十平米の芝生を敷設しております。この事業は、校庭で遊ぶ児童数、遊び方、集まる場所などを調査員を配置して調査するとともに、アンケート調査を行うものであります。  両方の事業を合わせまして五校が芝生を敷設している、あるいは今月末に敷設することになっております。 ◆平塚敬二 委員 出前講座とは違って、四校は別の芝生を設置しているというのを聞きましたし、ぜひ全面芝生に向けて取り組んでいただきたいと思うんですけれども、今五校がやっていると。校長先生とかにお話を聞きますと、やっぱり管理が大変なんじゃないかというお話が一番よく出るんですね。専門家の指導をこうやって体験することによって少しでもそういう理解が深まれば、芝生化の推進も進むのかなというふうに思います。  また、私は、運動場の環境整備である校庭の芝生化により、休み時間とか放課後に校庭で遊ぶ子どもがふえて、子どもの体力向上を本当に推進していただけるんじゃないかと思っているんですけれども、今後さらなる推進をするに当たり、区としてはどのように取り組むのかお聞かせください。 ◎伊東 施設課長 区教育委員会では、学校緑化推進計画に基づきまして、二十二年度に二千平米程度の校庭芝生化を行う予定です。引き続き、今年度芝生化を実施いたしました守山小学校、塚戸幼稚園を初めとした区内の学校の実例や効果を紹介するなどの啓発を通じまして、学校、保護者、地域などの理解と協力を広げながら、さらに計画的に推進してまいります。  また、学校改築に合わせまして芝生の導入を検討いたしまして、敷地の状況などを踏まえて、可能性のある学校については積極的に芝生化を進めてまいりたいと考えています。 ◆平塚敬二 委員 本当に学校の改築等はぜひ進めていただきたいなと思いますし、芝生のよさをもっと知っていただきたいなと思います。  次に、朝もありましたけれども、世田谷九年教育についてお聞かせ願いたいと思います。  先月、世田谷九年教育の検討委員会が検討のまとめ素案を発表いたしました。世田谷九年教育の基本方針では、要約すると、本区教育ビジョンに掲げた子ども像を実現するために、小中学校の義務教育九年間を一体ととらえて、新学習指導要領の実施を機に、区民の高い期待と信頼にこたえられる、より質の高い義務教育を実現していこうとする取り組みであると私は思っておりますが、改めてここで世田谷九年教育について、教育長のお考えをお聞かせください。 ◎若井田 教育長 教育基本法の改正を受けました学校教育法では、今までそれぞれ小学校、中学校別々に目標が定められておりましたが、新たに九年間の義務教育の目標として掲げられました。私たちは、まずこれを踏まえなくてならないと考えております。新しい学習指導要領は、これらの法改正の上に改定されましたので、世田谷九年教育は新しい学習指導要領の実施を契機に導入することとしております。  小学校に入りました子どもたちが六年生になりますと最高学年を迎えるわけですが、最上級生として下級生を指導して、そして下級生を導いて、そして人生の一つの節目である卒業式を迎えます。さらに数日後には新たな区立中学校に入学して、今度は大きなお兄さん、お姉さんのいる学校の最下級生として出発するという一つの節目を迎えるわけでございます。  世田谷九年教育は、このような子どもの人生における節目を大切にしつつ、一方、教職員の立場からは、近隣の小中学校の教職員が一体となって、小学校から中学校卒業まで自分たちの共通の子どもであるということを認識しつつ、カリキュラム、学校運営、それから体制、教職員の研修・研究体制などの充実の三つを柱として、質の高い世田谷の子ども、保護者、区民の期待にこたえる義務教育を創造するというものでございます。平成二十四年度の全校試行に向けて全力で推進してまいります。 ◆平塚敬二 委員 ありがとうございます。二十四年に向けてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  次に、九年教育で育てたい力・資質についてお聞きしたいと思うんですね。  素案では、豊かな人間性、豊かな知力、健やかな身体を育成するとありました。その中でも、私は特に豊かな知力に注目したいと思うんですけれども、その中でも、特に子どもたちの学ぶ意欲についてお聞きしたいと思います。  我が党では昨年、富士市立の元吉原中学校というところを視察いたしました。内容は、生徒が学ぶことが楽しいと感じる授業づくり、また、学びの共同体というのを視察してきたんですけれども、この学校では、教師が一方的に知識を伝達して暗記させる教え込みの授業ではなく、多少レベルの高い課題を、他者とのコミュニケーションをとりながら解決していく、質の高い、学びのある授業づくりを進めていました。授業の方法論ではなくて、視察して私がいっぱい感動したのが、グループで授業を進めることの中で、生徒の一人一人が学びを保障されている。つまり、だれ一人取り残すことなく、子どもたちが学ぶ楽しさを覚えて、学ぶ意欲を持って授業に臨んでいるその姿でした。  まさにこの学ぶ意欲こそ、世田谷九年教育で育てたい力・資質だと私は考えるんですけれども、区の見解を聞かせてください。 ◎平川 副参事 世田谷区教育ビジョンでは、いつの時代も変わることのない知徳体を柱としつつ、教育の充実に取り組んでいくと示しております。世田谷九年教育では、この知徳体を踏まえ、義務教育九年間を通して、豊かな知力、豊かな人間性、健やかな身体を育てるとし、そのために言葉の力の育成をすべての教育活動で取り組んでいくといたしました。  育てたい力・資質として示した豊かな知力は、知識、理解にとどまらず、思考力、判断力、表現力、そして学ぶ喜びや主体的に学習に取り組む態度などを含む総合的な力と考え、学ぶ意欲を豊かな知力を支えるものとして位置づけました。  世田谷九年教育では、子どもたちが自分の力で考え判断したり、自分の言葉で表現したりすることができるよう、小中学校の教員が一体となり、日々の授業の改善に努め、一人一人に応じたきめ細かい指導を充実させていきたいと考えております。  区教育委員会では、これからの時代を生きる子どもたちに学ぶ喜びを実感させ、将来への夢を持たせ、生涯にわたって自己実現を目指していくために必要な学ぶ意欲を、義務教育九年間を通してはぐくんでまいります。 ◆平塚敬二 委員 この学ぶ意欲というのは本当に一番大事かなと僕は思うんです。あと、だれ一人取り残すことなく、みんなが一緒になって学んでいきたいと思える、そういった授業を展開していただきたいというふうに思います。  次に、そのような子どもを教える教職員の研修、あと研究、それから学校への支援についてちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、我が党が視察した富士市立の元吉原中学校は、教職員が年に一回以上、必ず公開授業を行うんですね。それをもとにした授業の反省会を実施していました。この研修を通して、授業を教え込みからかかわりとつながりのある学びへ転換させると。教育の専門家としての教師一人一人の授業技術力のアップ、教材分析力のアップ、子ども同士の関係性を見取る力、子どもの思考過程を分析する力などを高めようとしていました。また、定期的に東大の教授である佐藤学先生などをスーパーバイザーとして招き、先進的な視点に立った質の高い研修を目指して取り組んでいました。  さらに反省会では、互いに学び合い高め合う、同僚性のある教職員集団の構築を目指していると伺いました。これも方法論ではなくて、まさに子どものお手本である教師像がここにあると思うんですね。つまり、子どもを育てたいという高い志を持った教職員の集団の力を発揮できるようなことがこの九年教育にはすごく大事だと思うんです。そういった意味では研修制度が必要だと思うんですけれども、区の見解をお聞かせください。 ◎平川 副参事 世田谷九年教育の実現を左右するのは一人一人の教職員であり、その資質能力を向上させていくことは重要な課題でございます。そこで、世田谷九年教育の取り組みの柱の一つとして、教職員の研修・研究体制及び学校への支援体制の充実を掲げました。一人一人の教員が教員としての高い使命感を持ち、よりよい授業の実現を目指して切磋琢磨するような教職員集団となることが、子どもたちの力をより伸ばしていくことにつながります。  現在指定しているパイロット校では、小中学校の教職員が集まり、各教科や領域などごとに合同の分科会を設けるなどして、指導の改善、充実に向けた実践研究や研修を進めておりますが、世田谷九年教育では、このように小学校、中学校の枠を超えて、学び合い、高め合う教職員集団の実現を目指してまいります。  また、教職員の研修・研究体制を充実させるため、検討委員会の素案では、教職員の研修・研究機能を充実させるために、そのセンター的な機能を担う場を設置することは喫緊の課題であるとしておりますが、区教育委員会では、今後、早急にその実現に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆平塚敬二 委員 まさに教えることに喜びを持った先生も大事ですし、その先生を育てるためのセンターをぜひつくっていただきたいと思います。子どもだけにすべてを任せてもなかなか難しいですから、教える側もしっかりと勉強していただいて、実力アップをしていただきたいと思います。  最後に、いずれにしましても、世田谷の公教育の魅力をアップして、区民の保護者の皆様に義務教育の九年間は安心してこの世田谷に子どもをお預けいただけるという世田谷の九年教育を推進していただきたいと思いますし、区教育委員会としてまだまだ課題はいっぱいあると思うんですけれども、今後どのように進めていかれるのか、もう一度決意のほどをお聞かせください。 ◎平川 副参事 世田谷九年教育は、小中学校九年間を通したカリキュラム、学校運営、教職員の研修、研究や学校への支援について、区立小中学校の教育を一体として改善充実させようとする取り組みでございます。世田谷九年教育の推進に当たりましては、区教育委員会と各区立小中学校が一体となり、保護者、地域の方々のご協力をいただきながら、新学習指導要領の完全実施に合わせて、平成二十三年度に全区立小学校で、平成二十四年度に全区立中学校で試行し、平成二十五年度には全区立小中学校で実施をして、世田谷区の子どもたちや保護者の方々から信頼される、より質の高い義務教育の実現を目指してまいります。 ◆平塚敬二 委員 いずれにしましても、この九年教育で安心してお子様を預けていただける、そういった世田谷の義務教育をつくっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  続きまして、世田谷の図書館ビジョンについてちょっとお聞きしたいと思います。  初めに、「世田谷区立図書館ビジョン」(素案)の中で、八十四万都市にふさわしい区立図書館のネットワーク整備とともに、中央図書館の機能、規模、設備などの拡充を示してあります。この問題に関する我が党の代表質問に対して、教育長からは、今後、八十四万都市世田谷にふさわしい中央図書館像を具体的に構築していくとの答弁をいただきました。  そこでお聞きしますが、現状の中央図書館における課題と今後整備していく考え方について、もう少し詳しく説明をいただきたいと思います。例えば八月にオープンした葛飾区の中央図書館や世田谷区と同規模の自治体の中央図書館との比較など、課題と整備の考え方を簡潔にお答えください。 ◎千葉 中央図書館長 現在の中央図書館の課題について申し上げますと、中央図書館の機能として必要とされる地域図書館のバックアップ機能や支援機能、さらには先駆的な事業運営が必ずしも十分ではないことが挙げられます。具体的には、中央図書館としてスペース上の制約から蔵書やデータのバックアップ機能が限界に近いことや、児童や障害者サービスの拠点としての事業運営に制約があること、さらには書籍展示や事業実施において先駆的な取り組みを実施しづらいことがございます。  現在の中央図書館は教育会館の一階と地下で四千百平米ほどの床面積となっており、ご指摘の葛飾区の中央図書館は、人口四十四万五千人でワンフロア五千平米となっております。参考までに人口規模の類似する指定都市の中央図書館と比較しますと、千葉市では一万二百平米で、世田谷区の中央図書館よりかなり広いスペースを有しております。また、設備面で見ましても、大都市地域で導入されている自動貸し出しや返却が可能となるICタグが未整備であり、貸し出し、返却処理に時間と人手を要するものとなっております。  こうした状況の中で、今後の中央図書館の整備の方向性を考えますと、まずは三階建ての建物全体を考慮し、スペース面での拡充とICタグに象徴される新たな技術による効率化の推進、そして事業企画、運営面での一層の充実等が挙げられるところでございます。 ◆平塚敬二 委員 まさに、一つはスペースの制約がある、もう一つは技術面でやっぱりICタグを推進したいということを今お聞きしました。  続きまして、今後の図書館の運営体制についてなんですけれども、図書館ビジョン素案では地域特性に応じた運営体制の構築というのがありました。それぞれの図書館は立地特性があり、各館の地域特性に応じた多様な運営体制を構築することは、区民のニーズにこたえていく上でも重要だと考えます。  そこで具体的な話として、平成二十五年の完成に向けて現在建てかえ計画が進行中の代田図書館ですが、これは皆さんご存じのように、京王井の頭線の新代田の駅に隣接した図書館です。これまでは他の図書館と同様に、月曜日が休館日で、朝九時から夜の七時までが開館時間となっています。新たにオープンするときの運営体制はどうしていくのか、また、立地条件が類似している経堂図書館のように夜間延長や職員体制も一部委託となるのかどうか、その方向性を教えてください。 ◎千葉 中央図書館長 今後の図書館運営体制につきましては、ご指摘のように、図書館ビジョン素案で地域特性に応じた運営体制としております。例示として挙げられました代田図書館につきましては、平成二十五年度の完成に向けて計画が現在進行しております。来月からは近接の守山小学校の校庭の一部に仮事務所を設けて、新たな開館に備えているところでございます。今後、開館日の拡大も視野に入れた新たな運営体制を具体的に検討し、平成二十五年のオープンに備えていきたい、かように考えております。 ◆平塚敬二 委員 心強いお言葉をいただきました。開館時間もそうですし、新しい図書館ということで、その体制もしっかりと。今、守山小学校のグラウンドが少し小さくなってかわいそうなことになっていますけれども、その分、できたときには喜んで使っていただけるような図書館にしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
     最後に、図書館ネットワークについてもう一回お聞きします。  図書館ビジョンでは、中央図書館を核として、地域図書館、まちかど図書室、さらにターミナルを含めたネットワークの整備と言われています。さらに、図書館情報システムに接続されていないまちかど図書室に順次システムを導入すること、さらにICタグを順次全館に導入して、自動貸し出し等の関連機器を含めた整備を進める、区民の利便性の向上を図るとありました。  具体的に、現在接続されていないまちかど図書室のシステム導入をどう進めるのか。また、仮称図書館ターミナル、機能としては駅周辺や公共施設で予約本の受け取りや返却等ができる機能を想定していると聞いています。区民の利便性の向上に大変に有効な取り組みであると思うんですけれども、また、私はぜひ進めていただきたいと思うんですが、区の見解をお聞かせください。 ◎千葉 中央図書館長 まず図書館ターミナルでございます。図書館ターミナルは、ご指摘のように駅周辺や公共施設で予約本の受け取りや図書を返却することなどを想定しております。今後、具体的に仮称図書館ターミナルの構想化に向け、関係機関と協議してまいります。あと、まちかど図書室のシステム導入につきましては、これも具体化に向けて、今後関係所管と協議してまいります。 ◆平塚敬二 委員 やっぱり皆さんの身近が一番いいですので、駅とか公共施設で貸し借りができる、これは本当に理想的なお話だと思いますので、ぜひ進めていただきたいと思いますし、まちかど図書室もシステムが導入されれば、そういう形でいつでも貸し借りができるということになると思いますので、進めていただきたいと思います。  今後、図書館運営については、図書館ビジョン素案の具現化に向けて取り組んでいただきたいと思いますし、利便性の向上を図るとともに、各図書館が地域に根差した区民の知と学びと文化の情報拠点になると思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいことをご要望して、私の質問を終わり、諸星委員にかわります。 ◆諸星養一 委員 引き続き公明党の質疑をさせていただきますが、私のほうからは、初めに、若年者の精神保健の意義と早期支援の取り組みについてお尋ねをさせていただきたいと思います。  この問題は、さきの福祉保健の所管でも、高橋委員に取り上げていただきましたし、また、昨年も私自身、この決算特別委員会でのテーマとさせていただきました。そういう意味では、昨年に引き続きの質問でございますので、理事者の皆様方も、また委員の皆様方も共通認識に立っていただいているという前提で質疑をさせていただきたいと思っております。  この精神保健の問題というのは、我が国は諸外国に比べて大変立ちおくれているというふうに昨年お話しさせていただきましたけれども、国においてもこの精神保健に関する動向は、さまざまな課題に対する検討をされているというようなことがございます。厚生労働省ですけれども、今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会が昨年四月に立ち上がっています。既に二十回を超える検討会が開催されております。  この教育所管の部分で言えば、早期対応の観点からの普及啓発については、学齢期の若者とそれを取り巻く者を重要なターゲットして位置づけ、学校教育分野との連携や必要なサービスの確保を図りつつ、重点的に行うことの必要性に言及する、その検討会でされているわけですね。  文部科学省においても小冊子、小冊子と言えるかどうかわかりませんけれども、この「教職員のための子どもの健康観察の方法と問題への対応」という冊子がことし三月に作成されています。その前書きには、社会環境、生活環境の急激な変化が子どもの心身に大きな影響を与えており、さまざまな問題が顕在化しており、こうした状況の中、中央審議会の答申では、「子どもの心身の健康を守り、安全安心を確保するために学校全体としての取り組みを進めるための方策について」という答申が出されまして、学校においては、子どもの心身の健康問題の早期発見、早期対応を図る上で大きな役割を果たしている日々の健康観察や保健指導などの適切な実施が求められているとして、新たに健康観察、保健指導、医療機関との連携を法的に位置づけ、充実を図るとし、この思春期における精神保健の取り組みの意義を国として重要な課題としてとらえようとしていることが、この中でも浮き彫りにされているというように私自身は理解をしております。  先ほど言いましたように、我が国としてはまだまだ大変立ちおくれていると。それで、国民的課題としてこうした取り組みを具体的にどう進めていくか、深めていけるかということが、国、地方を挙げての課題だというふうに私どもは考えている次第でございます。  そこで、質問の第一ですけれども、先日も高橋委員から思春期精神保健対策連絡会の発足の意味というものを取り上げさせていただきました。私も昨年質疑させていただいてより、この世田谷区の区としての動向を注視してまいりましたけれども、連絡会の立ち上げに関して言えば、具体的に一歩踏み出されたなと評価するものでありますが、一方では、ようやくとの感が否めない、これも私の率直な感想であります。  それはともかくとしまして、この連絡会について、教育委員会サイドとしてのその持つ意味、意義について、まずお尋ねをさせていただきたいと思います。 ◎大澤 学校健康推進課長 思春期の精神保健につきましては、世田谷区教育委員会としては重要な課題であるというふうにとらえております。そこで、思春期の子どもたちが心の健康を保ち、健やかに成長していくことを支援するために、思春期精神保健対策の推進のための体制整備を目的とした世田谷区思春期精神保健対策連絡会を、世田谷保健所と共同で八月に全庁的な組織として立ち上げ、その中には、区立小中学校の校長、副校長、養護教諭の代表を含めたメンバーに入っていただき、今現在取り組みを始めたところでございます。  当日、連絡会の設置目的に加えまして、心に関する健康問題と取り組み状況につきまして、各部署から説明がなされ、また、都立中部総合精神保健センターの先生からもご意見をいただきました。まず子どもの心の健康についての課題を共通認識にしたのは一歩前進したのかなというふうに認識しております。 ◆諸星養一 委員 これは教育長にお聞きしたいんですけれども、要するに、教育委員会のみならず、全庁挙げてこうした問題についてようやく連絡会が立ち上がったと。これは率直に一歩前進だと思いますけれども、問題は、当然これからの取り組みで、これをどう具体的な成果として示し得るかということが、私はある意味では、教育長のリーダーシップが問われているというふうにも感じますが、その点について、改めてご見解をお伺いしたいと思います。 ◎若井田 教育長 委員お話しのように、精神保健医療福祉等につきまして、厚労省、文科省の動きのある中で、世田谷区でも思春期精神保健対策連絡会が設置されました。教育委員会からも、課長、統括指導主事、また、小中学校の管理職等も参加しております。  教育委員会では、この連絡会における具体的な事例研究を積み上げて、それらを活用するということはもちろんでございますけれども、やはり九十五校の区立学校に対して、協議会としてリーダーシップを発揮するということが非常に大事でございますので、思春期の子どもたちへの適切な対応、また、教職員の研修等につきましてしっかり推進してまいりたいと思っております。 ◆諸星養一 委員 それで、少し具体的な問題に入りたいと思いますけれども、この作業部会、先ほど大澤課長のほうからもお話がありましたように、学校の養護の先生方も入っているわけですね。そこで当然具体的な問題症例を研究していくことになろうかと思いますけれども、学校現場で悩み行動、心の問題ですね、そうしたことをどう把握できるかということがやはり大事になってくるんだろうなと思います。  そういう意味合いにおいては、学校現場でどう把握できるか。せんだって高橋委員も話していましたけれども、松沢病院の岡崎院長先生の話によれば、中学校一年生の約六割が保健室に相談に行く。当然上級生はさらに少し下がりますけれども、しかし、半分以上の生徒さんが保健室に行くことというのは、今後の取り組みの、ある意味では状況をきちっとどう把握できるかということがまず第一の問題ではないのかなと思います。  そういう意味においては、この保健室、そして養護の先生というのがこの取り組みのキーパーソンであると思います。そこで、まず第一に保健室における相談の実態、これを全小中学校で把握する必要があるというふうに私は思っておりますが、現状はどうなっているのかお聞かせいただきたいと思います。 ◎大澤 学校健康推進課長 この連絡会でも、小中学校の養護教諭より、心の健康問題や課題では、高学年女子の友人関係の複雑さ、親子関係のぎこちなさなど課題が挙げられ、また、取り組みでは、気になる子どもには全職員で情報を共有して、全校体制でかかわっていることなど、現場の実態が報告されております。また、この連絡会では作業部会を設けることになってございまして、作業部会では、子どもの相談にかかわる担当者等で構成し、実際の相談事例等をもとに、現状把握や意見交換を行うこととなっております。その内容を連絡会に報告していく仕組みでございます。今現在の現状としてはこういう状況でございます。 ◆諸星養一 委員 そうしますと、要するに保健室でのそうした問題について、まず、学校ではそうしたこと、さまざまな、先ほど上川委員が密閉治療、それは私も初めて聞きまして、ちょっと別な話になりますけれども、当然記録をされているんですか、いないんですか。 ◎大澤 学校健康推進課長 各相談に来られるケースは、相談内容が個々に違いますけれども、そういう形で、保健室に相談に来られる方については、統一的な用紙はございませんが、記録をしてございます。 ◆諸星養一 委員 そうした問題は、教育委員会としてそれを把握されているんですか。 ◎大澤 学校健康推進課長 全体として把握しているかどうかということではなくて、養護部会等でお聞きした件で把握してございます。 ◆諸星養一 委員 その連絡会が立ち上がったということは、そうしたことも含めて、まず現状をしっかり把握する、現状を認識するというところから始めなければ、その先に進めないことは当然だと私は思っておりますから、教育委員会としても、そうした問題について、まず真摯に向かい合っていただきたいなというふうに思います。  その上で、次の問題として、昨年はアンケートの問題、これは最後に取り上げますけれども、その次の段階としては、中学校においてモデル校を選定して、学校、家庭、地域、連携しての支援に取り組む必要があるのではないか、ここが今回の一番の私自身主張したいことです。  実際に三重県の津市では、これは先駆的な事例ではありますけれども、その早期発見支援モデル事業として、生徒、保護者、教員に対する啓発プロジェクトが一つの柱、もう一方の柱として学校内の精神保健推進プロジェクトの取り組みがあるわけです。校内精神保健特別支援委員会が設置されていて、特別支援コーディネーターや養護の先生、もちろん校長先生も入りますが、ここで精神的な不調を抱える生徒の把握と校内における対応を議題としてきめ細やかな対応が図られている、これは先駆的な事例です。  ただ、これは結構ほかの県にも広がっております。長崎県の大村市でもそうしたことについて、大村市内のモデル中学校を選定してこの事業を展開している。さらに、津と大村ではそれを合同研修会もしているというような、自治体においては既にそこまで進んでいる例もあるわけですね。  そういう意味合いにおいては、私は連絡会を立ち上げたということは第一歩にすぎない。ここで次の段階にどう進めるかということが、やっぱり自治体としての責任が問われる、自治体としてのこの意義が問われてくるという意味合いにおいては、ぜひこの点について積極的な取り組みをお願いしたいというふうに思っておりますけれども、この点についていかがですか。 ◎大澤 学校健康推進課長 思春期の子どもたちは、思春期特有の心や体に関する問題を抱えている場合もあり、重大な病気に至る前に、早期の予防的な取り組みが大切であると言われております。今後、この連絡会のもと、具体的な事例研究を積み上げながら、思春期の子どもたちの相談事業の充実や支援の仕組みづくりを進めてまいりたいと考えております。 ◆諸星養一 委員 これは次長に聞きたいんですけれども、この問題について、モデル校として考えることはできませんか。 ◎若林 教育次長 この間、課長が答弁申し上げてまいりましたように、ようやっと現場も交えた取り組みが始まったところだということについては、なかなか歩みの遅さということについて頑張らなきゃいけないなと思っているところがあります。  その一方で、こういう言葉が適切かどうかはありますが、言葉として本当に正しいかどうかいろいろありますけれども、現場の一部には戸惑い的なところも見受けられるのかなという感がしております。こういう中で、私自身もこのような精神保健にかかわる仕事をかつて担当した経験もあります。そういう事の重大性を踏まえて、継続的に粘り強く問題提起していくのが私たち区教育委員会、区行政の役割だというふうに思っております。委員ご提起のところが即できるかどうかはもう少し検討させていただきたいと思いますけれども、改めて重大なご提起をいただいた、こういうことで認識をしております。 ◆諸星養一 委員 だから、その戸惑い、学校においてさらに重荷を受けるというようなことだと、それは確かに現場の学校の先生方にとってみると戸惑いがあるかもしれないけれども、この問題の本質、今次長もみずから言われているように、我が国の将来の宝、子どもたちをどう守っていけるかということが一番の根底にあるわけですよ。その上で、この精神保健の問題についてどう取り組んでいけるのかということなんですね。だから、それをやっぱり共通認識としてもらうということは、私はこれは教育委員会側の責任だと思っていますよ。だから、粘り強く。ただ、連絡会を立ち上げたことは、ある意味ではその一つのあらわれだと思いますから、具体的にいつまでにということをぜひ考えていただきたいなと思います。  そういう意味では、大澤さん、三重県の津市に行ってくださいよ。一番先駆的な事例を持っているんですから、具体的にこの目で確認する。私も一緒に行きたいと思っていますけれども、ぜひお願いしますよ。  この項目の最後に、改めてアンケートの実施ということを強く求めたいと思います。  オーストラリア、ニュージーランド、イギリスですね。そうしたこの精神保健に関する問題において共通の取り組みの第一が、まず疫学調査を実施し、思春期精神保健に関する具体的な実態を把握することにあると。これはアンケートのことですけれども、三重県の津市が十八年度に初めて実施していると。それ以来、長崎県大村、高知、愛知でも検討されていると。そうした問題について、昨年、初めて私どもは研究させていただいたわけですけれども、一年たちました。今次長が言われたように、現場では非常に重い責任というか、重い課題を受けとめてしまうようなこともありますけれども、今申し上げたように、やっぱり厚労省も文科省もこの問題に対してどうしようかと、国も動いているわけですよ。  であるならば、やっぱり自治体から始めていく。しかも、世田谷から東京を変える、日本を変えると区長がおっしゃっているわけですから、そうした問題についてさまざまな壁はありましょうけれども、そのアンケート調査もその一つだと私は思っておりますから、ぜひこれは実施に向けて検討をいただきたいというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。 ◎若林 教育次長 先ほど連絡会での様子の紹介もさせていただきましたが、保健室なり、あるいはスクールカウンセラー等々、あるいは現場の先生方もそうですけれども、いろいろな事例をそれぞれ蓄積しているんだと思います。そういう中で、様式がまだ統一されていない、こういったお話を申し上げたと思いますけれども、こういうような現場で起きていることから物事をきちんと見ていくということも、おっしゃるように大事だと思います。  今後、養護教諭の先生方の部会もありますし、管理職だけではなくて、現場の第一線の先生方も交えて、こういう現場の悩んでいるところなり、現場が直面している課題を、教育委員会全体としてもどういうやり方で受けとめて、一つの方向づけをしていくかということについては、前向きに検討させていただきたいというふうに思います。 ◆諸星養一 委員 教育長、この項目の最後にお聞きしたいんですけれども、実は先日、さくら会の合同研修会に私も参加させていただいたんですね。そこで家族会の方々のニーズ調査というものを行っていました。僕の記憶ですけれども、千五百人ぐらいの方々のそういう調査が行われている。それはそのご家族の方々にとってみると大変な思いがあるわけですね。ご病気になられて、それをどう克服していけるか。ある意味では触れたくないような問題についても、ここでは真摯に取り組んでいただいている。私はそのことが日本の精神保健の将来において必ず前進するからという思いがあってこそ、私は調査に応じてくれたと思うんです。だからこそ、私もこのアンケートとか、モデル事業とか、教育委員会がやると決めたら、現場の学校の先生方は教えないはずはないと僕は思いますよ。  その意味、その思いが、僕はぜひ教育長に欲しいと思いますけれども、その点、いかがですか。 ◎若井田 教育長 思春期の子どもたちの心の問題、精神の健康の問題につきましては、非常に重要な問題であるということはもう重々認識いたしております。そういう意味におきまして、校長会と連携を保ちながら、今次長からもお答え申し上げましたけれども、どういうモデル校になるかというのは別といたしまして、学校をピックアップしながら、できるのかどうか、前向きに検討していきたいというふうに思っています。 ◆諸星養一 委員 その言葉に期待をさせていただきます。  それでは次に、不登校対策のあり方についてということについて質問をさせていただきます。  私は、不登校対策、我々は議会としてもさまざまな提案をさせていただいています。他自治体に先駆けて全小中学校全校へのスクールカウンセラーの配置とか、あとほっとスクール、これも東京でたしか初めてですよね。しかも、今二カ所で運営をされている。私はこの世田谷の不登校対策というのは、ある意味では非常に全国に誇れるというふうに思っている次第です。  ただ、実は五月にまとめられました「世田谷区における不登校対策のあり方について」最終報告を見ますと、残念なことに、なかなか不登校の状況が変わっていない、この数年間横ばいであるという状況になっています。しかも、これは残念なことに、全国に同じような状況が続いているという現状があります。  最初に申しましたように、本当に誇るべきその対策を講じているにもかかわらず、なかなか減少しないということについて、まず区側の認識をお尋ねしたいと思います。 ◎伊佐 教育相談・特別支援教育課長 世田谷区の小中学校の不登校の児童生徒は、平成十一年度をピークに減少傾向にございますけれども、ここ数年は四百人前後で横ばいの状態でございまして、依然として重要な教育課題であるというふうにとらえております。  この間、教育委員会といたしましては、お話にありましたように、さまざまな不登校の予防的な取り組みや不登校の子どもへの支援の取り組みを進めてまいりましたが、近年、不登校となるきっかけや要因が複雑、多様化しておりまして、また、不登校の状態も長期化しているということがございます。子ども一人一人の不登校の状況や状態に応じた、よりきめ細かな対応や支援が求められている、そういった認識でございます。 ◆諸星養一 委員 この報告書ですけれども、不登校児童生徒への支援の基本的な考え方として三点挙げられていますよね。子どもの育ちを考えて支援する、早目早目の対応で支援する、地域全体で子どもを支援する、基本的な指針としてこの三点が挙げられています。  私はこれから個々の具体的なことを確認したいんですけれども、まず、それぞれの課題に対して、それをどう実現していくかということがやはり問題であろうと。先ほども言いましたけれども、具体的な施策として昇華していかなくては意味がないと。幾ら報告書を出して、これはその内容を見ても大変すぐれたものと思いますけれども、しかし、それは実現していけばこそ報告書の意味があるというふうに私は思います。  そういう意味合いにおいて、一つ一つ細かく具体的に質疑をさせていただきたいと思いますけれども、まず教育相談室、ここでは区内五カ所の教育相談室における来室相談件数が年々増加傾向にあり、相談内容が複雑化し、解決までの期間の長期化により、新たな相談の申し込みに対して時期を得た対応が困難であり、体制強化が求められるというふうに報告書にございました。  今年度の、二十年度の決算書を見ますと、その成果の一三五ページに、教育相談体制の充実に向け、玉川分室の大規模改修準備や世田谷・砧分室の移転準備ということで、この成果として挙げられているわけです。こうしたハード面の問題も含めて、そしてまた、強化となれば、当然受ける相談者の方もふやしていかなくてはいけない。ソフトの面の強化ということも両側面があると思いますけれども、この教育相談室の充実強化について、改めて区の見解を求めます。 ◎伊佐 教育相談・特別支援教育課長 教育相談室の相談は、委員お話しのとおり年々増加しておりまして、かつ相談の終結まで長期化しているところがございます。そうしたことから、ハード、ソフト両面からの充実が求められている状況であるという認識をしております。このため、今年度は相談スペースの拡充を目的といたしました教育相談室世田谷分室及び砧分室の移転とあわせまして、相談環境の改善を目的といたしまして、玉川分室の改修に取り組んでいるところでございます。  今後は、学識経験者や民間団体の代表者などから成る不登校対策検討委員会で提案されている不登校に関する総合的な相談窓口の検討とあわせまして、心理教育相談員の拡充など、運営体制の充実に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。 ◆諸星養一 委員 財政的にもかなり思い切った手だてが必要となると思いますけれども、よろしくお願いいたします。  次に、ほっとスクールですけれども、単刀直入に聞いてしまいますね。第三のほっとスクール、代表質問等で我が党として、城山、尾山台に続く第三、いつできるんだということを言い続けていました。最終報告書にも整備を推進すべきというふうに記されています。ただ、いつまでにというのはないんだよね。それは難しいと思うんだけれども、でも、我が党としては、一日も早い開設を求めているわけですが、その具体的なスケジュールがもしあればお示しいただきたいと思います。いかがでしょうか。 ◎伊佐 教育相談・特別支援教育課長 ほっとスクールにつきましては、不登校の児童生徒にとって大切な役割を果たしている施設であろうというふうな認識をしております。  区教育委員会では、不登校対策検討委員会の最終報告を受けまして、現在、新たな不登校の居場所の整備への課題の整理ですとか、施設機能のあり方、施設の整備手法など、その具体化に向けた実施案の検討を進めている状況でございます。  今後とも新たな不登校の居場所の早期整備に向けまして積極的に取り組み、不登校の児童生徒への支援の充実につなげてまいりたい、かように考えております。 ◆諸星養一 委員 来年度中には形ができてくるのかしら、どうでしょうか。 ◎伊佐 教育相談・特別支援教育課長 現在、整備の手法ですとかそういったものの課題整理をしております。明言はなかなかできない状況でございます。申しわけございません。 ◆諸星養一 委員 それ以上のことは言えないと思いますけれども、来年度予算につくように期待をしておりますからね。  あわせて、城山も同様に老朽化が著しい、これも改築の方向だと聞いておりますので、この点についてもしっかり取り組んでいただきたいということを要望させていただきます。  それでは、もう一点、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカー、この最終報告書に聞きなれない言葉が出てきました。まずスクールカウンセラーについてですけれども、これも制度として定着し成果を上げている。学校側から勤務日数の増加などによる相談体制の充実を要望されている。まずこれについて、区としてのお考えをお示しいただければと思います。 ◎伊佐 教育相談・特別支援教育課長 従来からも答弁させていただいていますけれども、区教育委員会におきましては、全国に先駆けて中学校と小学校全校にスクールカウンセラーを配置してきたところでございます。スクールカウンセラーにつきましては、不登校などの児童生徒へのカウンセリングや、教員、保護者などへの専門的な相談支援においてその成果を上げているというふうに考えております。  スクールカウンセラーの勤務日数の拡充につきましてでございますけれども、学校のみならず、PTAや保護者などからもご要望をいただいているところでございます。東京都が任用いたします中学校スクールカウンセラーの制度と区が独自に制度設計をしております小学校スクールカウンセラーの制度とまだまだ調整すべき課題が非常に大きく、スクールカウンセラーの勤務日数の拡充に向けた取り組みへの時間を要している、今そういった状況でございます。 ◆諸星養一 委員 これもぜひ来年度進められるようにお願いをいたします。  スクールソーシャルワーカー、これも実は聞きなれない言葉なのでどういうものかと思ったら、アメリカでは既に百年に及ぶ歴史があると。他の多くの国々も導入されているということで、ただ、我が国ではまだなじみがない。ただ、文科省においては、これについてはかなり注目をしていて、その導入に積極的であり、昨年より、実は百四十一の地域にスクールソーシャルワーカーが導入されているというふうに聞いております。  このスクールソーシャルワーカー、最終報告にも書かれていますけれども、家庭の養育環境などを要因とする不登校や福祉面で支援を必要とする児童生徒や保護者に対して、このスクールソーシャルワーカーは、福祉の観点から子どもや保護者と問題を共有し、環境の改善に向けて学校と保護者との関係調整を図っていくと。当然スクールカウンセラーとの役割分担が行われると思いますけれども、このスクールソーシャルワーカーについての区のお考えをお示しいただければと思います。 ◎伊佐 教育相談・特別支援教育課長 不登校の児童生徒の中には、家庭環境などの問題が複雑に絡み合い、学校だけでは対応が困難なケースもございます。そういった対応には、関係機関と連携した対応が求められる状況がございます。スクールソーシャルワーカーを導入した自治体におきましては、関係機関につなぐ、家庭に働きかけるなど、児童生徒の環境改善につなげるケースが見られたなどの成果を挙げる一方、スクールカウンセラーとの業務のすみ分けなどが難しく、職務の違いや活用の仕方に戸惑いが見られたなどの課題なども出されてきているところがございます。  区教育委員会では、スクールソーシャルワーカーにつきましては、既に配置している自治体の取り組み状況などを把握検証しながら、今後とも積極的に検討を進めてまいりたいというふうに考えています。 ◆諸星養一 委員 ぜひ積極的に導入していただくことを要望いたしまして、公明党の質問を終わります。 ○大場やすのぶ 委員長 以上で公明党の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後二時三十六分休憩    ――――――――――――――――――     午後三時十分開議 ○大場やすのぶ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  民主党、どうぞ。 ◆重政はるゆき 委員 本日は、文教領域ということで、教育委員会の委員長にもおいでいただきました。ありがとうございます。お考えをいろいろお伺いできたらというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  まず、こういう第二期行動計画というのがございまして、教育環境の整備であったり、地域とともに子どもを育てる教育だったり、いろんな方針を述べておられるんですけれども、その中で、教育委員会の、まさにご自身のところでございますけれども、教育委員会の改革という項目がございます。教育委員会では、法律や制度の改正を世田谷区の教育をさらに充実させる好機ととらえて、教育行政の透明性や説明責任の確保、区民との協働の基盤となる情報の共有、効果的、効率的な執行体制の整備などに取り組みますということが書いてございます。  この中で、教育行政の透明性、それと説明責任の確保という二点がこの文章の中に入っているんですけれども、この二点についてお伺いしたいんですが、現状から見てどういうところがこの透明性あるいは説明責任、課題だと。やっぱり課題だと考えておられるから改革するんだということで載せておられると思うんですけれども、ご自身の委員会の話でございますが、委員長から見てどういうところが課題だとお考えになられますか。 ◎佐俣 教育委員会委員長 教育ビジョンは、平成十七年三月に、世田谷区として初めて十年間という長期間にわたる教育の方向性を明らかにしたものでございます。その願い、思いを、教育委員みずから区民の皆様に積極的にお伝えすることが教育委員会の改革であり、開かれた教育委員会であると思っております。  そのことを踏まえて、私たち教育委員は、これまでも学校行事やPTA研修会、小中学校の研究会などに参加させていただき、教育活動を参観したり、意見交換を行ってまいりました。学校、家庭、地域の方々との距離が少しずつですが、縮まってきているのではないかと思っております。また、昨年度から教育ビジョン第二期行動計画の取り組み項目を、教育委員会が自己評価し、議会へ報告、区民へ公表しております。  今後ともこのような取り組みを一層充実するなど、開かれた教育委員会を目指し、全力を尽くしてまいりたいと思っております。 ◆重政はるゆき 委員 教育行政の透明性というところでございますけれども、ちょっと意地悪な考え方かもしれませんが、教育委員会の改革の中で教育行政、まさに今、教育委員会で行政をされておられるわけですけれども、透明性を確保するんだということを挙げておられるということは、一部透明じゃないところがあるんだというふうに思ってしまうんですが、委員長のお考えはどうですか。 ◎佐俣 教育委員会委員長 私としては、透明性がないから透明性をということではなくて、今までも開かれた教育委員会を目指しておりますので、さらにそれを進めてまいりたい、そういう意味で表現していると考えております。 ◆重政はるゆき 委員 つい先日、小学校でサッシの落下事故がございました。半年ぐらい前でございますけれども、松原小学校でノロウイルスと思われる被害がありました。委員長はその場にご出席なされておられたので、話に聞くより、異常な事態だというのは体感されたと思うんですね。次々と生徒が壇上あるいは卒業生の席から抜けていくという状態、一人二人じゃなかったですよね。  そういう事件というか事故が起きた場合に、松原の件は、委員長はその場にいらっしゃいましたけれども、教育委員会の事務局が教育委員の皆さんに、こういう事故がありましたということで報告があったり、その後の調査がありました、後日調査します、調査の結果の報告があったりということがあると思うんですね。実際にございましたね。  そういった報告がある委員会の議事録を見てみますと、教育委員の方々が、例えばどうしてそうなったんだとか、原因は何なんだとか、僕から見るとそういう議論が余りされていないような気がするんですね。普通、そういうことがあったら、学校の児童生徒の安全安心を守るというのはすごく大事なことだと思うので、なぜそうなったんだろうというふうに普通は思うと思うんですよ。そうすると、思うことが質問になって、どうしてそういうことが起きたんだと、そういう質疑といいますか、いろいろ議論が起きると思うんですが、実際拝見しますと余りないような気がするんですけれども、それはどう思われますか。 ◎佐俣 教育委員会委員長 いずれも子どもの安全にかかわることであり、大きな事故、事件だったと思います。特に松原小の卒業式には私も出席しておりましたので、数人の児童が出入りするのを見て、どうしたのかしらと大変心配でした。翌日、ノロウイルスの件を知ったのですが、後になって振り返ってみますと、式の当日に、もう少し学校の丁寧な説明があったほうがよかったのでは、また、私自身、当日時間に追われておりましたので、学校に児童たちの出入りの原因をきちんと確かめるべきだったと感じております。 ◆重政はるゆき 委員 当日の話というよりは、むしろその教育委員会という場で、委員長に限らず、教育長もお出になられておられるし、ほかにも委員の方がいらっしゃいますよね。そこで、先ほどの繰り返しになるとあれなんですが、なぜそういう質疑が活発に行われないんだろうという気がしているんですね。それは、こういう報告案件というのは、教育委員会の事務局が教育委員の方に、事前にいろいろ説明をするわけですか。 ◎佐俣 教育委員会委員長 私戻りまして、やはりそういうことであったかと、そういうお話は内々させていただきました。したがって、委員会の前にその話をしてしまっておりましたので、委員会の中での議論は少なかったかと思います。ただ、いずれにいたしましても、二度とこのようなことのないよう、委員長として事務局にお願いいたしました。そして、私といたしましては、子どもの安全確保は学校運営の基本中の基本と思っておりますので、これからも精いっぱいの努力をしてまいりたいと思っております。 ◆重政はるゆき 委員 松原小学校のノロウイルスと思われる被害についてはそういう話だったんでしょうけれども、サッシの落下事故、これはまだ議事録は多分出ていないと思うんですが、それは事務局からこういうことがありましたと、事前に報告がなされるわけですか。 ◎佐俣 教育委員会委員長 記憶が定かではありませんが、その件については、教育委員会の中で議論されたと思っております。
    ◆重政はるゆき 委員 議論されたということは、議事録が出るのが二カ月ぐらい先の話なので、まだちょっと確認できないんですが、こういうふうに申し上げるとわかっていただけると思うんですけれども、要するに、教育委員会の場でいろんなことが議論されずに、教育委員会が始まる前に、委員の先生方に事前説明ですというような形で終わってしまうのは、先ほど申し上げた透明性だとか、教育委員会の中の説明責任の確保とか、その辺がどうなのかなと思う。  教育委員会という公開の場ですよね。事前に事務局と、こうやるとああだよ、こうでじゃなくて、教育委員会という公開の場で、そういうことについては教育委員の皆さん方に議論をしていただく、それが区民の目に入る。そうすると、教育委員会がどういう動き、あるいはどういう考え方でやっておられるのかというのがわかると思うんですが、私のこの考え方はどう思われますか。 ◎佐俣 教育委員会委員長 教育委員会の会議では、委員の皆様のそれぞれの立場、それからご見識に基づき、毎回議論が交わされていると考えております。重政委員のおっしゃるように議論が交わされているつもりでおります。  委員長といたしましては、これからも、さらに委員の皆様の議論が深まるように、会議の進行に務めてまいりたいと思います。 ◆重政はるゆき 委員 ありがとうございました。教育委員会は昼間開かれますよね。委員会もそうなんですけれども、一般のお勤めなされている区民の方々は、実際に現場に行ってごらんになるということはなかなか難しいですよね。そういたしますと、数カ月後かに出てくる教育委員会の議事録、これも情報センターに平日行かなきゃいけないというのはございますが、ただ、そういうところが唯一、一般の区民の方々に見えるところでございますので、ぜひその辺は、本当に事前の説明で、ああ、そうなのではなくて、今違うとおっしゃいましたけれども、教育委員会の場で区民に見える議論をしていただきたいとお願いをさせていただきます。  それで、それにちょっと関係するんですけれども、教育の議事録、これは公開しているんですが、これをホームページで公開していただきたいなというふうに思っているんですね。手間として、議事録をつくるのであれば、ホームページには教育委員会の開催の中でこういう報告がなされたという項目は出ているんですけれども、その項目について、各委員の方々がどういう質疑をされたのかというのがわからないんですね。そのホームページのやりとりの公開ということについてはどうでしょうか。 ◎霜越 教育総務課長 教育委員会の議事の議事録、正確には速記録でございますが、これにつきましては、お話しのように、現在、区政情報センターで区民の皆さん等が閲覧できるようになっております。  ホームページへの掲載ということでございますが、開かれた教育委員会のより一層の推進のためには有効な手法の一つであり、私どもも課題として受けとめていたところでございます。今後具体的な検討を進めてまいりたいと思います。 ◆重政はるゆき 委員 具体的な検討をするということでございますが、その辺は早急に、素人目に考えると、そんなに手間がふえるわけではないというふうに思いますので、その辺はまた具体的な検討ということでございましたら、文教委員会等々でご報告をいただきたいということは要望させていただきます。  それから、学校の施設についてちょっとお伺いしたいと思います。これは委員長にもちょっと聞いておいていただきたいんですけれども、施設について、全体の施設がどうのこうのという議論をしてもしようがないので、ある中学、砧中学なんですけれども、砧中学の特別支援学級の施設についてちょっとお伺いしておきたいなと思います。全体の施設の中の一つの施設の話でございますけれどもね。  砧中学の特別支援学級、砧中学はちょうど今一部改築工事をしておりまして、結構道が複雑になっていたりするんですが、それは途中過程なのでしようがないんですけれども、特別支援学級は、新しく一部改築をしても、旧校舎というんですか、古い部分に残るということになっております。もちろん一番いいのは新しいところに移って、きれいなところでやればいいのかもしれませんが、それはいろいろな都合がありまして、それは残るということです。ここにはニーズが多くて、二十八人、四学級、知的障害の学級がございます。  その施設で、本当にびっくりするんですけれども、知的障害のお子さんということで、トイレが、男子の小用のほうですけれども、先生からお伺いすると、時々漏れちゃうとかそういうことがあるんですね。そのトイレを見ますと、ウン十年前の私が小学校、中学だったときのような、形としては丸っこい小用の形で、今やもう余り漏れないように縦長になっていますね、それがそういうことで残っていると。そういういろいろ漏れちゃうということもたまにあるので、やっぱり洗うところが必要だろうというので、男子トイレの中に洗濯機が置いてあるんですよ。シャワー室もあるんですけれども、シャワー室もトイレの近くとかそういうんじゃなくて、まさにトイレの中にあるので、とても使えないと。女子トイレにはシャワー室自体がないというような状況でございます。  一部通常学級といいますか、普通学級のところはトイレを新しくして、こういう男子の小用で言えば縦長のトイレが設置されたり、ウォシュレットがついたものがあったりするんですけれども、特別支援学級が主に使っている――目の前にありますので――トイレはそういう状態で、ウォシュレットもない。洋式に変えていただいたらしいんですけれども、二つあって、一つは和式のまんまなんですね。  こういう施設について、校長先生に、これは大変ですねという話をさせていただいたんですけれども、校長先生は去年の夏来られて、ちょうど一年ちょっとなんですが、言っているんですけれどもねという話なんです。  この辺、いろんな施設、私はほかを見ていませんので、喫緊にやらなきゃいけないところは砧中学だけじゃないんだと言い切れない部分があるんですけれども、すごく大上段に振りかぶって言うと、何か人権問題的なことも僕は思っているんですよ。障害を抱えながら特別支援学級で一生懸命学んでいる方々にとって、トイレはやっぱりすごく重要なことだと思うんですけれども、こういう施設について、施設のご担当の方というのは、実際現場に行ってそれをごらんになっておられるのかというのがすごく疑問に思いましたが、その辺はいかがでございましょうか。 ◎伊東 施設課長 現場の実態を正確に把握し適切な対応を図っていくことが施設整備の基本であり、非常に重要なことと認識しております。現場を重要視し、現場にはできる限り足を運び、実情把握を心がけて、職務を遂行するよう心がけておりますが、そのような姿勢をさらに一層強く持ってまいりたいと思っております。  お尋ねの砧中学校の件でございますが、この夏に天井の部分、それから壁と床の塗装等、できる範囲での改修はさせていただいております。今後も現場の実情を把握しながら整備を進めさせていただきたいと思っております。 ◆重政はるゆき 委員 施設の全体の話の中で、一つ砧中学という例を出させていただいたんですけれども、これは砧中学に行っていますか。 ◎伊東 施設課長 砧中学校に関しましては、昨年、説明会を、一部改築の関係でございますけれども、そちらによりまして、区民の皆様から生に貴重なご意見等をいただいています。その中で、現場のほうも二回ほど確認しております。 ◆重政はるゆき 委員 現場をごらんになってどう思われましたか。 ◎伊東 施設課長 そちらの特別支援学級の前のトイレにつきましては、委員ご指摘のとおり、古くてちょっと暗い雰囲気のものでございましたので、そういったものを改善したいということで、できる限りの範囲での対応をさせていただいたところでございます。 ◆重政はるゆき 委員 去年の夏に行かれたんですよね。もう一年以上たっているわけです。トイレの便器の形もそうなんですが、トイレの中に洗濯機がある、とてもじゃないけれども、使う気になれませんよという話ですよ。そういうことを本当にわかっているのかなというふうに思います。  そうすると、砧中学だけの問題じゃないだろうなという気がするんです。砧中学以外にも喫緊の課題として、とにかくお金がかかることですから、それは、はいはい、そうですかと、すぐにできるとは思いませんけれども、ただ、そういったことを把握しながら優先順位をつけて、次々とやっていくということにぜひしていただきたいし、去年の夏ごらんになって、いまだにこういう状態でございますので、ほとんどやる気がないんだろうなというふうに思うしかありません。  これについては、委員長も聞いていただきましたけれども、要は本当にそういうことなんですよ。だから、教育委員も、委員長も含めて、学校の現場に行っていただいて、校長室で校長先生と話すだけじゃなくて、やっぱり施設も見ていただきたいし、現場の教師が何を考えているのかということも実際にお聞きになっていただきたいんですね。委員長も含めて教育委員の方は、委員長だけじゃなくて、ぜひそういうことでお願いしたいと思います。  あと二分ぐらいでございますが、砧中学に限らずですけれども、こういった施設の問題については、本当に言い過ぎかもしれませんが、人権問題というぐらいに僕は思いますので、早急にご対応をお願いしたいと思います。  それから、最後に、ちょっとだけ教育委員会事務局の体制についてお伺いしたいんですけれども、学校の現場でさまざまな先生、そんなに十人、二十人もお伺いしているわけじゃございませんが、教育委員会への報告が多くて大変だという声をよく聞きます。その中心となるのは、事務的には副校長、もちろん校長も関係あるわけでございますけれども、教育委員会にご報告がなされると思うんです。  報告が大変だということで、報告を求める案件は、教育委員会にどのぐらい出しているんでしょうと。そうすると、一時期ちょっと調査したことがあるということなんですが、現在は調査していない。教育総務課としてこれを求めますと、課単位で出すんですね。教育指導課が最も多いらしくて、最も困っているらしいんですけれども、教育指導課が報告を求めるということでばんばん出すらしいんですよ。皆さん方は、各課それぞれが出されるかもしれませんけれども、受けるのは学校一つですよね。いろんなところから同じようなことを聞いてくるということがあるんですけれども、その辺の体制というのはどうなっていますか。 ◎霜越 教育総務課長 お話しのような教育委員会から学校への調査報告依頼などによる事務負担が大きいという声は私どもも承知しており、その軽減が課題であると認識しております。  こういった状況を受けまして、今委員のほうからもお話がありましたけれども、区教育委員会では、各課から学校への調査の実態について、昨年一月から十二月までの一年間を対象に調べたところ、年間三百十三件の調査を行っている実態を把握いたしました。ちなみに、国や東京都関係の調査はそのうちの全体の約四〇%を占めているという状況でございます。  今後、調査結果の分析を行いまして、調査事項の精査、調査対象や調査頻度の工夫、ICTの活用等によって負担軽減していくことを検討しております。 ◆重政はるゆき 委員 報告というのは、これはもちろんきちんとやろうと思えば思うほど時間をとられるわけでございます。とられればとられるほど、子どもたち、児童生徒たちへの対応がおろそかになるのは、これは一日二十四時間しかございませんので、仕方がないんですね。ただ、必要な報告は、それはしようがないとは思いますけれども、特に教育指導課は本数を減らしていただきたいと思います。同じようなことを違う課で聞くというのは愚の骨頂でございますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  西村委員にかわります。 ◆西村じゅんや 委員 まず、校内のICT環境について、ハード、人的側面の両方から伺います。  片仮名表記が大変多くて、皆様混同されているとは思うんですけれども、今、庁内全体の基幹システム、電算システムのちょうど刷新の時期なので、この時期をおろそかにしてしまうと、不透明なメンテナンス経費を払ったりとか、我々の税金が無駄になってしまいますので、この決算特別委員会中は、皆様、多少我慢していただきまして、私はちょっと質問させていただきます。  区は、新たな学校施設整備の基本方針に掲げた環境や安心安全に配慮した計画的な学校施設の整備の一環として、区立小中学校の耐震補強工事を急ピッチで推進して、本年度でほぼ改修工事は終了ということなんですけれども、これは児童生徒の生命を守る観点から優先的に行わなければならないことは、だれも異論を挟まないと思います。  他方、他会派からも要望がありましたけれども、学習環境の充実を図るとの意味でも、教育の情報化、そのためには校内のICT環境の整備も喫緊の課題であります。また、そのICTの活用による校内事務の効率化は教員の業務時間圧縮に直結します。これにより生じた余剰時間を、授業の質の向上、また、児童生徒との触れ合いの時間に当てられるというメリットがあることも言っておかなければなりません。  教育ビジョンの校務のICT化の推進として、教員が利用するパソコンを、新たな教員一人一台体制のシステムとして再構築し、校務処理環境を改善するとともに、関連規定の整備、教員研修を行い、運用体制も改善するとともに、学校と地域・家庭が連携を深めて、地域とともに子どもを育てるとあります。  教育ビジョンの具体的な年次計画では、平成二十年度に校務用パソコン整備千九百五十台、校務の事務改善、地域教育情報基盤の整備、それにICT運用管理体制の強化の検討とあります。これらの施策を構成する予備事業としても、二十年度、校務用電算機システムの開発及び運用に約四億八千八百万円、それで教育用電算機システム開発及び運用が約二億八千万円、それぞれ執行率が九六%、九二%とあります。  何度も口を酸っぱくして言うんですけれども、システム導入時の適切な機材の選択がとても肝要でございまして、ICT管理のリスク要因の一つでもありますシステムのブラックボックス化による開発業者依存のメンテナンス経費積算の妥当性を判断できないとなっては困るわけです。今後のシステム開発に関しては、互換性と拡張性を見込める標準化がキーワードでありまして、オープンシステムの積極活用も主流になっていくと思われます。また、技術革新も大変早いもので、一つ一つのデバイスの価格の下落も早いもので、そこら辺の見切りとか、いわば構築力、そういったところも重要になります。  箱物である公共施設も時代はコンパクト化、また複合化に向かっていますけれども、これはシステム開発に関しても、ダウンサイジング、標準化の観点から全く同じ流れです。今はタイミング的にちょうど庁内の新基幹情報システムの導入時期であると、私、さきの一般質問でも触れましたけれども、本年一月より就学・就園の教育委員会システムが新しいシステムで本稼働しています。  そこで、まず伺いますけれども、ICTの運用管理体制については、二十年度は検討、そして二十一年度は導入、そして二十二年度は運用、それから運用充実とありますけれども、具体的な効率的なシステム導入についてどのように検討されて導入されたのか、そこをちょっと伺います。 ◎霜越 教育総務課長 ICTが社会的基盤としての重要度が高まる中、区教育委員会では、教育ビジョン及び教育の情報化推進計画に基づきまして、学校のICT環境の整備を進めているところでございます。お話しのように、教育システムの導入時には適切な選択を行うため、事業者と交渉する場合など、特別の知識やノウハウが必要となります。そのため、区教育委員会では、日常的に担当職員がみずからシステム導入に関する技術動向を情報収集するとともに、区長部局と連携協力いたしまして、必要な専門知識を入手しております。  システム導入に当たっては、その手順やノウハウを策定した区のガイドラインの考え方を利用するとともに、より専門性の高い案件につきましては、専門知識を兼ね備えているシステムインテグレーターの力をかりながら、より効率的な情報システムの導入を図っておるところでございます。 ◆西村じゅんや 委員 システムインテグレーターというお話でした。  次に、校内LANの整備についてちょっと伺うんですけれども、このままの計画でいけば、二十三年度には七十七校整備という予定なんですが、学校の中でいわゆる地域差というものはあってはいけないもので、平成十九年度が十四校、二十年度が三十二校増設という流れになっているんです。先月の日経新聞によりますと、文科省が三月時点に、公立小中高の学校の校内LAN整備状況が六四%だと。それで、二〇一〇年までに一〇〇%の達成率を目指していたが、難しい状況にあるという記事がありました。  本区においても、現状は整備率がお世辞にもいいとは言えません。先ほど申し上げたように、やっぱり多様な時期、多感な時期に、生徒児童が行く学校によって、ICTのスキルにもこれは差が出てくるものだと思います。  そこで、校内のLAN整備について基本的な考え方と今後の方向性を伺います。 ◎霜越 教育総務課長 すべての教室でインターネットや校内のデータベースなどを効果的に授業に活用するために、校内LANを整備することは重要であると認識しております。校内LANの整備に当たっては、まず、より高い効果が望める中学校を優先することとしております。また、小学校にあっては、全普通教室にプロジェクターなどICT機器を導入するICT活用教育センターのセンター校を優先的に整備してまいります。  現時点での整備状況でございますが、小学校九校、中学校七校の計十六校でございます。今後の整備につきましては、本年度末までに三十五校、平成二十三年度末までに七十七校を整備することとしておりますが、ご案内のように、今回の補正予算で平成二十二年度分の七校を前倒しして、今年度整備することとさせていただいています。この結果、今年度末には四十二校で校内LANの整備が完了する予定になっております。  今後、教育委員会といたしましては、国の動向や区の財政状況にもよりますが、教育ビジョン及び教育の情報化推進計画に基づきまして、可能な限り早期に全校への校内LANの整備を図ってまいりたいと考えております。 ◆西村じゅんや 委員 次に、人的な側面から伺うんですけれども、教育ビジョンに情報教育とICTを活用した授業の推進とありまして、教職員のICT指導力を向上させて、ICTのメリットを最大限に生かし、わかる授業、意欲を引き出す授業の一層の普及を図るとともに、ICT活用の際に課題となる情報社会のルールやマナー、セキュリティーの重要性、モラル教育、メディアリテラシーにもつながると思うんですが、そこを充実しますとあります。活用ノウハウとして、平成十八年度よりICTの活用授業研究員、いわゆるICTマイスター制度というのを実施していますけれども、平成十九年度の十五人から平成二十年度の四十三人に増員しております。  ところで、このICTマイスターというのが、そもそもいまいちイメージがつかみにくいんですけれども、まずその詳細と、そもそもの選定要件というのは何なんでしょうか。 ◎直田 教育指導課長 ICTを活用した教育活動の充実を進めていくことが大変重要なことであるというふうに考えております。  区教育委員会では、ICTを活用した授業を推進するリーダーといたしましてICTマイスターを指名しております。ICTマイスターの要件は、教職経験が五年以上であり、しかも、ICTを効果的に活用した授業を他の教員に広めようという意欲のある者の中から指名をしております。 ◆西村じゅんや 委員 つまり、そこの学校のICTに関しての責任者ということになると思うんですけれども、今のご答弁ですと、効果的に広める、五年以上の経験者といって、その要件のみだと、学校単位によって、責任者のスキルに差ができることは否めないと思います。  そこで、学校間のICTマイスターの意見交換の場所というのを設けるべきだと思いますし、また、ICTのトラブルの窓口として、これまで情報教育の主任から情報化推進リーダー、先ほどのICTマイスターも含めてこの情報化推進リーダーを、校長先生が二人以上指名して、校内の教育情報化を一層推進とあるんですけれども、ICTマイスター制度とこの情報化推進リーダーの制度の違いと今の進捗状況をちょっとお聞かせいただければと思います。 ◎直田 教育指導課長 進捗状況でございますが、ICTマイスターは年々ふやしてきておりまして、現在、ICTマイスターは区内七十四名、ICT活用教育センター校などが全部で五十三校となっております。そしてまた、校内における教育の情報化を推進するために各校二名以上、教育の情報化リーダーを指名しているところでございます。  それから、先ほどの校内だけでなくてというあたり、委員からお話がございましたが、ICTマイスターが集まって、私どものほうで主催をした研修会も開催しております。ICTを効果的に活用した授業の普及を図るために、ICTマイスター研修を実施しておりまして、例えば教員がパソコンとプロジェクターを活用して、理科の実験結果の数値をパソコンに入力して、それをグラフに映し出したり、あるいは実物投影機を活用して、子どもが自分のノートを映し出して発表したりするなど、授業におけるICTの効果的な活用について研修をしているところでございます。  さらに、ICTマイスターは、研修したことを生かしながら、自分の学校においてICTを活用した授業を広げるとともに、近隣の学校の教員に対してもICTを活用した授業を公開したり、活用事例を紹介したりするなどの取り組みも行っております。 ◆西村じゅんや 委員 いろいろと普及と啓発をされているというご答弁だったんですけれども、何度も言うんですが、このICTに関して言えば、結構属人的な戦略に頼らざるを得ないというのが構造的な欠陥といいますか、しようがないことだと思います。  なぜこの文教所管でこういう質問をさせていただくかというと、子どもの教育に関して、子どもというのは真っ白なキャンパスみたいなもので、乾いたスポンジに水を吸い込むような感受性豊かな時期に機会損失は何が何でも避けなければならないということで、そういう意味では、やっぱり学校側がいろいろと整備する必要性があるのではないかということだったんです。  そこで、またお聞きするんですけれども、そのICTマイスターだけでなく、先日も申し上げたんですが、いわゆる構築力ですね。いろいろと単純なICTスキルじゃなくて、業者さんとの折衝とか、システムの全体の構築力、その他のいろんな総合力を含めた職員全体のICTの能力開発が必要だと思いますけれども、今の研修体制というのはどうなっているんですか。 ◎直田 教育指導課長 先ほどの答弁と重なる部分もございますが、ICTマイスターがICTマイスター研修で学んできた内容、そういったものを、自分の学校に戻りまして各教員に伝えながら、あるいは研修したことを生かしながら、自分の学校で実践を広げる、授業を広げていくということを通しまして、多くの教員がICTを活用した授業が行えるようにすることが大切であるというふうに考えております。  私ども区教育委員会といたしましても、ICTマイスター制度をさらに充実発展させて、各学校で多くの教員がICTを活用した、わかる授業、意欲を引き出す授業、これができるように目指す取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。 ◆西村じゅんや 委員 これは結構想像できることだと思うんですけれども、下手をすれば、先生よりも児童とか生徒のほうがパソコンが得意だったりとかするような場合もあると思いますので、職員のいわゆる悉皆研修というんですか、それとまた能力に応じた職能研修というのを段階的に推進していただければと思います。  知識創造の時代というのは、言うまでもないんですけれども、ICTスキルの差異は如実にその学力の差に出てくると思うんですね。未来に羽ばたく世田谷っ子たちのために、大人たちの環境に左右されない制度、基盤整備の確立が必要だと思いますので、努力していただければと思います。  一風変わったところで、今、さまざまな学習教材が授業の補助として使われているんです。今、携帯のゲーム機、某N社のニンテンドーDSという機械があるんですけれども、これが関西のほうでは、教育委員会主導でかなり授業に導入されているという事例があって、大阪府の教育委員会だと国語と算数の時間に使われたりとかして、また、京都府の八幡市が英語の授業に実験で導入したところ、中三の授業なんですけれども、わずか五カ月で英語の語彙力が何と平均四割アップしたという結果が出て、即座に導入という事例があるんです。  そういうことを踏まえて、いろいろと時代に応じた授業のあり方等もあると思うんですけれども、そこら辺、世田谷区の見解を伺わせていただければと思います。 ◎直田 教育指導課長 ほかの自治体におきまして携帯用ゲーム機を学習に利用している例があるということは認識をしております。今委員ご提案の携帯用ゲーム機の学習への活用やその効果につきましては、今後研究してまいりたいというふうに考えております。 ◆西村じゅんや 委員 今までそのICTの便利な側面だけを取り上げてきたんですけれども、もちろん負の側面というものもありまして、子どもたちは常に学校裏サイトを初め、自己紹介サイト、出会い系サイトなど、あらゆる子どもの安全を脅かす環境にさらされている。  一方、現実の世界では、池田小の事件があって以来、全国で子どもたちの警備体制は整っておりまして、本区も区立の小中学校の通学路の警備はもとより、「こどもを守ろう一一〇番」の運動支援など、さまざまな支援制度はあるんですけれども、電脳世界では今野ざらしというか、これから子どもたちをどのように守っていくのかということがあります。  本区も昨年八月、世田谷区立学校非公式サイト等対策検討委員会を立ち上げて、問題の具体的な検討をやっていると思うんですが、前回の予算特別委員会でも、我が会派の藤井委員が裏サイトとかそういうネットのいじめが何件あるのという質問に対して、区は区内十件と。該当しないケースも多々あると見受けられるというご答弁だったんですけれども、現時点での裏サイトの現状と対策検討委員会の対応状況というのはどうなっているんでしょうか。 ◎直田 教育指導課長 情報ネットワークの急速な進展に伴いまして、児童生徒がインターネット等を介して事件やトラブルに巻き込まれるケース等が報道されております。パソコンや携帯電話でのインターネット利用に関する問題を未然に防止していくことは非常に大切なことであるというふうに認識をしております。  区教育委員会では、平成二十年八月に学識経験者や学校関係者、事業者等による世田谷区立学校非公式サイト等対策検討委員会を立ち上げ、学校非公式サイトによる問題の未然防止策及び対応策などについて、区立中学校の生徒や教員へのアンケート調査を行いながら、現在検討を進めているところでございます。また、現在、検討委員会の検討資料とするために、過去三カ月間の区立中学校の学校非公式サイトの現状について調査を実施しているところでございます。  区教育委員会といたしましては、アンケート等の調査結果やサイトの検索調査等を踏まえまして、情報モラルの教育の充実、保護者への啓発等を進めるとともに、学校非公式サイトの監視も含めまして、今後の対応策について検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆西村じゅんや 委員 調査段階ということなんですけれども、現に他自治体、江東区は予算をつけているというのはもう周知の事実だと思いますし、宮崎県ではネットいじめ対策推進事業を開始しておりまして、いじめに対する通報窓口の目安箱サイトというのを開設しております。ほかにも、茅ヶ崎では緊急雇用対策としてネットのパトロール、いわゆるサイバーパトロールとして推進員を雇用するという報道もありました。  そういった雇用対策というのもあると思うんですけれども、区の見解をお聞かせください。 ◎直田 教育指導課長 さまざまな方策が考えられると思いますので、それもあわせて、学校非公式サイトの検討委員会の中で検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆西村じゅんや 委員 稲垣委員にかわります。 ◆稲垣まさよし 委員 民主党の最後の質問者になりますので、よろしくお願いいたします。  まず最初に、学校の建てかえについて何点か質問させていただきたいと思います。  まず、新たな学校施設整備基本方針を平成十八年三月に作成したわけですけれども、この間に、駒沢小学校などでは区民集会所と合築を行うなど、さまざまな手法を用いた公共施設の整備に当たってきたわけですが、今後、毎年二校ずつ学校を建てかえていく中で、やはりいろいろ老朽化した地域の公共施設というのが幾つも出てきているわけです。  そういった中で、かねてから地域に根差した学校ということを教育委員会は言っておりますが、この地域に根差していく中で必要である公共施設というのを一緒に整備ができる方向を考えていくべきだと考えますけれども、その辺について、今後、区のほうで公共施設と学校建てかえに当たっての考え方があれば、ご答弁いただければと思います。 ◎伊東 施設課長 区教育委員会では、先ほどもお話しいただきました新たな学校施設整備基本方針を平成十八年三月に策定し、毎年二校ずつ学校改築を行う計画としております。この方針は、公共施設の合築、複合化への対応として、学校改築に当たっては、児童生徒の安全対策などに配慮し、学校や地域の実情に応じて検討することとなっております。  現在改築中の芦花小学校、中学校では八幡山保育園と合築を行っているほか、昨年、お話にもございました駒沢小学校では区民集会所と合築を行っております。また、在宅サービスセンター、デイホームなどとの合築や改修などによりまして保育園などを学校敷地に整備した例が、これまでにも小学校、中学校を合わせて八校ございます。  一方、学校施設の有効活用としまして、校庭、体育館、格技室、教室及び中学校のプールなどの地域への開放を行い、区民の健康増進、文化学習の場として利用されるとともに、災害時には地域の防災拠点施設としての機能を担うなど、区立学校は地域コミュニティーの拠点として多様な役割を果たしております。  今後とも学校改築に際しましては、区の公共施設整備方針を踏まえ策定した新たな学校施設整備基本方針に基づき、地域のニーズに合わせた合築、複合化や、学校施設の有効利用を検討してまいります。 ◆稲垣まさよし 委員 整備基本方針の中でいろいろ書かれているんですけれども、やはりそういった区民集会所と合築というのは難しいというふうに私は見ているんですね。なかなかふえないなという考え方を持っているんですけれども、その辺のネックになっているものは何なのかということを教えていただければと思います。 ◎伊東 施設課長 合築におきましては、新たな学校施設整備基本方針にもありますとおり、合築、複合化への対応ということに関しては今後取り組んでまいりたいと思っております。  なかなか進まない理由ということでございますけれども、地域特性、地域のニーズ等、その辺に関しましては、区の企画部門ともいろいろ調整をしながら、今後導入を図ってまいりたいと考えております。 ◆稲垣まさよし 委員 ぜひ企画のほうとももう少し話を詰めて、できれば地域に開放ができるような施設がもっと多くできるようなことを願うわけです。  また、その中で、今保育園の待機児童数の解消ということで、学校の余裕教室を活用した保育園の分園であったり、または今後、今回も補正予算などで予算が計上されておりますけれども、上祖師谷中学校や八幡中学、そういったところに保育サービス待機児解消の一環として、学校の施設というか、土地の有効活用ということが挙げられているわけです。  ただ、昨年ぐらいですか、学校施設をいろいろ整備というか、全部チェックをしながら、保育園の待機児童の解消に取り組む姿勢を見せてきたなというふうに思うんですが、まだまだ学校、世田谷の場合は小学校、中学校を合わせますと九十五校ありますので、その辺を含めて、今後どのような形で保育園の待機児童数解消に取り組むか、教育委員会として学校をどういうふうに有効的に活用していくかという取り組みをお聞かせいただければと思います。 ◎水野 学校適正配置担当課長 区立学校の教室等を活用した保育園分園の設置ということでございますが、これにつきましては、平成十一年六月に駒留中学校の校舎の一階部分におともだち保育園分園こまどめを開設したことが、これは社会福祉法人による運営でございますが、当時、全国初の取り組みでございました。その後、砧南中学校、瀬田中学校、深沢小学校でも学校敷地の一部を転用するなどして、保育園の分園、または認証保育所、そういったものを整備してきたところでございます。  また、保育サービス待機児解消の一環といたしまして、今お話にございました上祖師谷中学校、八幡中学校、さらに駒留中学校、これは拡大でございます。さらに桜丘中学校において学校敷地の一部、または教室の活用による保育園分園の整備が今進められているところでございます。 ◆稲垣まさよし 委員 今後出てくるのは、中学校などの統廃合ということも考えていかなければならない時期に来ていると思うんですね。また、今世田谷区にとって本当に必要なのは、保育園の待機児童数の解消というのは区全庁挙げて行わなければならないと考えます。  こういったことを含めながら、例えば用賀出張所が今度新しくなりますけれども、保育園を併設して、区民利用スペースもとったりとか、いろんな取り組みをしているわけですね。やはりこういったことも含めて、教育委員会の中でいろんなハードルがあると思うんですけれども、保育園の待機児童数解消に当たる中で、学校の土地を有効活用できる部分で一番ネックになるなと思われるのは何なんでしょうか。 ◎水野 学校適正配置担当課長 学校施設における保育園分園の設置につきましては、例えば安心して登園できる出入り口があることですとか、安全な保育活動のために十分なスペースを確保できるといったことが求められます。また、こうした設置上の制約とあわせまして、それぞれの学校の特色ある教育活動や防災拠点としての学校施設の役割、こういったものを考慮して検討を進めているところでございます。  駒留中学校など既に保育施設が整備されている四校では、こうしたことを踏まえまして、教室あるいは学校敷地の一部を活用して設置されたものでございます。このたびの上祖師谷中学校、八幡中学校、桜丘中学校における学校敷地の活用や、駒留中学校の分園の拡充に当たりましても、学校運営上支障を生じないことや、保育園の設置による生徒の保育体験、また、子どもたちの交流を通した教育上の効果が期待される、こういったことも含めまして、学校の理解のもと進められているところでございます。 ◆稲垣まさよし 委員 さらなる期待をするわけです。
     次に、新BOPのスペースの問題について質問させていただきます。  やはり大規模校になっていきますと、新BOPの登録、または学童保育、いろんな課題があるわけですけれども、特に子どもたちが学校の施設の中で遊び回るというか、遊ぶのが当たり前のことですから、安全なスペースの確保が必要になります。今、学校の建てかえの話をさせていただきましたけれども、新しく建てかえるところにはそれなりのスペースが確保できるような取り組みをしていただきたいと思いますし、今現在増改築を行っている学校、または今後整備予定がない学校、こういったところで新BOPのスペースの確保について、区としてはどのような考えを持っているのかお聞かせください。 ◎松下 生涯学習・地域・学校連携課長 委員からお話しいただきましたように、やはり新BOPの活動の中で安全面の配慮というのは非常に重要なことであると考えております。現在の新BOPの活動の場所としましては、普通教室二つ教室分程度の専用スペースに加えまして、学校と調整をした上で、校庭ですとか体育館などを使用しております。さらに参加児童の多い新BOP、また、雨天、雨の日など、校庭などで遊びにくいようなときの対応といたしまして、学校の状況ですとか、また、新BOPの活動に応じて、図書室、ランチルーム、多目的室といったような諸室も使用するなどの柔軟な施設運用を、学校と調整しながら行っているところでございます。  今、委員から改築、また改修、また、それ以外のケースもというふうなところのお話がございましたけれども、やはり新BOPの現場の状況、また、新BOPごとの必要性、こういった部分を把握いたしまして、学校と調整をしながら、例えば共用スペースとして使える場所ですとか、その使用日数をふやすなどの施設の弾力的な運用を図るということで、安全面に配慮をいたしまして、新BOPに参加する子どもたちが実質的に活動できる、そういう場の拡大を図ってまいりたい、このように考えております。 ◆稲垣まさよし 委員 特に晴れているときはグラウンドなどをうまく活用しながらということがあるんですけれども、雨が降った場合ですよね。雨が降ったから、じゃ、きょうは新BOPへ行くのをやめようというのもなかなかないと思うんですよ。だから、こういったところで、今課長から答弁がありましたけれども、いろいろな形で柔軟な施設運用を図っているということですが、今後課題になってくるのは、学校を二校ずつ建てかえていく中で、今後の需要といいますか、子どもたちがどういうふうな形で新BOPをさらに利用できるような取り組みにしていくとか、日数制限とかじゃなくて、そういったことを含めて考えなきゃいけないと思うんです。  そういった柔軟的な学校の施設のあり方というのをもう少し考えなきゃいけないと思うんですが、その辺は、教育委員会としてどのような形で政策経営部と話し合いながら、もう少しスペースの確保ということを検討されているのかお聞かせください。 ◎松下 生涯学習・地域・学校連携課長 学校の整備計画などが示されます各段階ごとに、構想段階、計画段階、また設計もだんだん詰まっていくという各段階ごとに、新BOPの現場の状況などについても、私どもの所管のほうで取りまとめをしまして、学校の整備計画全体の中に可能な限りの反映を図っていく。また、学校施設全体としての整備計画の検討状況についても、逐次、新BOPサイドの方にも情報として伝えていくというような形で、緊密に連携を図りながら進めてまいりたいと考えております。 ◆稲垣まさよし 委員 ぜひ取り組んでいただきたいということを要望させていただきます。  次の質問に入りますが、平成二十三年度から完全実施される小学校の新学習指導要領では、六年生の社会科の地方公共団体や国の政治の働きの学習において、社会保障についても学校が選択して取り上げることができるということになっております。また、平成二十四年度から、中学校のほうでも同じように新学習指導要領が変わることになっているんですけれども、小学校、中学生に税の問題や年金の問題、こういったことをしっかりと教育していかなければならないというふうに思います。  今、小学校などでもいろんな形で租税教育など、税務署をうまく活用しながら行っているのは私も把握しているんですけれども、全校的にやっているわけではないんですが、こういったことを含めてある程度統一した形で、租税教育であったりとか、年金、社会保障について、小学生のうちから学ばせる機会というのが必要だと思うんですが、その辺について、今後どういうふうな取り組みをしていくのかお聞かせください。 ◎直田 教育指導課長 これからの社会を支えていく子どもたちが、年金などの社会保障制度や、租税の意義や役割、納税の義務について学んでいくことは大変重要なことであるというふうに認識しています。  現在、小学校では六年生の社会科の学習におきまして、身近な公共施設の建設や地域の開発などを通して、政治の働きと税金の使われ方について学習をしています。また、中学校の社会科の公民的分野におきましても、国民生活と福祉の向上を図るために、国や地方公共団体が果たしている役割について学ぶ機会が設定されておりまして、その際、社会保障の充実や租税の役割などについても学習をしているところでございます。  こういった学習を充実させるために、私ども教育委員会や関係各課、法人会、小中学校校長の代表などを構成員といたしました世田谷地区租税教育推進協議会を組織して、学校に働きかけているところでございます。税の専門家や税務署の方を招いた租税教室を実施したりして、今後も充実させていきたいというふうに考えております。 ◆稲垣まさよし 委員 税の教育というのは本当に大事なことだと思っております。  もう一つ考えなければならないのが、かねてから我々も質問させていただいているわけですけれども、社会保険労務士などを有効的に活用して、社会保障のあり方ということも必要ではないのかなと思いますけれども、そういった分野においても今後検討していただきたいなと思いますが、どのようにお考えか、お聞かせください。 ◎直田 教育指導課長 先ほどと重なる部分もございますが、子どもたちが社会保障や租税の働きについてより理解を深めていくためには、税務署の方や地域の人材などを活用するなど、指導方法の工夫を進めていくことも非常に有効なことであるというふうに考えております。  区教育委員会といたしましては、子どもが社会生活についての理解を深め、社会の一員として必要な資質を養うことができますよう、区立学校の教育活動の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。 ◆稲垣まさよし 委員 ぜひバランスよくという言い方はあれかもしれませんけれども、各校でいろんな形で社会分野において子どもたちが学んで、今後役に立つような教育をさらに推進していただきたいということを要望させていただきまして、次の質問に入ります。  区立幼稚園の今後のあり方検討について質問させていただきますが、今定例会の福祉保健委員会と文教委員会で、区立幼稚園のあり方について今後検討していくという報告がありました。このような形で今後、例えば幼児教育のあり方、または保育料の公私間格差、区立幼稚園にこれから預けたいなと思っている区民のニーズ、こういったことを含めて、または保育園の待機児童数の解消、いろんな観点から慎重に議論をして、早いうちに今後の検討のあり方を出さなきゃいけないというふうに思うんです。  今後、今子育てをしている保護者のニーズというのは重要になってくると思いますし、どうやって地域や区民の意見を聞いていくのか、この役割もしっかり果たさなきゃいけないと思うんですが、区教育委員会では、今後どのような形で行っていくのかお聞かせください。 ◎若林 教育次長 区立幼稚園のあり方の検討を、区教育委員会では区長部局と連携し検討を始めたところでございます。こういう中では、委員からお話しがありましたように、現在の子育てにかかわるさまざまな制度、仕組みがある中で、真に保護者のニーズにこたえて、将来のありようということをどうするのか、そういう観点で検討を進めるべきだと思っております。  そういう中では、現在の幼稚園の利用者の方々だけでなく、幅広い区民の皆様、さらには、これから子育てに向かう、そういう方々も含めたニーズの把握ということが非常に重要だと思います。ただ、この辺はできるところから取り組んでいって、今、幼児教育というご指摘もございましたけれども、さらにそのような大きな課題も含めて検討させていただきたいと考えております。 ◆稲垣まさよし 委員 今年度中にある程度まとめ上げていくというふうにお聞きしているんですが、余り時間がありませんよね。そうすると、対象者や手法とかいろんな検討をしていかなきゃならない課題がありますけれども、今年度中にある程度まとめ上げることができるのかどうか、そこだけ一点お聞かせください。 ◎若林 教育次長 これまでも目標として今年度中に一定の成案をお見せしたいということを申し上げておりますので、こういう目標は変わりがないと考えております。それに当たりましては、委員からもご指摘をいただいた、さまざまな区民の皆様方からのご意見を、こういう時期だからこそいただいていく、これが重要だと思います。  そういう意味では、繰り返しになって恐縮ですけれども、現時点で詳細を申し上げられなくて恐縮ですが、問題意識としては、こういう区民の中で起きている子育ての課題、きちんと把握をしていきたいと考えておりますので、また適宜ご報告をさせていただきたいと存じます。 ◆稲垣まさよし 委員 ぜひなるべく早く、しっかりと区民の意見を聞いた上で取り組んでいただきたいということを要望させていただきます。  最後になりますけれども、せっかくきょうは教育委員会の委員長さんがこちらのほうに来ていただいておりますので、一点だけ、私のほうから質問させていただきたいなというふうに思います。  先ほど重政委員から世田谷の教育改革について何が必要なのかというような質問がありましたけれども、私自身も自分の子どもが区立の小学校に通っている父兄の立場ということもありますが、今必要なのは、教育委員会の改革というのは本当に重要だと思いますし、透明性を確保していかなければならないと思います。  その中で、教育委員会の委員長さんの強いリーダーシップというのも教育には欠かせないと思うんですけれども、その辺を含めて、今後の教育行政に携わる教育委員会の委員長として、世田谷区の教育をどのようにしていきたいのかということを、ぜひこの場で発言していただければと思います。 ◎佐俣 教育委員会委員長 私は教育委員をお引き受けしたときから、私は基本的には世田谷区の子どもたちのために仕事をしていくんだということを強く思っております。常に子どもたちのためにを基本としております。そういう意味では、事務局も、学校も、教育委員会も、すべての基本はどの仕事も子どもたちのためにあるが基本だと思っております。そういう意味で、リーダーシップというのはなかなか難しいですけれども、それから外れたときが一番怖いと思っておりますが、今のところ、どなたも真剣に、子どもたちのために取り組んでくれていると思っております。 ◆稲垣まさよし 委員 どうもありがとうございます。  以上で民主党の質問を終わります。 ○大場やすのぶ 委員長 以上で民主党の質疑は終わりました。  ここでしばらく休憩いたします。     午後四時二十三分休憩    ――――――――――――――――――     午後四時四十分開議 ○大場やすのぶ 委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  日本共産党、どうぞ。 ◆中里光夫 委員 それでは、日本共産党の質問を始めます。  きょうは、まず最初に、子どもの貧困の問題について質問したいと思います。  今、子どもの貧困の問題が社会問題として大変注目されるようになってきました。昨日もNHKの教育テレビで「義務教育が危ない」というタイトルの番組を放送していました。最近、こういった特集がいろんなメディアも含めてふえて、そして、さまざまな事例、いろんな事例が紹介をされています。  例えば母子家庭のお母さんはダブルワークやトリプルワークで必死に働いて子育てをしている。子どもが寝ているうちに出勤して、そして夜遅くに帰ってくる。だから、子どもの管理ができなくて、子どもは朝食を食べなかったり、下手をすると夕食も食べないような、こういう事態もある。  また、子どもが熱を出しても、お母さんは仕事を休めません。熱があっても子どもを学校に登校させる。熱が上がってきて、先生がお母さんに連絡しようというふうに声をかけると、お母さんが休めないのをその子どもが知っていて、電話をしないでくれと先生に頼む、こういうお話もあるそうです。  子どもたちが一番つらいとき、一番大変なときに、親がそばにいない、本当につらいことだと思います。貧困の中で、親に心配をかけないように我慢をする。何かあっても自分が悪いんだと、自己責任、こういう考え方が非常に広がってきている。こういう中で、子どもたちは自己肯定感が育ちにくくなっている、こんなふうにも言われています。  昨日の番組の中でこんな話をしていました。義務教育は無償だというふうに思われている。確かに授業料や教科書代は無料だけれども、実際には給食費であるとか、学用品だとか、修学旅行だとか、たくさんお金がかかる。小学校でも年間約十万円、中学校だと年間約十七万円の費用がかかる。これは文部科学省のデータを使って番組が集計したようですけれども、そんなお話をしていました。  さらに就学援助も縮小される。その中で援助を受けられなかったり、受けても不十分だ、そういう家庭もふえている。こういった内容に、番組に出演していた方々もみんな一様に驚いて、こんな現実があるのかというような感じでした。  私、この番組を見ていて印象に残ったのが、三千円のお習字のセット、これが買ってあげられなくて、待ってくれと、これが非常につらかったんだというふうに言って、お母さんが涙ながらにインタビューに答えていました。こういった姿は非常に印象的でした。  こういった子どもの貧困の問題、これはどこかよその話というわけじゃなくて、世田谷にもある現実の話です。以前の質問で取り上げましたけれども、私のところに、国保料が払えないで困っているんだ、こんな相談もありました。その方は母子家庭で、中学生のお子さんがいる。二つのパートをかけ持ちして朝から晩まで働いて、年収は二百五十万円ほど。住民税や国保料を払うと、自由になるお金は生活保護以下になってしまう。まさにテレビの中に出てきた、一日中働きづめで、そして子どもたちにきちんと世話ができない、そういう苦労を負っている方でありました。日々の暮らしは本当にぎりぎりで、ちょっとでも仕事を休めば収入は減るし、また、仕事をやめさせられる、そんな不安もあるんだということをおっしゃっていました。  こういう中で、例えば学校で学用品だとか、ドリルだとか、宿題だとか、こういうものに結構お金がかかる。それから、中学校に入学したときは、制服などいろいろそろえるのに就学援助のお金では足りなかった、本当に苦労した、そんなお話もしていました。  そこで、まず質問しますけれども、教育委員会として、子どもの貧困の問題、特に世田谷での実態や現状についてどんなふうな認識なのかお答えください。 ◎阿竹 学務課長 公立の小中学校の基本的責務は、多様な社会状況の中、さまざまな家庭環境のもとで育つすべての児童生徒に対し、心身の発達に応じて一人一人の個性を伸ばし、資質、能力をはぐくむことにあると認識しております。  こうした観点に立ちまして、区教育委員会では、経済的理由で児童生徒の就学が困難な世帯に対しまして給食費や学用品費等を支援しております。 ◆中里光夫 委員 この間、自民党政権のもとで貧困と格差が広がってきた、これは皆さん実感しているんじゃないかと思います。不安定な非正規雇用が随分ふえてきて、働き方が派遣であるとか、アルバイトであるとか、こういう働き方がふえてきている。この中で、昨年来、派遣切りの問題であるとか、また、雇用不安、こういう問題が起こっています。  厚生労働白書を見てみたんですが、今、非正規社員を選んだ人の理由というのが、正社員として働ける会社がなかった、やむなく非正規を選んでいる、こういう人がふえているんだというのがこの厚生労働白書にもあらわれていました。この白書によれば、一九九九年の時点では、そういう理由で非正規を選んだという人は一四%だったのが、二〇〇三年には二五・八%、四人に一人、これはさらに現時点では大きくふえてきているというふうに思います。製造業まで派遣を認めた規制緩和、こうした政治のやり方がこういう実態をつくってきているのではないでしょうか。  それから、八月の失業率、これも大変最悪の状態です。男性で五・八%、女性で五・〇%、七月よりも〇・二ポイント回復しているということですが、最悪の状態が続いています。  それから、有効求人倍率が〇・四二倍、これは過去最低記録を更新し続けている、先月と同じですが、過去最悪の事態を推移していると。雇用の環境は本当に最悪な中、こういう中でこの貧困の問題というのが生まれてきていると思います。  さらに、それに追い打ちをかけるようにこの間の悪政で、例えば定率減税が廃止されただとか、年金課税が強化されたとか、住民税が税率アップされた、こういう増税がされてきたり、医療費の窓口負担、サラリーマン本人も三割負担になりましたし、介護保険料などの社会保険料、こういった負担もどんどん上がってきた。景気や雇用の悪化とともに、こういった増税や社会保障の負担増が、国民の暮らしを本当に苦しめている。  この中で、OECDが調査の結果を発表しました。このOECDによりますと相対的貧困と言うそうですけれども、平均的所得の五〇%以下がどのぐらいの割合があるか、これを貧困率として出しております。日本は一四・九%、アメリカやメキシコに次いで四番目に貧困率が高いという状況にあるそうであります。  子どもの貧困率の場合は、日本の場合、その所得だけを考慮に入れて計算した場合と、それから、税や社会保障の所得再配分機能を考慮に入れて計算し直す。通常、こういうことをやると、働いている方は貧困率が下がるんですけれども、日本の場合は、こういった所得再配分を考慮に入れて計算し直すと、OECDの中で唯一貧困率が悪化する、ますます貧困率がふえてしまう、税や社会保険料の負担が貧困を広げている、こういう状況になっています。  先ほど私のところへ相談に来たという母子家庭の方でも、働かなければ生活ができないけれども、頑張って働けば働くほどますます苦しくなる。児童扶養手当は収入が上がれば減っていく。税金や国保の保険料も収入が上がればふえていく。働いても働いてもますます苦しくなる、こんなのはおかしいじゃないか、こういうことをおっしゃっていました。  また、教育の分野はどうなのかということで言いますと、自民党の悪政のツケといいますか、ひどい状況になっています。OECDが「図表で見る教育」二〇〇九というのを発表しています。これを見てみますと、これまでの政権が本当にひどかったというふうに思うんですけれども、日本は公の財政教育支出が低いというふうにこの中で言われています。GDP比でOECDの平均は、公が出す教育費支出四・九%、日本は三・三%、ここにデータのある二十八カ国中最下位だと。これはGDP比だけじゃなくて、一般政府総支出比でもデータのある二十七カ国中最下位、日本の政府は教育費を出していないということなんです。  それから、日本は私費負担、個人が出す負担、特に家計の負担が大きいという特徴も示されています。教育支出の私費負担の割合は、OECD平均で一五・三%、日本は三三・三%です。平均の倍あります。加盟国中二番目に高いという数字だそうです。  それから、教育環境についても、日本は学級規模が大きいというふうに指摘されています。初等教育の一クラスの人数は、OECD平均が二十一・四人、日本は二十八・二人、韓国やチリに次ぐ水準だというふうになっています。このOECDのデータのある二十九カ国中十五カ国は二十人以下、二十五人を上回るのは五カ国だけだそうであります。  それから、前期中等教育、日本で言えば中学校に当たると思いますけれども、一クラスの人数は、OECD平均が二十三・九人、日本は三十三・二人、これも三十人を上回るのは三カ国だけだという話であります。これまでの政権がいかに教育を軽んじてきたのかというのが、こういう数字にもう明確にあらわれているというふうに思います。  この間、大学の授業料が値上げされるだとか、奨学金は利子つきのものが中心にどんどん改悪されてきただとか、それから就学援助も、先ほどのテレビ番組の中でも言っていましたけれども、国庫負担、国庫補助が一般財源化されて、そして財政力のない地方ではどんどん縮小が続いてきているというふうにテレビでは報道しています。また、国として三十人学級を行わない、こういうことが、学級クラス規模が世界の中で大きいというふうになっている。教育の負担、経済的な負担や教育の内容の負担を本当に国民に押しつけてきているというふうに思います。  国際比較の中で、今こういうデータがOECDなどから示されていますけれども、この現状について、教育委員会としてはどのように考えますか。 ◎阿竹 学務課長 ただいまのご質問は、本年九月に公表されましたOECDのデータ、「図表で見る教育」の値というふうに思います。このデータにつきましては、私どもとしてはこういったデータが出ているということは承知をしております。 ◆中里光夫 委員 知っているのはいいんですけれども、これを見て、教育委員会としてどのように受けとめているのか、そこをぜひお答えいただきたいんですけれども。 ◎阿竹 学務課長 こういった状況があることは承知しております。区教育委員会におきましては、経済的な理由で就学が困難な児童生徒に対しまして、就学援助制度に基づき給食費ですとか学用品費を支給している、こういうことでございます。 ◆中里光夫 委員 就学援助など国が決めて全国で行われている制度を世田谷でもやっている。確かに対策はやっているんですが、やはりこういう国際比較であるとか、子どもの貧困の現状を見れば、まだまだ足りない、もっと救っていかなきゃいけない、そういう現状があるというふうに私は思うんですけれども、教育委員会はそんなふうには思わないんですか。 ◎阿竹 学務課長 就学援助につきましては、国の基準ですとか、それから支給費目ですとか、そういったものにつきましては、国の基準ですとか都の財調の関係がございまして、そういった中で、国の状況等も見ながら、現行の水準を当面維持していきたいなと思っております。 ◆中里光夫 委員 前の古い政権が教育に本当に力を入れず、こういう世界の中でもおくれた状況をつくってきたというふうに思うんです。その中で、国が言うんだからこの範囲だというのが、これまでのというか、現在の世田谷区の姿勢なんじゃないかと、今の答弁を聞いて思います。  長妻厚生労働大臣が一般世帯と子どもの貧困率を調査して公表するというふうに報道されています。これは私たち大いに歓迎しているんです。そもそも自民党政権のもとでは、これまで貧困の実態調査がされてこなかった。(「自民党と公明党政権じゃないのか」と呼ぶ者あり)自公政権ですか。自公政権ですね、失礼しました。自公政権のもとで貧困の実態調査がこれまでされてこなかった。生活保護を必要とする困窮世帯の数すら調査してこなかった。日本共産党は、こうした問題を取り上げて、実態調査を行うべきだ、このことを繰り返し求めてきたところであります。  さらに、生活保護の補足率、実際に生活保護の対象になる所得、生活水準の方が実際に生活保護を受けているかどうか。ヨーロッパでは七割から九割補足していると言われていますけれども、日本の場合、複数の研究者の調査によりますと大体一、二割程度だというふうに言われています。  政治のこういう実態を、新しい民主党政権はきちんと調査して、これを明らかにしてその対策を進めていく、このことが求められているというふうに思います。私、まず貧困率の調査をやるということを公表されたのは、政治の変化というのを実感する出来事の一つだなと思いますし、貧困対策の第一歩というふうにも考えます。  民主党の政策にいろいろ掲げています。労働者派遣法の抜本改正であるとか、生活保護の母子加算の復活、後期高齢者医療制度の廃止、高校授業料の無償化、給付型奨学金の創設、父子家庭にも児童扶養手当を支給する、こういった政策は、日本共産党も提案してきた内容です。日本共産党は建設的野党ということで、こういった積極的な政策は大いに進めるべきだ、速やかに実行すべきだという姿勢で臨んでいます。  しかしながら、例えば生活保護の母子加算の復活の問題、民主党政権、当初十月に実施すると息巻いていましたけれども、これが何か雲行きが怪しくなって、年内云々というふうに姿勢が後退しているということが危惧されます。私たちはこうした問題を速やかに実行させるために、これからも建設的野党として頑張っていきたいと思います。  これは国政ばかりじゃなくて区政でも、私たちは子どもの貧困問題などを繰り返し取り上げ、取り組んできました。この間、住民税の減税であるとか、子どもの医療費の無料化の問題、奨学金を拡充せよとか、就学援助の拡充など、さまざまな課題に取り組んできました。そして、きょうは文教分野の質問ですので、ここでやるべきことは就学援助の問題というふうに思います。  この就学援助の問題ですが、先ほども述べましたけれども、国が国庫補助を一般財源化したために、財源の厳しい地方で就学援助の縮小が起きている。国の悪政で、まさに地方自治体が行う、そういう貧困対策が後退しているということが報道をされています  じゃ、世田谷はどうかと。世田谷区は本来、国の悪政の防波堤となって頑張って、そういった支給は拡大していかなきゃいけないところを、熊本区長になって、この就学援助の支給基準は生活保護の一・三倍から一・二倍に引き下げました。それから支給項目も削減をいたしました。また、支給基準、これは前の年の所得で判断をする。そのために、例えば昨年来不況です。この中でふえている失業であるとか倒産や廃業で所得が激減してしまった方に対してはすぐに支給対象にならない。前の年の所得を見て判断する。前の年の所得が基準より多ければ、これは支給が認められないという態度を続けています。こういった、世田谷区は財政が特に厳しいというわけではないのに、自公政権の方針に右へ倣えして、この就学援助も縮小させてきたと思うんです。  私は、ここで今こそこの支給基準を引き上げて、それから、急な失業であるとか倒産、廃業などで所得が激減した人なども対象に加えて、就学援助の支給対象を広げるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。 ◎阿竹 学務課長 区教育委員会が実施しております就学援助につきましては、生活保護に準じる世帯の認定基準は、社会状況の変化や他都市の動向、国の基準ですとか都区財政調整制度を考慮、勘案いたしまして、現在、一・二倍となっております。これは先ほど委員がおっしゃったとおりでございます。世田谷区就学援助の認定者数、認定率でございますが、ともに昨年度の同時期と比較いたしまして微増傾向となっております。  こうしたことから、現時点では、区教育委員会といたしましては、急激な社会経済状況の変化につきまして、学齢期の子どもがいる世帯への影響も含め、その動向を注視しながら、当面、現行の水準を維持していきたい、このように考えております。ご理解をいただきたいと存じます。 ◆中里光夫 委員 先ほどの国際比較のデータなどを見ても、今の日本の教育費のあり方、特に家計の負担の重さ、これは各国と比べても非常に重いというのは歴然としていると思うんですね。その中で、義務教育は、教科書や授業料は無料ですけれども、そのほかに結構お金がかかっていると。小学生でも年間十万円かかるということが報道されると、みんな驚くわけですね。義務教育は無償のはずじゃないか、そういう学用品などに非常にお金がかかる。生活保護、あるいはそれよりちょっと上のところの人たちにそういった負担を支援して、教育の機会均等をきちんと保障しようじゃないかという制度です。先ほどのデータなどを見ても、今のやり方が足りているとはとても思えないんですね。  今、急激な不況が広がる中で、就学援助、全国的に縮小されているという話がありましたけれども、頑張って広げようじゃないかという自治体も生まれています。たしか清瀬市でしたか、基準を一・三倍から一・五倍に広げたというところもあると思います。世田谷区もやっぱりやるべきじゃないですか。 ◎阿竹 学務課長 ただいま清瀬市の例がお話しございましたけれども、清瀬市のほうは、たしか一・三から一・五に上げたというふうに私も承知しております。このように、それぞれの自治体の実情に合わせまして、首長が判断されたものというふうに考えております。 ◆中里光夫 委員 今回の決算などを見ても、世田谷区は百億円の不用額、予算を使い残すような状態もありますし、基金の金額にしたって過去最高水準になっている、財政的には十分豊かであります。しかし、区民一人一人の生活を見れば、助けを求めている人たちがいる。そういう中で、冷たくする、その対象は広げないというのは、これは本当におかしいと思います。これは繰り返しても押し問答であれですので、先に進めます。  就学援助の内容、支給項目の問題について。  就学援助で眼鏡の購入費の補助を行っている、そういう自治体があるというのを私も最近知りました。墨田区や藤沢市、大和市などがこれを行っているそうです。  私、これを聞いて、早速調べました。世田谷区の就学援助で実際やっているのかどうか、やっていないということでした。しかし、生活保護を受けているような場合はどうなんだろうかということで、生活支援課のほうに確認したところ、眼鏡は医療行為ですので、その医療扶助の一部として眼鏡の購入費は生活保護は出ているんです。この就学援助の対象というのは、生活保護を受けている要保護の人と、そこから一・二倍までの、そのちょっと上までの準要保護、こういう人たちに対する支給ですけれども、要保護の子どもたちには生活保護の中で眼鏡が支給される。ところが、準要保護の方はそれがない。実際、眼鏡というのは安いものじゃないです。医療機器であります。それから、眼鏡が必要なのに眼鏡がなかったら、黒板の字がちゃんと見えないなど学習に支障を来す、まさに教育を支援するために必要なものだというふうに思います。  私は世田谷でも就学援助で眼鏡が購入できるようにするべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。 ◎阿竹 学務課長 今、準要保護の児童生徒にも眼鏡の購入費をというお話がございました。区の教育委員会では、先ほど来、同じようなご答弁になりますけれども、経済的な理由で児童生徒の就学が困難な世帯に対しましては給食費ですとか学用品費等を支援しております。就学援助の支給費目につきましては、これも何回もお話し申し上げているところでございますが、国の基準ですとか都区財政調整制度等の比較検討とか、実態を踏まえて定めております。  眼鏡の必要な要保護世帯に対しましては、眼鏡の購入に関しまして生活保護費のほうから、先ほど委員もおっしゃっておりましたが、教育扶助ではなくて、医療扶助として現物支給されている、このように聞いております。 ◆中里光夫 委員 教育扶助じゃなくて医療扶助だという話ですけれども、就学援助の要綱などを見てみますと、今、世田谷区では子どもの医療費無料化で制度として支給されていますけれども、それ以前、準要保護は就学援助で医療費も出ているんですね。それは阿竹さんもよくご存じだと思うんですけれども、医療費だから就学援助の対象じゃないというのは、これはおかしいんじゃないですか。 ◎阿竹 学務課長 就学援助で支給されます医療費につきましては、その病名とかが制限列挙されておりまして、この中に眼鏡というのがございません。 ◆中里光夫 委員 眼鏡は、学習をする上で本当に必要な人には、皆さんも眼鏡をかけている方は、眼鏡を外して仕事をしろというふうにされたら、困る方は多いと思いますよ。学習するために必要なものなんだから、就学援助でやるべきだというふうに思います。ここで、はい、できますと簡単には言えないでしょうから、先に進みたいと思います。  子どもの貧困の問題について、今までの自公政権が教育費を本当に軽く扱ってきたと。新しい政権ができて、我々は建設野党という立場で、いいことは大いに進めると。でも、政治、世の中は確実に変わってきているんですから、世田谷区も子どもの貧困、これだけ社会的にもクローズアップされているときですから、この手当を厚くする、そういう対応をぜひ行っていただきたいというふうに思います。  では、次の質問に移ります。  次は、学校図書館の問題について質問いたします。
     ことしの夏に教育委員会が行った教育フォーラム、私も参加をさせていただきました。その中で、学校図書館についての分科会があって、私、そこに参加させていただいて大変驚いたということと、それから、大変感動したといいますか、びっくりしたと。それはどういう話だったかといいますと、山形県鶴岡市の朝暘第一小学校というところの学校図書館の取り組みの話で、その図書館づくりに取り組んできた五十嵐さんという方の講演を聞きました。  きょう、ここにホームページからプリントアウトしたのもあるんですけれども、ちょっと小さくて見えないと思いますが、学校図書館のカウンターが子どもたちでごった返しているんですね。朝、学校に来ると、まずみんな図書館に駆け込むと。(「文教で行ったよ」と呼ぶ者あり)私、文教じゃないときだったのでね。これは本当にすごいことだなと。そのときの講演で、今、文部科学省も学力の向上という点で学校図書館に力を入れているというお話もありましたけれども、この学校でも図書館が活発に利用されるようになって学力が上がったという話があります。お話を聞いたら、それはもう当然だなというふうに思うんです。  子どもたちが本当にみんなで本を読むようになって、調べ学習も一生懸命やるようになって、友達同士で本を話題に議論を重ねたりだとか、本当に学校そのものが変わっていく。それから、一人一人に本当に目をかけて、本を借りない、一人でぽつんとしているような子どもにも、本が楽しくなるようにということで細かな指導をしたり、そういう取り組みで、こうした劇的な変化を実現したというお話でした。  教育委員会が教育フォーラムで五十嵐さんを呼んで講演、こういう企画をなさったというのは、教育委員会としてはどのような点に注目して行ったんでしょうか。 ◎直田 教育指導課長 八月七日、八日の教育フォーラムにおきまして、今ご紹介いただきましたように、鶴岡市の朝暘第一小学校での図書館の活用を進めました、当時のこの市の先生の熱のこもった講演をいただきました。同校の学校図書館のリフォーム、それから全職員、保護者、地域と連携を図って学校図書館の活用を、学校の図書館をより活性化して教育を展開していった。また、児童が本を読む喜びや読書習慣を身につける、そういった学校図書館の活用について紹介をいただきました。  朝暘第一小学校はさまざま先進的な事例がありますので、そういったものを少しでも私どものほうで勉強したいということで、この方に来ていただくような形にいたしました。私もこの分科会を見せていただいて、この事例の中で、全職員、あるいは保護者、地域が協力をして学校図書館にかかわることで、学校の教育活動すべてに生かせるように学校図書館を活性化させて、生活に読書が根づいている子どもたちの姿というものが大変に印象に残っております。 ◆中里光夫 委員 私、五十嵐さんの話を聞いて、まず最初のところで、鶴岡市が学校図書館に力を入れる、すべての学校に専任の司書を配置することになったんだと。その中で、この五十嵐さんも朝暘第一小学校に派遣をされたというようなお話から始まったんですね。いざ学校に行ってみると、図書館は物置のようになっていて利用されていない。それを変えるための三カ年計画を立てて、それから、学校の先生たちとも協力をして大きく変えていったという話です。  私、まず最初の、すべての学校に専任の司書、スタッフを配置するというふうにした、この鶴岡市の決断が非常に重要だったんじゃないかと思うんです。実際にこの方がやった取り組みというのは、これは専任でやらないと絶対できないような話ですよ。図書館を全部模様がえをする、それを学校の皆さんに協力して計画して実行する、それから、先生と協力して授業を共同して進める。これは大変熱心なことなんですけれども、これをやるには、本当に専任スタッフだったからこそ、こういったことが実現できたんじゃないかなと思うんです。  ですから、私、まずこの中から世田谷区として取り入れて実行する上で、前提条件として、世田谷区としても専任の司書を学校図書館に配置する、ここからスタートするべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ◎直田 教育指導課長 現在の状況でございますが、区立小中学校では、図書館司書教諭等の資格を有している者、またはそれに準ずる者を学校図書館事務臨時職員として全校に配置しております。また、本年度は、ほぼ全校に学校図書館司書教諭が配置され、この司書教諭を中心に、学校図書館担当教諭、それから学校図書館事務臨時職員と連携を深めて、学校図書館の充実整備を進めております。  各学校の学校図書館における活動をより一層充実させるために、図書事務臨時職員が自校の子どもたちの調べ学習などに今まで以上に積極的にかかわれるように工夫を行うよう、校長会等を通して働きかけるとともに、その臨時職員の配置の工夫についても、これからいろいろ工夫をしていきたいというふうに考えております。 ◆中里光夫 委員 この五十嵐さんの話でも、学校にいる司書教諭の方との連携であるとか、そういうことが非常に重要になってきているというお話で、世田谷区もそういうことに注視しながら進めているということで、大変いいと思うんですけれども、やはり臨時職員で半年ごとに人が入れかわってしまうところだと、こういった腰の座った取り組みというのはなかなかできないと思うんですね。やはりここは一つ突破して、ぜひ専任の司書を配置していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。 ◎直田 教育指導課長 さまざまな工夫をさまざまなところで検討していきたいというふうに考えております。 ◆中里光夫 委員 それでは、次の質問に移ります。先ほど他会派からも学校の施設でトイレの改修の話が出ておりましたけれども、たしか何年か前、世田谷区は学校のトイレ改修に非常に力を入れて、全国に発信をして、トイレサミットなんていうことも行っていたかと思うんですが、まだ学校の中で一系統も改修されていないような学校が残っているという話も聞いています。一系統といいますと、縦に一列ということですから、これは一系統やれば、各階一つはきれいなトイレができることになるわけですけれども、現在、その一系統も改修されていないという学校はどれだけ残されているんでしょうか。 ◎伊東 施設課長 区教育委員会では、生徒児童等の快適性と学習生活環境を確保するため、学校トイレの改修を計画的に実施しているところでございます。改修に当たりましては、各学校の実態を踏まえた上で、小学校、中学校で年間一、二校程度の改修を進めているところでございます。また、新たな学校施設整備基本方針に基づく毎年二校の改築や大規模改築等におきましてもトイレのリニューアルを実施しております。  現在事業中の学校施設の改築などによりましてトイレが新たに整備される学校が十二校ございますので、こういったものを除きますと、お尋ねのトイレ改修を行っていない学校は、小学校で十四校、中学校で六校となり、全体の約二割という状況でございます。 ◆中里光夫 委員 二十校あるということですが、計画的に一、二校ずつやる、それから改築も二校ずつやるということですけれども、これは改築などでやるだけで、トイレ改修独自にはやるんですか、どうなんですか。 ◎伊東 施設課長 全面改築などを行えば、トイレは一系統と言わずにすべてきれいになるわけですけれども、こういった改築計画以外にも、先ほどもちょっとご答弁させていただきましたが、計画的に年間一、二校といったものは行ってまいりたいというふうに考えております。 ◆中里光夫 委員 年間一、二校で二十校あるということですと、全部終わるのに十数年はかかる、こういうことですか。 ◎伊東 施設課長 ご答弁はちょっと重なりますが、残りの二十校につきましては、こういった計画的なトイレ改修に加えまして、毎年二校の全面改築などにもよりまして、できる限り早期の改修を図ってまいりたいというふうに考えております。 ◆中里光夫 委員 二十校あって、毎年一、二校ずつと言えば、十年じゃ終わらないということだと思うんですね。改築などにあわせてという話もありましたけれども、これは独自に進めるべきだというふうに思うんです。計画的と言いながら、あと何年というのが言えないようなんですけれども、そこはどうなんですか。 ◎伊東 施設課長 全面改築をやる学校名についてもまだ先まで決まっておりませんので、こういった部分をダブってくる……。 ○大場やすのぶ 委員長 以上で日本共産党の質疑は終わりました。     ──────────────────── ○大場やすのぶ 委員長 引き続きまして、生活者ネットワーク、どうぞ。 ◆山木きょう子 委員 最後になりましたが、生活者ネットワークの文教領域の質問をいたします。  午前中から出ているのと多少かぶりますけれども、私からも、まず図書館のことについてお伺いいたします。  私は、区立図書館と学校図書館の充実についてということで、図書館ビジョンについては、先日の一般質問でも取り上げました。区立図書館ビジョンには、当然学校図書館もその中に位置づけ、充実に向けて取り組むべきと申し上げました。  世田谷区教育ビジョンにおいて、子どもたちの読書力を伸ばすため、子ども読書活動推進計画を策定し、地域、学校、その他関係機関が今まで以上に連携協力して、子どもたちの読書習慣や学校図書館の環境整備をということが明記されております。午前中も他会派への答弁で、学力が世界一番のフィンランドを支えているのは図書館だというようなお話がありましたので、より一層この取り組みは必要だというふうに思っております。  現在、学校図書館には、日常業務と兼務の司書教諭、そして非常勤職員の配置がされていますけれども、毎日職員がいるわけではなく、これまでも生活者ネットワークは専任の図書館司書の常駐ということを求めてまいりました。  図書館というのは、本を借りるだけではなくて、子どもたちが学校図書館へ何気なく行って、そして会話をする中で、それが悩みの相談だったり、本当に保健室のような役割を果たしているところもあるというふうに、私も現場の方から伺いました。学校図書館の果たす役割はとても大きいと思いますけれども、ぜひとも活性化を図っていくべきだと考えます。  児童生徒が行きたくなる図書館を目指し、常駐する人がいる配置が必要だと考えますけれども、お伺いいたします。 ◎直田 教育指導課長 先ほどと答弁が重なってしまう部分もございますが、学校図書館の運営に資するために、図書館司書等の資格を有している者、または司書教諭の資格を有する者、あるいはそれに準ずる者で、学校長が適任と認める者を、学校図書館事務臨時職員として全校に配置しております。この図書事務臨時職員は、学校の状況に応じまして、一日六時間で百日、一日三時間であれば二百日配置することが可能でございます。委員のご指摘もございますので、今後は、例えば年度の途中に各校の配置実績及び予定を調査いたしまして、執行状況を見込んだ上で、希望する学校には予算の範囲内で追加配置をするなど、そういった工夫も考えていきたいというふうに思っております。  また、各学校の学校図書館における活動をより一層充実させるために、図書館事務臨時職員が自分の学校の子どもたちの調べ学習などに今まで以上に積極的にかかわれるような工夫を行うように、校長会等を通して働きかけてまいりたいと考えております。 ◆山木きょう子 委員 今調整して追加ということもご答弁いただきましたので、ぜひともしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  また、子ども読書活動推進計画には、学校図書館の充実に向けて、学校図書館でのコンピューターの活用、図書館職員と学校教諭との交流促進など、学校と区立図書館との人的、物的な望ましいネットワークづくりを検討するというふうになっております。学校図書館と区立図書館との連携協力は欠かせないというふうに考えますが、区立図書館を充実するならば、学校図書館への支援もしっかりと強化することが求められますけれども、この計画にあるネットワークづくりについて、区はどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。 ◎直田 教育指導課長 学校図書館にコンピューター等の情報手段を整備し、児童生徒の学習の支援などを行うことは大変重要なことであるというふうに考えております。  情報センター活用研究校である八幡小学校では、インターネット上にある情報を活用し、調べ学習の充実を図っております。現在、各学校のパソコンルームに配置されたパソコンはインターネットとも接続されており、教員の指導のもと、児童生徒の調べ学習に必要な書籍の検索のためにも活用しております。区立図書館や官公庁のホームページを閲覧し、情報を得ることもできることから、先ほどの校内での利用の拡充も含め、さまざまな視点からネットワークについて検討してまいりたいというふうに考えております。  これからも、現在策定中の世田谷区立図書館ビジョンの考え方や世田谷区子ども読書活動推進計画に基づきまして、ネットワークづくりに取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ◆山木きょう子 委員 区立図書館を充実するんですから、学校図書館のほうともしっかりと連携をとって進んでいただきたいと思います。  それから、平成十五年から区立学校では図書館法に基づいて十二学級以上の学校に学校図書館司書教諭を配置しております。先ほども共産党さんのほうから出ましたけれども、図書館司書の位置づけは本当に重要だと思います。山形県の例もありますけれども、私も夏の教育フォーラム、あそこの話を伺いまして、やっぱり司書の果たす役割というのは非常に重要だと考えております。  学校図書館をこれから支援していくというその区立図書館には、現在、司書の方は何人いらっしゃるんでしょうか。 ◎千葉 中央図書館長 現在、区立図書館の常勤職員、再任用も含めて百九十六人いるわけですけれども、このうち司書、司書補を含めて有資格者は四十二名、二一・四%となっております。 ◆山木きょう子 委員 今伺ったところ、本当に少ないなというのが実感で思っております。もっとふやすという取り組みを進めるべきだと思います。今後、区立図書館を充実するということに当たっては、司書についてふやしていくべきなんですけれども、ビジョンの素案ではどのような位置づけになっているのかお伺いいたします。 ◎千葉 中央図書館長 図書館ビジョン素案の中で、多様な学習活動等を支援する図書館を目指す上で、職員の資質・能力向上の推進を重要な項目として位置づけております。その中で、司書資格の取得に加え、専門性の高い職員育成に向け、区独自の司書の講習内容に準じた実務研修を検討実施するものとしております。また、文部科学省等が主催する専門的な研修に積極的な参加を促進するものとしております。  このように各種研修等への参加を通して、司書の有資格者の増と職員全体の資質の向上を図ってまいります。 ◆山木きょう子 委員 ぜひとも学校図書館も含め、ここは一つ思い切って図書館ビジョンをつくるのですから、その取り組みを進めていただきたいと思います。  それでは、図書館の最後の質問ですけれども、午前中にも他会派から出ましたが、重要なところだと思っています。この素案には、障害者への対応というところがよく見えません。ユニバーサルデザインの考えをというような一文はありましたけれども、そういうハード面ではなく、やはりソフト面の充実が必要だと思います。  先日も視覚障害者の方から点訳の本をぜひとも中央図書館で充実してほしいというようなご要望もありました。夏に文教常任委員会の視察で伺った長崎市の図書館なんですけれども、非常にこれはいろいろな取り組みをしていましたが、障害者サービスをきちんと位置づけて、その充実を図っていました。点字図書はもとより、大活字本、それから録音図書、対面朗読室の設置、また、来館困難な障害者の方へは郵送サービスということも行っていました。図書館ビジョンには、ぜひともしっかりとこの障害者への対応ということを位置づけるべきと考えますけれども、お伺いいたします。 ◎千葉 中央図書館長 障害者向けサービスにつきましては、区教育委員会としましても、図書館における重要なサービスと認識しております。そのため、図書館ビジョン素案の中では三つの基本方針の根底に共通するものとして、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた図書館というふうに明記して、各施策を展開していくものとしているところでございます。  今、委員の例示にございました大活字本、録音図書、宅配等については、現在も一定そろえて、事業も一部実施しておるところでございます。今後も他の資料と同様に、これらの資料の充実も図ってまいる所存でございます。 ◆山木きょう子 委員 午前中に、教育長のご答弁でも点訳のことのご答弁がありましたけれども、ぜひともしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  次に、障害者理解の啓発、特別支援教育の充実ということでお伺いいたします。  小中学校では特別支援教育が始まり、教師や子どもたちにも障害に対しての一般的な理解はやや広がってきましたけれども、まだ社会全体の障害に対する理解度は低く、差別などで受け入れられない状況もあります。例えば障害者施設を建てようとすれば、周りの猛反対で中止になる。また、学校ではいじめの対象になるといったこともあります。子どものころからの障害への理解啓発は大変に重要です。また、障害といっても、身体、知的、発達障害など、それぞれの障害に応じた対応がとても大切で、現在、学校現場で取り組んでいる特別支援教育、これは障害理解への第一歩とも言えるのではないかと思います。  児童生徒、保護者などへの特別支援教育の理解啓発の取り組み状況についてお伺いいたします。 ◎伊佐 教育相談・特別支援教育課長 特別支援教育をさらに推進していくためには、児童生徒やその保護者、地域の方々への理解啓発を進めていくことが重要でございます。区内の小中学校では、教育活動全体を通して児童生徒に人権教育や障害者の理解にかかわる教育を進め、障害の有無にかかわらず、児童生徒が互いに認め合い、支え合うようにするための取り組みが行われております。  また、障害のある子どもに対する理解と認識を促進するため、都立特別支援学校との交流や、特別支援学級を設置する学校における特別支援学級と通常の学級との交流活動の中で、児童生徒同士の交流による相互理解が進められております。また、都立特別支援学校の教員によります障害理解のための出前事業なども行われている状況でございます。  区教育委員会といたしましても、学校の教職員向けはもとより、保護者や地域の方々に対して特別支援教育や特別支援学級の活動紹介など、さまざまな理解、啓発のための資料の作成、配布などを通じまして、特別支援教育に関する理解啓発に努めている、そういった状況でございます。 ◆山木きょう子 委員 その特別支援学級を希望する子どもが年々ふえている状況で、区としても、そのために毎年複数の学級を設置してきています。それで、特に通級に通う情緒障害の子どもが増加していて、ことしの五月の報告でも、小学校の情緒障害学級で学ぶ児童数は、平成十七年度で十学級の八十四名だったのが、今年度は二十五学級で、二百十七名ということが報告されています。五年間で約三倍にふえていて、中学校も同様の傾向だというふうに伺っています。  また、来年四月には希望丘小学校に新たな学級の設置が予定されています。先日、保護者の方からも入級を希望したけれども、受け入れられなかったというようなお話を伺いましたが、どういう状況にあるんでしょうか。 ◎伊佐 教育相談・特別支援教育課長 通級指導学級への入級に際しましては、小学校への就学や中学進学時には就学支援委員会、また、学年の途中では通級相談会におきまして、医師や心理の専門家、教育の専門家による行動観察などによりまして、通級指導の必要性があるかどうかについての判断をしているところでございます。子どもの状況から、通級指導を活用したほうがよいとの判断が出た場合には、保護者に対して通級を進めていくことになりますけれども、子どもが通級指導学級に通うことを嫌ったりする場合もございます。最終的には通級指導を利用するか否かは、保護者の判断という形になると思います。また、通級指導ではなく、固定学級での指導が望ましいという判断や、通級指導は必要ないという判断をされた場合においては、通級指導学級への入級はできないというところでございます。  通級指導学級につきましては学区域を設定しておりません。どこの学校の学級にも通うことができますけれども、ほとんどの保護者は近くの学級を希望いたします。学級の中には地域的に希望者が集中する学校がございます。保護者がその学校のみを希望される場合においては、学級の体制などの関係ですぐには入級ができず、お待ちいただく状況も幾つか出ている、そういった状況でございます。  なお、通級指導学級を活用したほうがよいという判断が出された児童生徒につきましては通級指導をお断りするケースはございませんので、よろしくお願いを申し上げます。 ◆山木きょう子 委員 情緒障害学級は、知的、発達にはおくれがないのに、他人とのコミュニケーションが苦手、落ちつかないなど、情緒面で不適応を起こしやすい児童生徒のための学級です。通級指導で通常の学級で授業を受けながら週一回通いますけれども、一回だけでは対応できないというような児童生徒もいます。今後のその情緒障害学級の整備と、指導回数をふやすとかそういったことについてお伺いいたします。 ◎伊佐 教育相談・特別支援教育課長 情緒障害の通級指導学級に入級する児童生徒は、ここ数年、お話しのとおり急増しておりまして、教育委員会といたしましては、そうした動向などを見きわめながら学級の整備を推進しているところでございます。  来年四月に、先ほどお話にありました区立希望丘小学校に新たな学級を開設するため、この夏休みを利用して既に改修工事を完了しているところでございます。また、平成二十三年四月には小中学校に一校ずつ新たな学級を開設すべく準備に取りかかっている状況でございます。  区教育委員会といたしましては、今後とも保育園、幼稚園、発達障害相談・療育センター“げんき”などとも連携しながら、的確な状況の把握の上で、学校改築時における学級整備などにも取り組みながら、教育環境の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。  もう一件、指導回数をふやせないかという観点でございます。通級指導学級における指導につきましては、文部科学省の告示でその指導時間が規定されており、週一時間から週八時間までとされているところでございます。このため、区立小中学校に設置している情緒障害通級指導学級におきましても、この告示の範囲内で、対象の児童生徒への効果的な指導を図っているところでございます。 ◆山木きょう子 委員 この五月にまとめられた不登校対策検討委員会の報告の中には、今、情緒障害については年々ふえているので、これから固定学級がやっぱり必要になってくるだろうということで、小中学校の自閉症、情緒障害特別支援学級の固定学級の設置を検討していくというふうになっております。現在、固定学級は知的と肢体不自由しかありませんけれども、この報告書にあるような固定学級、情緒障害学級について、そのことについてはいかがでしょうか、お伺いいたします。 ◎伊佐 教育相談・特別支援教育課長 先ほど申し上げました文部科学省の告示があるというわけでございます。この告示による指導時間を超えて指導を行う場として、お話にございました情緒障害の固定学級が制度的には用意されているところでございます。情緒障害の固定学級につきましては、都内の自治体においても未設置のところが多く、入級対象とする児童生徒への基準、それから教育課程や指導体制など整備しなければならない課題はかなり多いところでございます。しかしながら、障害のある児童生徒への指導の充実、あるいは不登校の予防支援という観点からも、当該学級に在籍し、毎日指導を受けることができる、情緒障害の固定学級の設置に向けて検討してまいりたい、かように考えております。 ◆山木きょう子 委員 また、通常の学級にも配慮を要する児童生徒が増加していると伺っております。やっぱり人的な支援、そのことを引き続き学校のほうへも充実させていただきたいことを要望いたします。  それでは次に、学校でのデートDV啓発についてお伺いいたします。  区民生活領域でも、我が会派の桜井(純)委員が質問いたしましたが、学校でのデートDV、結婚していない男女間で起きるこのことについて防止するためには、やっぱり若いうちから学ぶことがとても重要だというふうに言われております。また、本当に年々増加するデートDVについて、内閣府も横浜市に委嘱し、女性に対する暴力の予防啓発に関する調査研究を実施しました。デートDVについては、その言葉すら認知度が低く、相談機関もほとんど知られていない。また、女性の四人に一人がこの被害体験があるといったことがわかりました。  DVの性差に潜む偏見をなくし、また、相手を尊重するコミュニケーションなどを、子どもが成長する上でしっかりと身につけていく必要があります。子どもたちが将来被害者、加害者とならないよう、児童生徒に向けて暴力の発生を未然に防ぐ取り組みが不可欠です。  この調査結果によると、最近では、性、薬物の被害が低年齢化してきていて、マスメディアによる影響が非常に大きく、子どもでも簡単に性情報などが入手できます。早い時期から人権に対する意識をしっかりと持つためにも、学校での取り組みが求められます。  まず、このことについて、教育長はどのような見解をお持ちなのか伺います。 ◎若井田 教育長 デートDVにつきましてお尋ねがありましたが、私は大きく二つの視点で、学校教育の中では進めていくことが大切であるというふうに考えています。一つは人権教育の推進です。もう一つは教員研修の推進だと思っています。  人権教育という点では、まず第一に、女性も男性も互いに人権を尊重し、責任を分かち合って、性別にかかわりなく、その個性と能力を発揮できる社会の重要性ということをしっかり理解させる男女平等教育を推進する。  第二に、やはり暴力の本質にあります他者の許可を得ずに相手の身体に触れることの人権の侵害。特に暴力は、さらに力による人権侵害であるということをしっかり理解させて、人権教育を推進する必要があると認識しております。  第二の教員研修でございますが、やはり教員の理解を深める研修ということが重要であると思っておりますので、教員が現実を理解して、生徒等の状況を正しく把握するための研修が重要だと考えております。  世田谷区は「ひとの喜びを自分の喜びとし、ひとの悲しみを自分の悲しみとすることのできる子ども」というのを子ども像の第一に掲げておりますので、人権教育も教員研修もしっかりと進めていきたいと考えています。 ◆山木きょう子 委員 今、教育長から研修、教員に対してのというお答えでしたけれども、非常に心強いと思います。といいますのは、この調査なんですけれども、教職員の約六割がDVは知っていても、デートDVは知らないという結果が出ております。やっぱり正しい理解と生徒への対応などがある教職員向け研修は本当に求められると思います。  この調査を受けた教師のほうからも、公教育、専門教育を早くから行ったほうがいいという意見が出されています。異性に対する関心が非常に低年齢化している昨今では、生徒からの男女交際に関しての相談なども多くあります。日常的に接している教師がやっぱりしっかりとこのことを認識する必要があると思います。この調査をきっかけに、先ほどもお話ししましたけれども、デートDVということを知った教師も多くいます。  例えばこのデートDVについて、その認知度についてのアンケート調査を実施するなど、教師への働きかけをする必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。 ◎直田 教育指導課長 男女平等教育を初めとする人権教育は、教育活動全体を通して計画的、組織的に推進していくことが大切であるというふうに考えております。  今委員のご指摘の教師への働きかけについてでございますが、区教育委員会では、人権教育研修、管理職研修、初任者研修などの研修会や、指導主事の学校訪問の際などのさまざまな機会を通して、例えば東京都教育委員会が作成いたしました人権教育プログラムを活用するなどして、人権感覚や理解の向上を図っているところでございます。  区教育委員会といたしましては、教職員が人権尊重の理念について十分に理解し、男女平等教育を初めとする人権教育の一層の充実を図るために、今後も研修会や学校訪問などの機会をとらえて指導、助言をしていきたいというふうに考えております。 ◆山木きょう子 委員 研修その他あるんですけれども、やっぱり現状ですね。本当に先生方がこのことについてどうご認識されているのかということを一度調査、把握する必要があると思いますので、ぜひともご検討いただきたいと思います。  男女交際の経験は、高校生で全体の五四・二%、被害が起こらないうちに予防対策をするには、高校生では遅いというふうな結果も出ています。さきの調査結果によると、これをやった約半数の教師、全体の四七・七%の教師が予防啓発の時期を中学生以下というふうにしています。全国でも増加するデートDVに対しての取り組みが始まり、例えば長崎市の日見中学校、ここでは中学校の二・三年生を対象に講演会を実施したそうです。また、さいたま市ではデートDV防止教育という資料を四万五千部作成して、高校一年生全員に配布しているそうです。  そして、この調査によると、話を聞いた後では、例えばそういう加害者の人たちに大きな変化があって、聞いた後では、いや、これはいけないんだと思った、そういった率がすごく上がっているんですね。聞く前は約一四%がちょっとまずいのかと思っていたのが、聞いた後には四七%がやってはいけないと思ったらしいんですね。こういったきちんとしたデータ結果もあります。  こういったことを踏まえて、デートDVに関して、世田谷区でも講演会など意識啓発に取り組む必要があると考えますけれども、いかがでしょうか。 ◎直田 教育指導課長 今、ほかの自治体の事例も出ておりましたが、各学校におきましては、例えば道徳の授業などでは、発達段階に応じて男女仲よく協力して助け合うことの大切さや、あるいは相手の人格を尊重すること、さらに暴力は絶対にいけないことなどを指導するとともに、例えば中学校の社会科の学習では男女共同参画社会の形成について学習をしている、そういう状況でございます。  区教育委員会といたしましても、今後とも男女が互いの違いを認めつつ、個人として尊重される男女平等の理念を正しく理解し実践していけるよう、さまざまな啓発の手法を工夫しながら、男女平等教育を含めた人権教育を推進していきたいと考えております。 ◆山木きょう子 委員 DVという言葉が出たときには余り注目されず、今こんなような状況になって、被害も大きく、事件も多発しています。また、デートDVに関してはまた事件も起こってきておりますので、ぜひ学校現場で取り組んでいただきたいと強く要望いたします。  次に、環境教育についてお伺いいたします。  日本は二〇二〇年度までに一九九〇年度比二五%削減という大きな目標を打ち出し、そして世界的にも評価されております。自治体では、特に学校などで取り組むことは非常に削減効果があると思います。  一つ、夏に北九州市の東曽根小学校へ視察に行ってきたんですけれども、このエコ改修事業というのがとても注目すべきことだと思って、ぜひともこれは世田谷区で取り入れていったらいいなというふうに思っております。  このエコフロー事業というのは、国が各学校に対してエコ改修と環境教育事業を一緒にやるという事業です。二十三区では荒川区でこのことに取り組んだ学校もありますけれども、子どもたちが一緒に環境に配慮した学校をつくり上げるというような取り組みです。  世田谷区は、平成十八年に新たな学校施設整備方針を策定して、学校施設そのものが環境教育の教材となるような工夫をしています。二十年度はさらに取り組みを進め、改築、改修に取り組んできました。平成二十三年がピークと伺っていますけれども、子どもがみずから実感できるこういったエコ改修の学校づくり、環境教育に大いなる効果があると考えますが、モデル校としてでも、ぜひ実施するということはいかがでしょうか。 ◎伊東 施設課長 お話しの学校エコ改修と環境教育事業は、学校施設のエコ改修と環境教育プログラムの推進を図ることを目的としたものでございます。
     世田谷区におきましてこの事業例はございませんが、この事業で整備する太陽光発電装置や建物の断熱、ライトシェルフといった教室のひさしの設置など、学校施設のエコ化に関連する設備は、区教育委員会で進めております学校の全面改築や一部改築の中に同様のものを取り入れて整備を進めております。  整備しました太陽光発電装置などのエコ施設の児童生徒の環境教育での活用など、学校とも連携を図りながら、環境に考慮した学校整備を今後も進めてまいりたいと考えております。 ◆山木きょう子 委員 環境教育では、学校においては地域人材を活用して、教育活動の質の向上を図っていくというふうにしています。  環境学習スタッフ養成講座というのを平成十四年度から二十年度まで実施していまして、現在、百十一名の修了者がいます。また、それとは別に、平成十九年度、二十年度と専門的な知識を得るストップ温暖化説明員養成講座というのを行って、ここにも四十五名の登録があります。  また、区に先立って東京都が養成した環境学習リーダー、これは一年間、毎週一回、朝から晩まで講習を受けて、これは世田谷区は非常に意識があるというのか、都内でも最も多くて、数十人の方がここを終わり、その人材が今世田谷区にもあります。身近にこういった力をつけた市民が大勢いるのに活用しない手はないと思いますけれども、地域人材を活用した、子どもたちへの環境教育推進として大いに活用すべきと考えます。  現状を聞くと、活動したくても、なかなか学校には入れないということも伺っています。環境課と教育委員会との連携をしっかり行って、環境学習スタッフの活用を図っていくべきと考えますけれども、いかがでしょうか。 ◎直田 教育指導課長 環境教育の推進につきましては、四月の合同校長会で、環境総合対策室からすべての学校長にこの担当している事業について説明をいたしました。それを受けて、本年度、小中学校幾つかの学校でさまざまな取り組みが始まっております。  区教育委員会といたしましては、今後も機会をとらえて環境学習リーダーの活用を紹介するとともに、引き続き区内大学、環境教育にかかわる所管部間と連携をとりながら、充実に向けて進めていきたいというふうに考えております。 ◆山木きょう子 委員 データをもらったんですけれども、学校へ行っているのがすごく少ないんですね。こういった知識のある方はたくさんいらっしゃるので、ぜひとももっと活用して、子どもたちに環境学習の充実を図っていただきたいと思います。  以上で生活者ネットワークの質問を終わります。 ○大場やすのぶ 委員長 以上で生活者ネットワークの質疑は終わりました。     ──────────────────── ○大場やすのぶ 委員長 以上をもちまして本日の質疑はすべて終了いたしました。  本日の委員会はこれにて散会いたします。     午後五時五十三分散会...